「サーチファンド」による3人目の経営者が誕生 2023年もサーチ活動は活発に

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Japan Search Fund Accelerator(東京都中央区)と野村リサーチ・アンド・アドバイザリー(東京都千代田区)が、運営するサーチファンド「ジャパン・サーチファンド・プラットフォーム投資事業有限責任組合(JSFP)」の第1号サーチャー(M&A先を探している個人)である松本竜馬氏による事業承継が実現することになった。

JSFPは神奈川県を中心に訪問看護事業を展開しているメディプラス(横浜市)の株式を取得し、松本氏が同社の経営を引き継いだあと、松本氏とともにメディプラスの成長支援に乗り出す。

2022年にサーチャーが企業経営者に就いたのは、リフォーム事業を手がけるミスターデイク(山梨県甲府市)の大屋貴史氏、職域向け総合決済システムを手がけるエヌ・エス・システム(東京都中央区)の西澤泰夫氏の2人で、松本氏は3人目となる。

これまでサーチャーが経営者就くのはまれだっただけに、今年一気に活動が活発化したことになる。現在10人を越えるサーチャーが活動しており、2023年もサーチファンドによる事業承継は増加しそうだ。

タツミ訪問看護の事業を承継

メディプラスは神奈川県と東京都に「タツミ訪問看護」として17拠点を展開しており、看護師、リハビリテーションスタッフ、ケアマネージャーら200人以上のスタッフを抱えている。

松本氏は地域医療を支える福祉関連事業に興味を持ち、この分野を中心に承継企業を探索(サーチ)していた。松本氏の地元が神奈川県であったこともあり、事業承継が実現した。

サーチファンドは、M&Aを目指す個人が投資家からの資金援助を受けて、経営者になる仕組みで、後継者難に悩む企業とサーチャーを結び付ける新しい事業承継手段として関心を集めている。

ジャパン・サーチファンド・プラットフォーム投資事業有限責任組合は、野村リサーチ・アンド・アドバイザリーが無限責任組合員となり、野村ホールディングス、大同生命保険、中小企業基盤整備機構、ゆうちょ銀行などが有限責任組合員として出資している。

サーチファンドの仕組みを活かし、事業承継問題を抱える未上場企業を対象に、サーチャーが経営者となる第三者承継の実現を目指している。

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文:M&A Online編集部