ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、東京都千代田区)がまとめた2023年上期(1~6月)のベンチャーキャピタル(VC)による国内向け投資額は前年同期比27.2%減の1097億円で、上期としてコロナ禍の影響が広がった2020年以来、3年ぶりのマイナスとなった。前年は上期に2013年に現行方式で調査開始以降の最高を記録したが、下期は一転減速し、今年上期も同様の傾向が続いている。投資件数も758件と前年同期より120件(14.6%)減った。
VECは四半期ごとに国内のVC(事業会社のコーポレートベンチャーキャピタルを含む)による投資動向調査を実施している。今回の第2四半期(4~6月)調査には121社が回答した。
第2四半期の国内投資額は前年同期比34.8%減の462億3000万円。この結果、四半期ベースでは4四半期連続して前年比マイナスとなった。一方、投資件数は前年同期を69件下回る362件で、こちらは2四半期連続のマイナス。
第2四半期の国内投資額を業種別にみると、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」がシェア35%でトップ。これに「バイオ、製薬」18.4%、「工業、エネルギー、その他産業」17.3%、「医療機器、ヘルスケアサービス」6.4%、「ソフトウエア」6.1%などが続いた。
国内投資額のステージ(成長段階)別動向では創業初期の「アーリー」がシェア42.2%でトップ。以下、本格展開・拡張期を迎えた「エクスパンション」27.9%、創業前の計画・準備段階にあたる「シード」19.4%、IPO(新規株式公開)などを目指す段階を迎えた「レイター」10.5%。
一方、第2四半期の海外向け投資額は前年同期比46.0%減の193億8000万円(件数は21件減の70件)とほぼ半減。ただ、第1四半期と比べると、金額、件数とも増加し、過去3四半期の減少傾向からやや上向いた。上期全体では前年同期比34.7%減の343億6000万円だった。
第2四半期に新設されたファンドは12本・795億3000万円。上期全体では新規設立ファンドは29本・1899億4000万円。前年上期に比べると、本数は10本、金額は803億8000万円それぞれ増加した。
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文:M&A Online