【GMOインターネット】オーガニックとM&Aグロースで一大グループ企業へ

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※画像はイメージです。

インフラ事業を核とした
インターネットサービスの一大企業群

 GMOインターネットグループ<9449>(以下、GMOグループ)ほどM&Aを積極果敢に取り組む企業も珍しい。グループ企業は87社。うち9社が上場企業。海外では、17カ国、40拠点において事業展開する(2016年1月31日現在)。主な事業は、インターネットインフラ事業、ネット広告・メディア事業、モバイルエンターテイメント事業と4つのセグメントで事業を展開し、毎年多くの企業をグループ傘下に取り込んでいる。


 同社グループは、取り込んだ企業をGMOインターネット傘下に集約するのではなく、事業セグメントごとにM&Aを行っている。例えば、インターネットインフラ事業であれば、ホスティングサービスやセキュリティサービスを手掛けるGMOクラウド(東証1部上場)、クレジットカードなどの決済処理サービスを行うGMOペイメントゲートウェイ(東証1部上場)、個人向けホスティング事業などのGMOペパボ(ジャスダック上場)が、ネット広告・メディア事業であれば、インターネット広告関連のグループ企業を統括するGMOアドパートナーズ(ジャスダック上場)が、ネット証券事業であればGMOクリックホールディングスが行うという具合だ。

 下表は、04年以降に同社グループ各社が取り組んだ主要なM&Aの一覧である。

■GMOグループが行った主なM&A

年月 GMOインターネットが行った内容
2004.4 ベッコアメ・インターネットが運営するインターネット接続サービスおよびホスティングサービスの営業権を取得
2004.6 株式交換によりパワーフォーメーション(売上高43億円)の完全子会社化。同時に同社が筆頭株主である求人広告代理店業のサンプランニングもGMOグループとなる
2004.7 株式交換によりCCSホールディング(売上高4億円)の完全子会社化。同時にその子会社でクレジットカードのオンライン与信ネットワークの運用と提供を手掛けるカードコマースサービスもGMOグループとなる
2004.7 株式交換によりネットクルー・ジャパン(売上高9千万円)の完全子会社化。同時にその子会社でオンラインゲームの企画・運営事業を行う韓国のネットクルーもGMOグループとなる
2004.7 ゼロ(売上高16億円)の運営するインターネット接続事業を吸収分割により継承
2004.8 3721ソフトの株式40%取得ならびにその子会社であるJwordサービスを展開するアクセスポートのGMOグループ参画に関する基本合意書締結
2004.8 株式交換により社アイズファクトリーの完全子会社化。同時にその子会社でインターネットコミュニティサービスを運営するティーカップ・コミュニケーションもGMOグループとなる
2004.9 株式交換により日記スペース無料サービス「さるさる日記」事業を運営するフォーバルの完全子会社化
2004.10 株式交換により3721ソフトの完全子会社化ならびにアクセスポートの子会社化
2004.11 GMOグループ会社の経営管理の向上を図るため、CCSホールディング、アイズファクトリーおよび3721ソフトの3社を吸収合併
2004.11 インターネット上でのオンラインクレジットカード決済処理サービス事業の強化を図るため、株式会社ペイメント・ワンと株式会社カードコマースサービスを経営統合(ペイメント・ワンからカードコマースサービスへの営業譲渡
2004.12 GMOグループは、サーバー事業の強化を図るためGMOホスティングアンドテクノロジーズを存続会社としてお名前ドットコムと合併
2005.3 GMOグループは、インターネットメディア事業の強化を図るため、GMOメディアアンドソリューションズ株式会社とGMOモバイルアンドデスクトップを経営統合
2005.8 女性向け個人ローンを提供するオリエント信販の株式94.28%をユニゾン・キャピタルなどから250億円にて取得、子会社化
2005.8 株式交換により、ドメイン登録を専門とした事業を運営するソリス(売上高1億円)の完全子会社化
2005.11 GMOインターネッグループにおけるテレマーケティング事業とドメイン事業の競争力の更なる強化を目的として、経営資源の集約を図るため、当社子会社であるGMOコミュニケーションズおよびテレコムオンラインならびにソリスの3社を吸収合併
2006.7 連結子会社であるローン・クレジット事業分野のGMO ネットカード、個人向けローン事業を運営する三貴商事(売上高23億円)を25億円にて買収
2006.7 GMOインターネットグループにおけるインターネットリサーチ分野ならびに調査研究分野の統合を図るため、当社子会社である GMO総合研究所とGMOリサーチを合併(GMO総合研究所が存続会社)
2006.8 連結子会社でありローン・クレジット事業を運営するGMOネットカード、個人向けローン事業を運営する有限会社ジャストならびにグループ会社他計13社(合計売上高97億円)の発行済株式の全部を266億円にて取得
2007.1 連結子会社のGMOネットカード、株式移転により、完全親会社(GMOローン・クレジットホールディングス)を設立
2007.1 GMOネットカードの子会社である三貴商事およびジャクソンを法改正に伴い、ローン・クレジット事業のプラットフォームを整理するため、その貸付債権をGMOネットカードへ譲渡し解散
2007.8 ローン・クレジット事業からの完全撤退と子会社であるGMOローン・クレジットホールディングスの株式譲渡。譲渡により連結損益では、のれんの減損損失を約59億円及び新株予約権の評価損を5億円計上。個別損益では子会社株式の評価損263億円および新株予約権の評価損5億円を計上
2007.8 子会社であるGMOインターネット証券における所有の全株式(95.9%)を47億円にて譲渡。売却により関係会社株式売却益が、28億円の特別利益に計上・個別20億円を計上
2007.8 ローン・クレジット事業の撤退により毀損する財務基盤の強化のため、連結子会社であるGMOホスティング&セキュリティの株式を一部売却。売却により関係会社株式売却益を連結7億円相当・個別10億円相当を計上する見込み
2007.9 所有するイーバンク銀行の全株式を譲渡。これによる譲渡代金は62億円、譲渡益は 12 億円を特別利益(連結・個別)として計上する予定
2007.12 ヤフーを引受人とする第三者割当増資を実施。募集後のヤフーの所有割合は5.03%
2008.5 GMOインターネットグループにおけるEC 支援事業の更なる強化を目的として、当社の法人営業統括本部の全ての事業を当社グループの EC支援事業の戦略子会社であるGMOソリューションパートナー株式会社へ移管
2008.5 インタラクティブマーケティング(消費者と直結した双方型のマーケティング手法)を強みとするインターネット広告会社であるNIKKO(ニッコウ)に資本参加し、連結子会社
2008.10 バトラァーズの運営するWebサイト売買・仲介事業に係る資産「Site M&A」を譲り受け
2009.6 中間持株会社を用いた広告代理事業再編。NIKKOがGMOアドホールディングスに商号変更し、広告代理事業持株会社となる
2010.3 連結子会社GMO Games(9千万円)の全株式を譲渡
2010.9 一般投資家に対して有価証券取引や外国為替証拠金取引サービスをオンラインで提供するクリック証券(売上高163億円)の株式40%を52億円取得し、連結子会社化
2010.9 Android アプリマーケット事業の展開を目指しアクロディア(売上高28億円)と資本・業務提携
2011.2 クリック証券の完全子会社化に向けた株式交換に関する基本合意
2011.3 スマートフォンゲームプラットフォーム事業におけるアクロディアとの合弁会社(GMO ゲームセンター)設立(連結子会社化)
2011.6 ベトナムにおいてオフショア開発事業を行うRunSystem(売上高7千万円)との資本・業務提携契約書締結ならびに株式51.19%取得、子会社化
2011.7 バリュードメインを運営するデジロック(売上高19億円)との資本・業務提携ならびに株式67%を取得、子会社化
2011.11 連結子会社であるGMOクリック証券、株式移転により持株会社(GMOクリックホールディングス)設立
2013.7 完全子会社であるGMOメディアホールディングスを吸収合併
2013.10 PC 向けオンラインゲーム事業を展開するゲームポット(売上高43億円)を9億円にて買収
2014.1 スタートアップ企業の支援を行うため、幕末と合弁会社(GMOベンチャー通信スタートアップ支援)を設立
2014.10 ミャンマー国内向けにインターネットインフラ事業を展開するため、現地法人ACE Data Systemsと合弁会社GMO ACEを設立
2014.12 カルチャー支援事業を開始するため、同事業を行なうGMOカルチャーインキュベーション(売上高9千万円)へ出資、同社を特定子会社化
2015.1 連結子会社であるGMOクリックホールディングスは、同社の連結子会社であるGMOクリック・インベストメントの全株式を、エフ・ジェー・ネクスト(売上高4千万円)に3億円にて譲渡
2015.1 ジェーシービー・サービスのモバイルインターネット接続サービス「Route J モバイル」事業(売上高2千万円)を吸収分割にて承継
2015.6 連結子会社であるGMOクリックホールディングスの株式の一部を立会外分売にて売却。関係会社株式売却益が連結で約47億円、個別で53億円発生する見込み
2015.6 決済事業における三井住友フィナンシャルグループとの資本業務提携およびGMOインターネット連結子会社(GMOペイメントゲートウェイ)の第三者割当増資の引き受け
年月 GMOペイメントゲートウェイが行った内容
2005.5 クレジットカード決済、コンビニ決済、プリペイドカード決済、オンライン銀行決済等の各種決済サービスの提供を約300店の加盟店に対して行うイプシロンの全株式を、スカイマークエアラインズより1億円にて取得
2010.2 データ・アプリケーションからACMS eCashに関する事業(売上高1千万円)を4千万円にて譲り受け
2014.8 連結子会社であるソーシャルアプリ決済サービスの全株式をエムティーアイ(売上高9千万円)に3千万にて譲渡
年月 GMOクラウドが行った内容
2006.3 ホスティングサービス事業の強化を図るため、アイアイティーヴィー(売上高2億円)が運営する、ホスティングサービス事業(1億円)の営業譲り受け
2006.8 米国・子会社のWEBKEEPERS、米国で専門ホスティングサービスを提供するMegaFactory(売上高1億円)と合併。(MegaFactoryが存続会社)合併後の持分が51%となり、MegaFactoryは子会社に
2006.8 子会社の日本ジオトラストを通じて英国・Certification Services(売上高2億円)の株式を5257千ドル)にて買収
2006.10 孫会社である英国・Certification Services、欧州を中心に電子認証サービスを提供するベルギーのGlobalSign NV(売上高1億円)を11億円にて買収
2007.2 GlobalWeb (韓国)との業務・資本提携および合弁会社設立
2008.8 連結子会社であるマイティーサーバー、インタードットネットのマネージドハウジング、ホスティングサービス事業(売上高2億円)を4億円にて譲り受け
2008.9 連結子会社であるマイティーサーバー、GMOマネージドホスティングに商号変更
2009.11 オフィスコンサルティングサービスを主力事業とする営業会社のコミュニケーションテレコム(売上高8億円)を1億円にて子会社化
2010.4 100%子会社であるGMOマネージドホスティングを吸収合併
2010.8 アイティーネクストホールディングスおよびその子会社でレンタルサーバー事業を行うワダックスを7億円にて買収
2014.9 連結子会社で電子認証サービスを展開するGMOグローバルサインおよびGMO Global Signが共同してIAMソフトウェア会社であるUbisecure Solutions(売上高1億円)を13億円にて買収
2015.6 連結子会社である GMO CLOUD AMERICA(以下、CLOUD AMERICA)の全株式をGMOインターネッへ、GMO CLOUD)の全株式をGMOインターネットの子会社である GMO Internetへ譲渡する旨、そして Internetが実施する第三者割当増資をGMOクラウドが引き受ける。なお、今回の株式譲渡により、CLOUDおよびCLOUD AMERICAの2社はGMOクラウド連結子会社から、GMO CLOUD Thailand(CLOUDの子会社)は子会社から除外。Internet社が実施する第三者割当増資引受けにより、Internetへの当社出資比率は 20.0%相当となり、GMOクラウド持分法適用関連会社となる
年月 GMPアドパートナーズが行った内容
2008.11 連結子会社であるGMOサンプランニング株式会社を吸収合併
2010.10 GMOアドホールディングスの子会社であるNIKKOの株式を全株式取得し、完全子会社化
2010.11 100%子会社であるサノウを吸収合併
2011.8 資本提携先であるExysの共同出資による合弁会社(GRAPH TURN)を設立
2011.12 モバイル・スマートフォン領域でネット広告配信を行うサーチテリアの株式67%を取得、2億円にて子会社化
2012.11 子会社GMO NIKKO、アイ・エム・ジェイから広告代理事業(売上高9億円)を4億円にて譲り受け
2013.4 連結子会社でインターネット広告事業を行うシードテクノロジーを吸収合併
2013.5 トライステージとインターネット広告支援事業を手掛ける合弁会社(トライズデジタルベース)を設立
2013.7 アフィリエイトをはじめ成果報酬型広告を得意とするイノベーターズ(売上高4億円)の株式90%を3億円にて取得、子会社化
2013.9 中国4 都市において各種フリーペーパーの編集制作、広告代理などを行うチャイナ・コンシェルジュ(売上高3億円)の株式51%取得、8千万円にて子会社化
2013.12 株式交換によりWEBサイト集客支援事業のGMOソリューションパートナー(売上高27億円)を完全子会社化
2014.4 持分法適用会社で、トライステージとの合弁会社トライズデジタルベースを清算
2015.6 統合アドプラットフォームを展開する株式会社アドクラウドの株式を取得、連結グループ会社化
年月 GMOペパボが行った内容
2012.4 ブックレビューコミュニティサイト「ブクログ」運営事業及び電子書籍関連事業に関する権利義務を、分割により新たに設立する会社(ブクログ)に承継させる会社分割を実施
2015.5 「minne」を含めたハンドメイド事業強化のため「tetote」を運営するOCアイランド(売上高7千万円)にて株式90%を取得し子会社化
年月 FXプライムbyGMOが行った内容
2012.9 完全子会社であるGMOクリックホールディングス、伊藤忠商事子会社のFXプライム(売上高36億円)を公開買付けにより株式76.04%取得、25億円にて子会社化

GMOグループの業績推移と
M&Aによる大きな誤算
 
まさに順風満帆なM&Aの巧者という印象のGMOグループだが、実はそうとも言えない部分もある。次のグラフは、同社の直近16年間の業績推移だが、経常損益が1年だけ大きく赤字に転じている年が見て取れる。07年である。

■直近16年間の業績推移

 07年は同社グループに何があったのか。結論から言えば、M&Aの大失敗があったのだ。

 前出の同社グループが行ったM&A一覧を確認するのが一番分かりやすいが、同社は05年から06年にかけて、ローン・クレジット(消費者金融)事業に参入した。05年8月に女性向けローン事業のオリエント信販を250億円で買収し、消費者金融事業に参入。翌06年には個人向けローン事業を運営する三貴商事を25億円、同年8月には同じく個人向けローン事業を運営する有限会社ジャストならびにグループ会社他計13 社を合計266億円という巨額で立て続けに買収した。

 しかし、買収直後、貸金業法の改正、過払い利息の返還の動きが大きくなり、クレジット・消費者金融業界を取り巻く環境が激変。07年12月期の業績見通しを連結で25億円の黒字から130億円の赤字に大幅に下方修正した。上期は、ローン・クレジット事業において利息返還関連損失を当初見込み比140億円追加計上。そして07年8月には、同事業の持ち株会社GMOローン・クレジットホールディングスの保有株式すべてを現・経営陣に譲渡し、同事業から完全撤退することを決めたのだ。これに伴い07年12月期に撤退関連損失64億円を計上することとなったのだ。

 その後、ローン・クレジット事業からの撤退をカバーするため、同社グループは立て続けに財務改善策を実行する。07年8月にはGMOインターネット証券の株式とGMOホスティング&セキュリティの株式一部を売却。連結で35億円程度の売却益を計上。また、同年9月には所有するイーバンク銀行の全株式を譲渡することにより12 億円の譲渡益を計上した。さらに同年12月には、ヤフーを引受人とする第三者割当増資を実施し14億円を調達している。ローン・クレジット事業へ参入するための企業買収が巨額の失敗であったことは明白だが、その一方で異業種参入から1年未満で完全撤退を決断したこと、また、その後のカバー策の遂行速度はさすがといえるだろう。

 また、同社は資本市場を上手に使いこなしているのも特徴だ。株式公開時に39億円を調達したのを含め、公募、第三者割当で合計254億円を調達している。新規公開時にエクイティファイナンスを行ったものの、その後、資金の有効活用ができずにIPOが最後のエクイティファイナンスとなっている企業も多いが、GMOは上場していることをフル活用しているといえるだろう。

■GMOが行った増資による資金調達

年月 内容 金額
1999.8 株式公開に伴い、公募増資 39億円
2000.6 公募増資 29億円
2006.12 熊谷正寿社長に対し、第三者割当増資 76億円
2007.6 Lehman Brothers Commercial Corporation Asiaに対し、第三者割当増資 50億円
2007.12 ヤフーおよび熊谷正寿社長に対し、第三者割当増資 59億円
合計 253億円


GMOインターネットグループの
M&Aに対するスタンスと今後

 数々のM&Aを実行し、日本を代表する総合インターネットグループへと急成長したGMOインターネットグループ。最後に同社グループのM&Aに対するスタンスを2つご紹介したい。

 一つ目はM&Aを実行するタイミングである。

 同社の創業者で代表取締役会長兼社長の熊谷正寿氏は言う。「オーガニックとM&Aは成長のための両輪だと思う。どちらかと言えばオーガニック(注)で成長したい」「やむを得ない、ここ一番、という時だけM&Aという手法を使います」

積極的にM&Aを活用しているように見えても、同社グループは、基本は自立成長をポリシーとしているのだ。実際、同社グループは、在籍する「ものづくり」に関与するエンジニアやクリエイターの比率を、現在の3割半ばから5割にまで引き上げていく方針であるとのこと。

 2つ目は、例えば、同社グループでは「M&A」や「買収」という言葉が禁句になっており、提携担当のスタッフは「仲間づくり担当」の肩書を名乗ることなどが徹底されている点だ。他にも、同社グループでは「本社および子会社」とは言わず、グループ会社という表現を使う。

 これは買収する側、売却する側のどちらかが上に立つのではなく、目線の高さを合わせることが大切だと感じていることの表れだ。M&Aする側が買収という言葉を使ってしまうと、買った側または買われた側という上下関係を無意識にイメージさせてしまい、うまく統合しにくいというケースが何度もあったからだそうだ。買収するのではなく、グループの理念を共有し、同じ夢に向かっていく仲間になる、との考えだ。

 いわゆる乗っ取りのようなM&Aではなく、同じ夢や目標に向かう仲間を増やし続けるGMOグループ。重要なのは、それが経営トップやM&A担当部署だけが感じているだけではなく、明確にグループ全体の共通言語となるまで定義され、文化として定着させようという働き掛けが徹底されている点である。

 同社が短期間に何十社ものM&Aを実行し、成功と失敗を積み重ねてきたことは、着実に知見として蓄積しているように映る。M&Aに対する同社のスタンスは、M&Aを活用しようとする企業にとって参考となる部分は多い。

(注)オーガニックグロースとM&Aグロースという考え方
〇オーガニックグロースとは、自立的成長の意味で、会社がその時点で持っている商品やサービスをそのまま進化・拡大して売り上げを伸ばしていこうとする企業戦略
〇M&Aグロースとは、その企業が所有していない製品やサービスを外部から調達して既存のビジネスと併せて成長しようとする戦略

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部