地方銀行上位の百五銀行<8368>は、サーチファンド(個人が投資家からの資金援助を受けM&Aによって経営者になる仕組み)を運営するGrowthix Investment (東京都中央区)と共同で、東海地方では初めてとなるサーチファンド「105東海みらいサーチファンド」を立ち上げた。
三重県や愛知県を中心とする百五銀行の営業エリアの中堅、中小企業の後継者不在問題を解決するのが狙いで、百五銀行の出資金をGrowthix Investmentが運用し、サーチャーの紹介やマッチングを行い、事業承継を進める。
サーチファンドについては、横浜銀行(横浜市)が2023年3月に「サーチファンド未来創造」を設立したほか、ネットメディアの運営やインターネット接続サービスを手がけるエキサイトホールディングス<5571>も2023年8月に同分野への参入を表明。
さらに北九州市が2023年9月に、全国の自治体として初めてサーチファンドと連携協定を結び、市内企業の事業承継の支援に乗り出すなど各地で関心が高まっている。
東京商工リサーチによると、2023年の中小企業の後継者不在率は61.09%で、調査を始めた2019年以降で初めて60%を超えた。事業承継問題の解決にサーチファンドを活用する企業や自治体は今後も増えそうだ。
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105東海みらいサーチファンドのファンド総額は5億100万円で、2024年3月13日に事業を始めた。
百五銀行とGrowthix Investmentが、事業承継セミナーを開催し、後継者不在問題を抱える企業にサーチファンドの情報を提供するほか、サーチファンドに関心のある後継者不在企業が現れた場合は、Growthix Investmentがサーチャーを紹介し事業承継を支援する。
当該企業とサーチャー間で譲渡に合意ができた場合は、SPC(特別目的会社)を設立し、105東海みらいサーチファンドが出資しSPCが当該企業の株式の取得したうえで、サーチャーが当該企業の次期社長に就任するという流れになる。
百五銀行は2019年に「百五みらい投資株式会社」を立ち上げ、ファンド資金を活用した事業承継を支援するなど、後継者問題に積極的に取り組んできた。
今回の105東海みらいサーチファンドについても「サーチファンドの取り組みは、地域のお取引様にとって新たな事業承継の選択肢になる」(荒木田豊百五銀行取締役常務執行役員)と期待を寄せている。
サーチファンドは経営者を目指す個人(サーチャー)が、自ら経営したい企業を探し出し、投資家から調達した資金で企業を買収し経営者となる米国発のM&A手法。
Growthix Investmentは、サーチャーを育成する「ネクストプレナー大学コミュニティ―」を運営するなど、サーチファンドの普及に力を入れており、これまでに5件の実績がある。
東京商工リサーチによると、後継者不在率が高まったのは、若い経営者が増え事業承継の時期にない企業の割合が上昇したことも一因とみられるとしたうで、代表者の年齢が60代の企業の後継者不在率は46.18%、70代で30.53%、80歳以上で23.83%となっており、「深刻な状況を示している」としている。
文:M&A Online
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