「ワーキング・ガール」(1988年)|一度は見ておきたい経済・金融映画&ドラマ<2> 

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経済や金融業界のリアルな姿を垣間見たいのなら、映画がおすすめ! 特に本を読むのが苦手な人や異業種で働く人には、映像で見るのは分かりやすく、2時間程度なので手っ取り早い。実話をベースにした作品もあるので、世の中の経済事件を理解するのにも一役買ってくれる。多少専門用語も出てくるものもあるが、映画をきっかけに勉強してみるのもおすすめだ。エンターテインメントとしても楽しめる、おすすめの1本を紹介する。

「ワーキング・ガール」(1988年)

「ワーキング・ガール」

1980年代後半にアメリカで起きたM&Aブームを背景に、恋に仕事に奮闘する女性のサクセスストーリー。主題歌「Let The River Run」はアカデミー賞主題歌賞を受賞した。この曲を聞くと、なぜだか元気が出てくるという人も多いはず。

【あらすじ】

舞台はニューヨーク・ウォール街の証券会社。一流の証券ウーマンになることを夢見て、秘書として働く主人公のテス(メラニー・グリフィス)は、M&A部門の部長キャサリン(シガニー・ウィーバー)の下で働くことに。セスはある会社の買収についてキャサリンにアイデアを提案するのだが、自分のアイデアが彼女に盗まれたことを偶然知り、キャサリンになり代わって自らの手で買収案件を進めていく。

【見どころ】

当たり前となった女性の社会進出

テスをはじめ、企業で働く女性の多さが目につく。特にキャサリンが統括するM&A部門のフロアは女性だらけといっても過言ではない。80年代当時、それだけ女性の社会進出が当然のことになっていたのだろう。映画冒頭で、テスがスニーカーからヒール靴に履き替えるシーンは有名。靴を履きかえることが、仕事モードへの切り替えスイッチのようでかっこいい。

買収防衛策に大量の自社株買い“a major stock repurchase”

テスがキャサリンになりすまし、ハリソン・フォード演じるジャックに自分の買収アイデアを語る場面。放送業界への進出を狙ってテレビ局の買収に何度か挑戦しては失敗に終わっているトラスク産業に対してラジオ局の買収を持ちかけることを提案するも、そんな安い買い物はきっとしないと一蹴される。トラスク産業はBS上大量のキャッシュがあるからこそ、競合である日本企業に敵対的買収の対象として狙われているからだ。すると、テスは想定内であったとばかりに、余った資金で自社株買いをすればいいと切り返す。1980年代の好景気に日本企業の多くが海外企業を買収していたことも思い出されるシーンだ。

エレベータートーク

物語の終盤、テスがトラスク産業の社長に買収のアイデアは自分のものだと訴える場面。エレベーター内でのプレゼンが功を奏し、社長の信頼と共に新しい職まで手に入れてしまう。いわゆる「エレベータートーク」の成功例だ。30秒~1分程度の短い時間の中で自分が言いたいことを相手に伝える。シリコンバレーの起業家たちも投資家らを相手にこの簡潔なトークでビジネスを成功させているというから、ぜひ真似したい。

文:M&A Online編集部

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