メガバンクは一昔前、憧れの就職先だった。しかし、年々業務環境は厳しさを増しており、今や斜陽産業の代表格のような存在になってしまっている。銀行を志望する学生も少なくなっており、今後もこの傾向が続くだろう。
しかしながら、今でもメガバンクに就職する意味は十分にある。そこで今回はメガバンクに15年以上勤務した筆者がそのメリットについて説明するので、ぜひ参考にしてほしい。
メガバンクに就職するメリットはいくつかあるが、特に大きなメリットだと感じているものを3つ紹介する。
メガバンクの営業目標は過酷だ。顧客の情報が豊富なので他の業界に比べると営業自体は楽な部分はあるかもしれない。しかし、メガバンクの営業担当者に対する顧客の要求レベルが高いこともあり非常に苦労する。また、圧倒的にノルマが高いため、毎月苦労している銀行員の人たちは多いだろう。
そうした中、何年も銀行の営業をしていくにつれ、圧倒的な営業力が身に付くのは間違いない。特に個人営業の場合、様々な気遣いが必要とされるため、こちらについてはどこの業界に行っても通じる営業力が身に付くのではないだろうか。
ちなみに収益の目標については、支店の規模にもよるが、筆頭の担当者であれば、大体、投資信託などの金融商品を3億円から5億円販売することが求められるだろう。
メガバンクで働いている人たちは、何といってもまだまだ優秀な人たちが多い。多くの優秀な人たちと人脈ができるのは強みだ。
また、営業先の顧客と人脈ができる場合もある。人によっては営業先に転職する人もいるので、様々な人脈ができるのはメガバンクで働く大きなメリットになるだろう。
今は以前に比べて露骨なパワハラはない。しかしノルマをこなさなければ、銀行にいづらくなるのは今も昔も変わりはない。
精神的に強くなければ銀行で長年勤めるのは難しい。圧倒的なプレッシャーの中で身を置くことによって、精神的に強くなれるのは大きなメリットになるのではないだろうか。
メガバンクの人気は以前に比べてかなり落ちている。以前は私大であれば、早慶レベルの学生でないとなかなか就職ができなかったが、今はマーチ校(MARCH。明治、青山学院、立教、中央、法政)にも門戸が広がっている。採用人数は減っているが、就職するのは意外と難しくないかもしれない。
メガバンクに一生勤めるのは正直おすすめできないが、数年間働くには非常に良い環境であると感じる。様々な知識や人脈がつくので、その経験値をもとにより環境の良い会社に転職するのも良いだろう。
また、独立するにしても、財務知識や営業力が身に付くので、独立志向のある方にもおすすめできる。
今回はメガバンクの就職が意外と穴場である理由について説明した。メガバンクの労働環境は、以前に比べてはるかによくなっている。
もちろん、厳しい側面もあるが、様々なビジネスに必要な力が身に付くため、その経験は決して無駄にならないはずだ。銀行への就職を検討してみるのも良いのではないだろうか。
文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)
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