編集者からの素朴な疑問として、「SEはなんでMacユーザーが多いのか」と聞かれました。
実は筆者は、プログラムを始めてから何度か同じ質問を受けたことがあります。みなさん気になるのでしょうね。なので今回はこの質問にお答えいたします。
プログラマーがMacを選ぶのは、プログラミングしやすい環境だから、ハードウェアが使いやすいから、iPhoneアプリ開発ができるからという理由が思い当たります。また、Macを使うプログラマーが増えると、プログラミング入門者は教えてもらいやすいのでMacを選ぶということが多いのではないでしょうか。とはいえ、最終的には用途や好みで選ぶことになり、優劣をつけられるものではなさそうです。
参考までに、IDCの調査結果によるとAppleのPCシェアは7.2%で世界4位(4Q18(2018年第4半期))。シェアトップはLenovoの24.6%です。
この、プログラマーにMacユーザーが多い問題について、もう少し丁寧に説明してみます。また、Windows PC市場にてLenovoが事業買収によりシェアを大きく伸ばした事例を紹介します。
統計をとったわけではないのですが、筆者の感覚としてMacを使うプログラマーは多いです。
筆者は2015年から50回以上の勉強会を主催して、1,000人以上のエンジニアとお会いしています。そこでの体感としては、先程引用したAppleの世界PCシェア7.2%という数字よりも多い割合で、プログラマーはMacを使っています。
ではIT勉強会でのMacシェアはどれほどかというと、年によって変遷があるように思います。
正しく計測したわけではありませんが、2015年はMacが多く、8割を超えていたと記憶しています。その後一時期MicrosoftのSurfaceユーザーが増えはじめました。今思うと、Windows10とSurface Pro3が出たあたりだったかもしれません。今ではMacユーザーが6割くらいでしょうか。
このように、プログラマーがプログラミングをする際はMacが多いと思います。
ただし例外があって、以下のパターンではMacは使われていないようです。
・ゲーム用デスクトップPC
・ビットコイン等の仮想通貨のマイニング
・自宅サーバー
このようにプログラマーは、プログラミング以外の用途ではMac以外のPCを使うことが多いようです。
プログラマーはなぜプログラミングの際にMacを選ぶ傾向があるのでしょうか。
この疑問について、「Mac」をハードとソフトの要素に分けて説明します。
「Mac」は、Appleが販売しているPCを指します。このMacのハードウェアの内部では、標準では「macOS」というソフトウェアが動いています。
補足になりますが、通常私達が「Mac」と言うときはこの両方。つまり、Macのハードウェアの内部でmacOSが動いている状態が多いです。しかし、必ずこの組み合わせであるとは言い切れません。Macのハードウェア上でWindowsやLinuxのOSを動かす場合もあります。
このように「Mac」にはハードウェアを指す場合ととソフトウェアを指す場合があります。次に、この2つの視点でプログラマーがMacを選ぶ理由を説明します。
Macのソフトウェアが使いやすい理由は、以下のとおりです。
・プログラミングがしやすいから環境が揃っているから
・Appleが提供するOSのUIが使いやすいから
MacはUnix互換のOSであり、プログラミングに特化したツールが揃っています。Webサーバー上で動く環境と揃えやすいため、Webプログラミングをしやすいです。また、デフォルトでRubyやPythonといったプログラミング言語がインストールされてあり、すぐにプログラミングできる環境にあります。
Appleが提供するmacOSのUIが使いやすいという人も多いです。これは好みなのでしょうね。
Macのハードウェアが使いやすい理由は以下のとおりです。
・トラックパッドの反応がよく使いやすい
・英語配列のキーボードが入手しやすい
筆者の周りで多いのが、Macはトラックパッドが使いやすいという意見でした。一方でMac以外のトラックパッドは反応が悪く使いにくいようです。
英語配列のキーボードが入手しやすいという意見もよく耳にします。プログラミングには通常英字を用いますので、より英字を入力しやすい英語配列のキーボードを愛用するプログラマーがいます。購入時に英字キーボードを選択できるMacは魅力のようです。
ではMac以外がプログラマーにとって使いにくいかというと、そんなことはありません。
ソフトウェアのUIは好みですし、必要な開発環境は人によります。例えばAzure等のWindows環境で開発するプログラマーはWindowsのOSを使います。Linux系のプログラミング環境を準備する場合でも、最近では扱いやすいツールが増えてきています。
ハードウェアの面では、性能の割に安価なのと、メモリ増設等のカスタマイズができるというメリットがあります。
例えば前述のWindowsが向いているケースは、このコストパフォーマンスとカスタマイズ性が理由だと思います。
・ゲーム用デスクトップPC
・ビットコイン等の仮想通貨のマイニング
・自宅サーバー
また、Linux系のOSを使うプログラマーはコストパフォーマンスとカスタマイズ性に優れるWindows PCを購入してLinuxをインストールすることがあります。
最終的には用途や好みで選ぶことになり、機種やOSに優劣をつけられるものではなさそうです。
Windows用のPCは多くのメーカーが販売していて、種類が多いです。これはMacと対象的な点です。
Windows PCの中でどれを選べばよいかというと、これは正解がありません。用途と予算と好みで選んでみてください。
自分の周りのプログラマーは次のような機種を使っているようです。
・Lenovo ThinkPad X1 Carbon
・Dell XPS 13
・Microsoft Surface Pro
LenovoのThinkPadを使うプログラマーは多いです。これは前述のIDC調査結果ともある程度一致するようですね。性能が高い分、他のWindowsPCよりも少し高いと思いますが、気になったら調べてみてください。
Lenovoは事業買収(M&A)によりPCシェアを拡大した企業です。2013年にはHPを抜き、世界シェア1位のPCベンダーとなりました。
〇Lenovoの主なM&A
年 | 出来事 | |
---|---|---|
2004年 | IBM社のPC部門を買収 | |
2011年 | NECのPC部門とドイツの大手PCメーカーメディオンを買収 | |
2017年 | 富士通のPC部門を買収 |
詳しくは、M&A onlineのこちらの記事を参照してみてください。
【レノボ】IBM、NEC、富士通のパソコン部門を買収
日本のPC部門が買収されたことに、驚いた方も多かったのではないでしょうか。Lenovo以外でも、シャープと東芝のPC事業は、鴻海(ホンハイ)傘下となっています。
詳しくはM&A onlineのこちらの記事を参照してみてください。
M&A速報 東芝、パソコン子会社をシャープへ譲渡
もしこれからプログラミングを始める場合、どのPCを選べばよいかという質問を受けることがあります。
用途や好みによるので一概には言えませんが、迷った際は以下の順に考えてみてはいかがでしょうか。
iOS、macOSのアプリケーションを開発したい場合
・iPhoneアプリを販売したい場合→ Mac
すでにPCを持っている場合
・問題なければ使い続ける
プログラムを教えてくれる人がいる場合
・教えてくれる人と環境を揃える
プログラミングは機種やOSに縛られず楽しめますので、あまり気にせず始めてみましょう。都内であれば無料の勉強会が盛んなので、持ち運べるラップトップ(ノート型)がおすすめです。
ぜひ楽しいPCライフを!
文:鶏肋 太郎