「餃子の王将」コロナ禍の中、売上高が過去最高に 値上げの効果も

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東京・神田の店舗

餃子の王将を展開する王将フードサービス<9936>の売上高が、コロナ禍の中、過去最高を更新する見通しとなった。

店内売り上げが回復基調にあるほか、テイクアウトやデリバリーが好調に推移しているところに、値上げの効果も加わるためで、2023年3月期の売上高は、これまでの過去最高だった2020年3月期(855億7100万円)を50億円近く上回り900億円を突破する。

利益は時短営業などによる協力金の計上によって大幅な増収となった2022年3月期と比べると減益は避けられないものの、経常利益、当期利益は過去最高売り上げの2020年3月期をわずかだが上回る。

外食産業は新型コロナウイルス感染症拡大の影響から抜け切れないところが多いが、回転ずし業界などでは回復傾向が鮮明になっており、2022年は次第にコロナ越えを実現する企業が増えそうだ。

2022年3月期は900億円強に

王将フードサービスの2023年3月期の売上高は前年度比6.2%増の900億2900万円の見込み。期中に店舗数を10店舗(14店出店、4店閉店)増やすことや5月14日に2割の商品を20-30円値上げしたことなどが効き、店内売り上げ、テイクアウトやデリバリーともに伸びる見込み。

営業利益は同8.0%増の75億1600万円、経常利益は同33.8%減の86億2700万円、当期利益は同37.8%減の54億7800万円の予想。値上げによって仕入れ価格や物流費、人件費などの上昇を吸収し営業増益となるものの、協力金計上額の減少により経常利益、当期利益は減益となる。

同社の2022年3月期は、売上高847億7500万円(前年度比5.2%増)、営業利益69億5900万円(同14.6%増)、経常利益130億2400万円(同89.6%増)当期利益88億700万円(同2.05倍)で、経常利益と当期利益は過去最高を更新した。

値上げでレシピを改良

外食産業は、為替の円安に加え、ロシアによるウクライナ侵攻によって、食材やエネルギー価格が上昇しており、収益力が低下している。

帝国データバンク(東京都新宿区)によると、主要外食100社のうち、29社が過去1年ほどの間(2021年4月-2022年4月)に値上げを実施しており、今年夏ごろからはさらに値上げが広がる可能性があるとしている。

王将フードサービスは値上げでコストアップに対応するとともに、おいしさを追求したレシピに改良したという。果たして消費者の支持は得られるだろうか。

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文:M&A Online編集部