銀行は、斜陽産業だといわれて久しい。確かに、新卒の採用人数を大きく絞り、現役行員の数も相当減っている。特に、個人の顧客を相手にするリテール部門については縮小が進み、支店の数などは劇的に減っている銀行が多い。
この記事を読んでいる方の中にも、以前に比べて銀行が不便になったと思っている方も多いのではないだろうか。
しかし、今、銀行のリテール部門は、富裕層に力を入れて、収益改善を図ろうとしている。富裕層については、一般顧客と全く違う対応を行っており、多くの富裕層が満足をしている状況だ。
そこで今回は富裕層が銀行で受けられるサービスの内容について説明したい。
銀行の富裕層が受けられる。主なサービスは3つに集約される。
①担当者がついたきめ細かいサービス
②宝塚歌劇の鑑賞チケットや銀行の特別なイベントへの招待
③銀行だけではなく、信託銀行や証券会社を含めた総合金融サービス
いま、銀行の個人の顧客で担当者がつくのはかなりレアなケースになっている。多くの銀行では、行員を減らしている影響で、担当者の数が激減している。そんな中、富裕層に付く担当者はかなり優秀だ。優秀な担当者がつくのが大きなメリットになる。
また、富裕層に関しては、宝塚の特別なチケットや銀行の特別なイベントへの招待を受けられる。一般顧客に関してはカレンダーを渡さない銀行は多い中、明らかに対応を変えているのだ。
銀行のイベントになんか参加したくないと思われる方もいるかもしれないが、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)貸切など非常に豪華なイベントを実施するので、多くの人は参加したいはずだ。最近では隅田川や淀川の花火大会を特等席から見られるイベントなどを行っている。
三つ目は総合金融サービスの提供だ。メガバンクを中心に、今や富裕層は、銀行と付き合えば証券会社や信託銀行などを紹介してもらえ、銀行だけでは行えない総合金融サービスの提供をしてもらえる。
例えば、信託銀行の場合、優良不動産をたくさん抱えているため、不動産の紹介を受けられる。また、相続対策については、信託銀行は様々なノウハウがあるため、最良の提案を受けられるだろう。
証券会社についても一般の人が受けられない様々なサービスを受けられる。IPO(新規公開)株式はもちろんのことだが、特殊な仕組債の提案を受けられるなど、本当に多くのメリットがあるのだ。
今後、メガバンクはどんどん支店の閉鎖を行い、店舗での振り込み手数料などの手数料を値上げしていくだろう。要は、一般人に支店に来て欲しくない姿勢を明確にするはずだ。
一方、富裕層については、一般人が受けられない様々なサービスの提供を受けられる可能性が高い。今後メガバンクと付き合うのは非常に価値があることになるかもしれない。
文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)
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