ミズノからの出向起業、ユニークなシューズ販売会社のビジネスモデルとは? ストライク&関西電力共催イベントで語る

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登壇者ら

ストライク<6196>と関西電力<9503>は3月6日、スタートアップと事業会社の提携促進を目的とした交流イベント「第20回 Conference of S venture Lab.」を大阪市北区の関西電力エナレッジで共催した。「関西のVCと語る、事業会社発スピンアウト・スタートアップのこれから」と題したトークセッションのほか、スタートアップによるピッチが行われた。会場にはオンラインと合わせ約100人が参加した。

トークセッションではABAKAM代表取締役の松本直人氏が司会を務め、ベンチャーキャピタルのライトアップベンチャーズ代表取締役の中村忠嗣氏と、スポーツ用品メーカーのミズノから出向起業(企業に在籍のまま起業して新規事業に挑戦する取り組み)で設立したDIFF. の代表取締役社長の清水雄一氏が、それぞれ自身の経験や考えを披露した。

左右で異なるサイズのシューズを販売

トークセッションでは、まずライトアップベンチャーズがシードステージ(会社設立前後の段階)のスタートアップ企業への投資を行っている、関西では数少ない独立系のベンチャーキャピタルであることや、左足と右足のサイズが異なる人は全体の5%ほどいる事実を踏まえ、DIFF.が左右で異なるサイズのシューズの販売を手がけていることなどを紹介。

そのうえで、ABAKAMの松本氏からDIFF.に投資した理由を問われたライトアップベンチャーズの中村氏は「出向起業は、なかなかできることではないだろうが、清水さんは社内調整力が高いからこそ、それが実現できたと思う。その清水さんであれば、サイズ違いのシューズを販売するビジネスも必ず成功できると思う」と返答。清水氏への信頼感の高さが投資の決め手となったよう。

続けてサイズ違いのシューズを販売するビジネスモデルを問われた清水氏は「左右で同じサイズのシューズを仕入れ、これをバラして左右それぞれ一足ずつ販売している。その際ロスがどのくらいになるのかなどを計算して、通常のシューズの定価に加え手数料として3480円をいただいている」と説明した。

さらに「関西でどのようなシード投資をしようと考えているのか」との松本氏の質問に、中村氏は「関西は大学が非常に多く、ポテンシャルがある。大学発の企業や学生を対象に考えている。さらに特定の業界で実績を積んで、特定の業界ならではの課題をしっかりと認識して起業される30代、40代の方の、いわゆる大人企業もサポートしていきたい」との考えを示した。

会場からは「出向元の企業からはどのような支援があるのか」と質問され、清水氏は「ミズノとは売買契約を結ばせていただいており、営業の方々にサポートいただきながら、小売店さんとの関係構築を進めている。また、企業の立ち上げ時の、全く取り引きのない状態で口座を開設する際に、銀行を紹介していただいた」と答えた。

第2部のピッチでは、最終面接まで進んだものの内定を取れなかった学生の就職支援を行うABABA(大阪府吹田市)代表取締役CEOの中井達也氏、使用済みパソコンの再生、販売事業を手がけるポンデテック(大阪市)代表取締役社長の財津和也氏、糖尿病患者の足切断を防ぐことを目的にしたアプリなどを提供するセカンドハート(京都府長岡京市)代表取締役の石田幸広氏、アトピー性皮膚炎などの皮膚病の治療を支援するアプリを提供するGenon(大阪市)代表取締役社長の高原千晶氏の4氏が、それぞれ自社の事業内容や、事業にかける思いなどを熱く語った。

文:M&A Online