緊急事態宣言の延長で次々と!「コロナ倒産爆発」を防ぐ方法とは

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コロナ禍による「倒産爆発」の懸念も…

ゴールデンウィーク明けの2020年5月7・8の両日、政府の緊急事態宣言延長に伴う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連倒産が相次いだ。いずれもコロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言や消費者の自粛により、営業を中止または売り上げが激減した企業。同4日の延長発表を受けて、事業継続は困難と判断した。

行列ができる人気店もコロナの犠牲に

中には回転ずしチェーンのおんまく寿司のように、行列ができていた人気店もある。おんまく寿司はコロナ感染拡大で同4月18日から5月7日までの予定で全店休業していたが、8日の再開目前に緊急事態宣言が延長となり経営を断念した。おんまく寿司を閉店する吉井食品は、総菜事業とマグロの通信販売に注力するという。

30分待ちは当たり前だったという「おんまく寿司」。閉店を惜しむ声は多い(同社ホームページより)

コロナ禍による「先が見えない」消費落ち込みは企業の事業継続意欲を減退させており、宣言延長で「心が折れる」深刻さが浮き彫りになっている。しかし、実際の経営破綻件数は、もっと多そうだ。

東京商工リサーチの調査によると、東京都の2020年4月の倒産件数は100件前後と前年同月の122件から1割下回る見込み。同3月はコロナ禍の影響で146件と、前年同月の127件を14.9%上回っている。

4月の倒産件数が少なかった理由は、同8日の緊急事態宣言の発令で東京地方裁判所が弁護士会に「不急の申し立ては控えるように」との通知を出し、倒産処理件数が減ったため。休業や出社人数の抑制などの影響で、手続や債権者集会などのプロセスが遅れるのは避けられない。

GW明けの主なコロナ倒産と撤退
月日 社名 本社所在地 事業内容 破綻形式 負債総額・備考
5月7日 アイ・ティ・オージャパン 大阪市 紳士服企画卸。「GEEGELLAN」「VAGIIE」などの自社ブランドを展開 私的整理 約19億6000万円
5月7日 高石給食 大阪府高石市 施設・事業所内での食堂運営や弁当配達、福祉・医療法人への介護食サービス 自己破産 調査中
5月8日 おんまく寿司 愛媛県今治市 吉井食品が展開する回転ずしチェーン店。広島県と愛媛県の全4店を閉鎖 事業撤退 吉井食品は事業を継続
5月8日 小矢部サービスステーション 富山県小矢部市 北陸自動車道上りの小矢部川サービスエリアで飲食店などを運営 自己破産 約2億5000万円
5月8日 デルフィーノ 神奈川県中井町 手帳やキャラクターグッズなど文具類卸 自己破産 7億606万円
5月8日 メルベイユアッシュ 東京都渋谷区 20~30歳代の女性をターゲットとした婦人服販売業。ネット通販比率は約3割 自己破産 推定7億円
5月8日 旭東ホールディングス 大阪市 住宅用分電盤用の安全ブレーカや小型漏電遮断器の製造 民事再生法 約64億円(連帯保証債務含む)
5月8日 村田全商社 群馬県前橋市 10代から30代女性をターゲットとした婦人靴やバッグなどの服飾雑貨小売 自己破産 約7億4000万円

コロナ「第2波」に備える

水面下の破綻企業は多く、5月、6月には「倒産爆発」の可能性が高い。その他にも中小企業では「体力があるうちに」と自主廃業を選択するケースも多く、コロナ禍で消える企業は相当な数に上るとみられる。

最大200万円を支給する「持続化給付金」の受け付けと振り込みも始まったが、この金額で事業を継続できるのは零細企業と個人事業主ぐらい。中小でも数十人を雇用する企業では「焼け石に水」だ。

その規模の企業となると、金融機関からの融資に頼るしかない。だが、コロナ感染拡大は第2波、第3波の到来も予想される上に、消費者も数ヶ月に及ぶ自粛でライフスタイルや消費行動が大きく変わる可能性もある。

こうした将来リスクを回避するには、経営規模の拡大が早道だ。M&Aによって資金力や労働力、技術力を拡大し、生産性を高めることで生き残りを図るべきだろう。そうした中小企業の集約を促進する政策や補助金に期待したい。

文:M&A Online編集部