コロナ禍でゴディバが北米全128店撤退!日本では、どうなる?

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「甘い夢もこれまでか」―高級チョコレートブランドを世界展開するベルギーのゴディバが、北米地域での自社ブランド店舗販売からの撤退を決めた。同地域には128店舗を出店しているが、2021年3月末までに全店舗を売却または閉鎖する。

北米市場では実店舗から通販へシフト

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により実(リアル)店舗での販売が落ち込んでいることから、量販店への単品供給やネットショップでの販売に全面的に切り替えることにした。

ゴディバの自社ブランド店舗の多くは、大型ショッピングセンター(SC)内に出店している。しかし、近年は米国で消費者の大型SC離れが顕著になっており、コロナ禍によりさらに客足が遠のいた。

スイスUBSは米国に展開する専門チェーン店舗はコロナ禍前の2019年に88万3000店あったが、2025年には78万2000店と10万店以上が閉店すると予想している。半面、ネット通販は総小売売上高でのシェアが2019年の15%から2025年には25%に成長する見込みという。

ゴディバは欧州や中東、中華圏などでの自社ブランド店舗は存続すると発表している。では、日本はどうなるのか?実は同じ「ゴディバ」ブランドでも、親会社は全く別だ。

ゴディバの日本での店舗展開はどうなる?(ゴディバ アクアシティお台場、同社ホームページより)

ゴディバは経営危機により1972年に米食品会社のキャンベル・スープ・カンパニーの傘下に入り、2007年にはトルコ食品大手のユルドゥス・ホールディングスが買収。ユルドゥスが2019年に東アジアを拠点とする投資ファンドのMBKパートナーズへゴディバの日本事業を売却した。

同じブランドでも国によって明暗

日本もコロナ禍による小売事業への影響は深刻だが、高級ブランド商品の人気は根強い。MBKパートナーズは買収から3~5年後にゴディバ日本事業の新規株式公開IPO)を目指している。

2020年11月に国内初となる飲食業態の「ゴディバカフェ(GODIVA café)」を東京駅(東京都千代田区)に開設するなど、企業価値を上げるため販売チャンネルの拡大を進めている。

ゴディバはコロナ感染拡大後の2020年3月以降にミーナ京都店やEXPASA海老名店などを閉店しているが、イオンモール高崎店や豊橋カルミア店、経堂コルティ店、イオンモール富士宮店、エスパル福島店などを開店しており、店舗数は増加している。北米のような実店舗の全面撤退はないだろう。

一方でゴディバは、日本でもネット通販に力を入れている。チョコレートは302円(税込)の1個売りから 1万4580円(同)のセット売りまで、幅広い価格帯で商品展開している。日本のゴディバは当面、実店舗とネット販売の両にらみで事業を展開することになりそうだ。

日本でも米国同様にネット通販に力を入れている(同社ホームページより)

似たようなケースは2018年3月に経営破綻した米トイザラスの日本事業や、2021年1月に米国法人(ロクシタンU.S.)が経営破綻した仏化粧品大手ロクシタンの日本事業などでも見られる。

トイザラスでは経営破綻後に日本のトイザらスを含む好調なアジア事業が売却により切り出され、ロクシタンでは日米で資本関係がなかったために、いずれも米国の大型リストラに巻き込まれなかった。同じ世界ブランドでも、国によって明暗が分かれるのだ。

文:M&A Online編集部