公認会計士になるための「勉強法」というのは、人それぞれである。本コラムでは、31歳で働きながら公認会計士を目指した筆者の独断と偏見による試験合格に役立つ勉強法を書いていきたい。
試験合格というゴールを目指すためには、まずは敵(試験)を知らなければならない。今回は、意外と知られていない公認会計士試験の「試験」としての特徴・特色についてみていきたい。
下図は、公認会計士の試験範囲について、各種資格試験(司法試験、税理士試験、日商簿記1級)と共通する部分を簡略化して描いたものである。
※なお実際の出題範囲および難易度について厳密には異なる
公認会計士試験で司法試験と関連性が高いのが、会社法と商法と金融商品取引法が出題範囲となっている「企業法」と選択科目の「民法」である。税理士試験との関連科目では、会計学の「財務諸表論」と「租税法」が該当する。なお公認会計士試験の租税法には、法人税法、所得税法、消費税法が含まれる。日商簿記1級とは、公認会計士試験の財務諸表論と管理会計論である「会計学」と重なる部分が多い。
公認会計士試験においては、独占業務である「監査論」は当然として、法律科目である「企業法」も出題範囲になっている。また、税務に関する科目である「租税法」、財務会計論と管理会計論の「会計学」、また経営に関する科目の「経営学」も試験科目になっており、広い分野の知識が問われる試験であると言える。
例えば、法律科目の「企業法」は、司法試験のように深い内容ではないし、税務に関する科目の「租税法」も、税理士試験のように広い税金の範囲をカバーしているわけではない。しかし、会計学や監査論、経営学などの科目と共に学ぶことで、広い分野の知識を得ることができ、その後の実務に生かすことも可能になる。
このように、公認会計士試験は広範囲にわたる分野に関する試験であるということができる。そのため、受験生の中には、法律科目である「企業法」が得意という人もいれば、「租税法」が得意という人もいるだろう。
広い範囲にわたる分野について、広く浅く(と言っても結構深く)学ぶということが求められる試験であるため、総合力が問われる。さらに、足切りなどの試験制度により、合格するためには全ての科目でまんべんなく得点できることが必要であり、そのような意味でも総合力が必要といえる。
試験制度と戦略的勉強法については、次回以降に紹介する。
文:細田聖子(公認会計士・税理士)