後継者不在による倒産が最多を更新「死亡」と「体調不良」が8割強に

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後継者不在に伴う倒産件数が2013年以降で最多となったことが分かった。東京商工リサーチ(東京都千代田区)によると、2022年の後継者不在による倒産(負債1000万円以上)件数は、422件(前年比10.7%増)で、3年連続で前年を上回った。

400件台に乗ったのは初めてで、負債1000万円以上の倒産全体の6.5%(前年は6.3%)を占めた。要因別では、経営者の「死亡」が223件で半数以上を占め、「体調不良」の138件と合わせると全体の8割強に達した。

2021年の経営者の平均年齢は62.77歳(前年は62.49歳)で、約17万社を対象にした2022年の調査では、59.9%の企業で後継者不在だった。東京商工リサーチでは「経営者の高齢化と後継者不在は事業継続に大きな経営リスクになっている」としている。

建築、土木、運送が上位に

倒産理由の最多は経営者の「死亡」で、全体の52.8%を占めた。前年より13.7%増えており、3年連続の前年越えとなった。2番目に多かったのが「体調不良」で、前年より14.0%増え全体の32.7%を占めた。両要因を合わせると全体の85.5%に達する。

業種別では、建築工事業の17件(前年15件)、土木工事業の13件(同3件)、一般貨物自動車運送業の12件(同10件)、内装工事業の10件(同8件)、一般管工事業の7件(同5件)といった順で、工事関連の倒産が目立った。

形態別件数は、消滅型の「破産」が395件(前年比12.5%増)と5年連続で前年を上回り、全体の93.6%(前年92.1%)に達した。

事業承継ファンドが増加

こうした状況を踏まえ近年、事業承継ファンドの設立が相次いでいる。金融機関や政府機関が中小企業支援の一環として力を入れているもので、資金余力が乏しく、独自に事業承継や後継者育成が難しい中小零細企業にとっては朗報といえる。

今後も事業承継に特化したファンドの設立が予想されており、2023年は後継者不在による倒産の増加に歯止めをかけることができるのか。関心が高まりそうだ。

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文:M&A Online編集部