旧村上ファンド系企業が新生銀行の全保有株を売却 2021年12月の大量保有報告書

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M&A Online編集部が大量保有データベースで2021年12月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、インターネット金融大手のSBIホールディングスが新生銀行株を21.97%買い増し、保有割合を38.47%に高めたことが分かった。

一方、新生銀行株を2度買い増し保有割合を9.16%にまで高めていた旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)は、全株式を手放した。また、野村証券は0.93%買い増し保有割合を6.68%に高めたあと、1.74%売却し保有割合を4.94%に引き下げた。

SBIホールディングスが「第4のメガバンク構想」の中核として新生銀行を取り込むことを狙いに実施したTOB株式公開買い付け)に対して、新生銀行が買収防衛策に打ち出し抵抗したが、新生銀行の大株主である国が防衛策発動に反対する見込みとなったことから、新生銀行は買収防衛策を取り下げ、SBIホールディングスの傘下に入ることになった。

H2Oが関西スーパーを子会社化

ディスカウントスーパーを展開するオーケー(横浜市)と、大手百貨店のエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)による経営権取得争いの対象となった、関西を地盤とする食品スーパーの関西スーパーマーケットについては、8.04%を保有していたオーケーが全保有株を手放した一方、H2Oが47.97%買い増し保有割合を57.99%に引き上げ、子会社化した。

関西スーパーが、H2O傘下のイズミヤ、阪急オアシスのスーパー2社と株式交換で統合した上で、H2Oの子会社になると発表したのに対し、オーケーが「待った」をかけていたもので、統合手続き差し止めの仮処分を求めたオーケーの訴えが退けられ、当初発表通りいの結果に落ち着くことになった。

また投資会社のアジア開発キャピタルに対する買収防衛策を巡る動きに揺れた大手輪転機メーカーの東京機械製作所に関しては、アジア開発傘下のアジアインベストメントファンドが0.41%買い増し(報告発生義務日は2021年10月4日)、保有割合を39.94%としたほか、三井住友トラスト・アセットマネジメントが0.02%売却し、保有割合を6.01%に引き下げた。

東京機械株の買い占めに対し、同社が打ち出した買収防衛策について、アジア開発が差し止めを求める仮処分を申し立てていたが、最高裁が11月に東京機械の買収防衛策を認める司法判断を示したことで、アジア開発が東京機械株を買い増ししないことを表明している。

2021年12月の大量保有報告書の提出件数は1247件で、このうち保有割合を増やしたのが367件、新規保有が195件、保有割合を減らしたのが563件、契約の変更などが122件だった。

文:M&A Online編集部