​【キャリア】合併を理由とした転職活動

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合併を契機に転職を考える人もいるだろう。転職を決断した理由はいろいろだろうが、どうせなら、今よりよい条件で転職をしたいものだ。その際に、採用面談での退職理由の伝え方には注意が必要だ。

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M&Aで退職に追い込まれる背景とは

合併によって退職しなければならない事情が発生する背景としては次の3タイプがある。

1つ目は、合併で同一業務を担当する部署が重複するようになったからというもの。
経理財務や総務など管理系職場が該当することが多い。

2つ目は、合併後の経営方針の転換で、担当していた業務がなくなるというもの。
例えば、営業職は会社が自分の担当する製品から撤退することになれば比較的早く仕事がなくなる。B2Bでは実際の撤退まで1年以上かかるケースもあるが、撤退発表と同時に人員整理が始まる。
生産系の職場では、会社間の供給責任があるので生産が完全に終了するまでは人員整理は行わないのが一般的だ。情報システムも、合併すれば一つのシステムに統合されるケースが多く、廃止になるシステムの担当者は仕事がなくなる。

3つ目は、買収側が相手企業へのコントロールをきかせるために、被買収側の責任者をクビにして、自社から代わりを派遣するケースである。部長以上の職位の人が該当する。

ケース別の対処法

企業の人事部では、合併によって、このように本人が原因ではないのに退職に追い込まれる状況が発生することは、十分承知している。

あなたが上記の1つ目と2つ目のケースに該当するならば、それを採用面接の場で正直に伝えるだけだ。面接者の関心は、退職理由よりも「あなたが今どんなスキルや経験をもっているか」にあるので、しっかりと自己アピールした上で、「今後さらに広げていきたい活動領域は・・・」と将来の可能性に目をむけた話しをするように心がけるとよいだろう。

注意が必要なのは3つ目の理由による退職である。1つ目と2つ目のケースが職場ごとに一斉に行われる人員整理に対して、3つ目は個人をターゲットにして行われるので、買収側に「能力面やコミュニケーションに問題がある人なのでは」と面接者に誤解を与えぬよう、実績を詳しく説明する必要がある。

合併経験者が宝石に見えることも

最期に、合併による退職は、何もマイナスな側面ばかりではないことを述べておく。採用企業側から見て、合併経験者が宝石に見えることがある。それは次のようなケースである。

1.合併後の統合作業に深くかかわった、責任者として統合作業をリードした
2.相手企業の社員(日本人以外)とチームを組んで統合作業を行った
3.管理職として、人員整理など「人」に関わる苦労を経験した

合併が増える中で、合併経験を活かして有利に転職していただきたい。

文:人事コンサルタント ミッキー

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