中国VS日本 飲食店の「配膳ロボット」どちらが優勢? 

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写真はイメージです

ファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングス(HD)<3197>は、2021年10月18日に「ガスト」や「しゃぶ葉」2000店に、中国Pudu Robotics(深圳市)製のネコ型配膳ロボット「BellaBot」を導入すると発表した。

これに先立つ9月14日には、居酒屋や焼肉店を手がけるワタミ<7522>が「焼肉の和民」で、同じ中国Pudu Robotics製の配膳ロボット「Kettybot」の実証実験を始めたことを明らかにしている。

イタリアンレストランを展開するサイゼリヤ<7581>や、焼肉店やラーメン店を展開する物語コーポレーション<3097>は、日本製の配膳ロボットの導入を進めているが、すかいらーくHDが2000店もの導入を打ち出したことで、中国製配膳ロボットへの関心が一気に高まりそうだ。

日本は、自動車や電子機器向けなどの産業用ロボットでは世界をリードする存在だが、飲食店向け配膳ロボットでは中国優位となるかも知れない。

すかいらーく、2000店に導入

ニュースリリースより

すかいらーくHDが採用した「BellaBot」は、一度に多くの料理を運べ、コロコロと変わるネコの愛嬌ある表情で接客する。事前に導入実験をした「ガスト」「しゃぶ葉」7店舗で、1670人にアンケートしたところ、約8割が良い評価だったという。

2022年4月までに1000店に導入し、2022年末までに導入店舗を2000店に拡大する計画だ。同社の国内店舗数は3035店(2021年9月30日時点)のため、6割強の店舗でロボットが活躍することになる。

同社では、新型コロナウイルス感染症により、非接触のサービスを求める顧客が増えており、人とロボットが協働する次世代のテーブルサービスレストランを目指すとしている。

ニュースリリースより

ワタミが実証実験を始めた「Kettybot」は、優れた障害物回避能力や移動能力を持った最新型の配膳ロボットで、配膳と下げ膳のほかに来店客の案内についても検証する予定。大型のトレイを備えているため一度に多くの料理を運ぶことができるほか、愛嬌のある目玉を配した親しみやすいデザインになっている。

すでにワタミは、配膳ロボットによる店舗運営の省人化に取り組んでおり、今回Kettybotを用いてサービスのさらなる充実が実現できるかを探ることにしたという。

日本製ロボの巻き返しは

ニュースリリースより

サイゼリヤは、アルファクス・フード・システム(山口県山陽小野田市)の配膳ロボット「サービスショットα2号機」の実証実験を行っている。

「サービスショットα2号機」は、1号機の各店舗での運用ノウハウをベースに改良を加えた配膳ロボットで、配膳、下げ膳、案内の3モードで運用できる。AI(人工知能)による完全自律歩行型で、高精度な地図を読み取れるのが特徴だ。

実証実験は8月から実施しており、目や口の表現が豊かで、愛嬌があるとして子供や女性にも好評という。サイゼリヤでは、ロボットとスタッフが融合して来店客に料理を提供することを目指して実証実験を継続するという。

ニュースリリースより

物語コーポレーションは2020年11月から「焼肉きんぐ」で、ソフトバンクロボティクス(東京都港区)の配膳ロボット「Servi(サービィ)」の導入を進めている。

「Servi」は、飲食店やホテル・旅館、小売店などで従業員と共に働くことを目的に開発された配膳ロボットで、「焼肉きんぐ」では、配膳と下げ膳に「Servi」を活用し、スタッフのキッチンと客席間の往復移動や重量物の運搬作業の削減を目指している。

物語コーポレーションとソフトバンクロボティクスは、今後「Servi」の導入拡大を検討していくという。

中国製と日本製のロボットのシェア争いは、現時点ではすかいらーくHDの大規模導入で、中国製ロボが優位に立っているように見えるが、果たして日本勢の巻き返しはあるだろうか。

文:M&A Online編集部