「バリュエーションの教科書 企業価値・M&Aの本質と実務」

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本も紹介する。

「バリュエーションの教科書  企業価値・M&Aの本質と実務」

バリュエーションは簡単な公式に美しく収斂するーその2つの公式とは?

バリュエーションの教科書

 企業価値の算定は専門家でないとできないものではない。

書名のバリュエーションはvalue=価値のあることに、状態などを表すtionを付けた言葉で、価値を価格にして表すことを指す。M&Aなどで企業価値や株価を算定する際に用いる。

 30年にわたって企業価値算定にかかわってきた著者は「バリュエーションは簡単な公式に美しく収斂する。それさえ理解すれば経営者や実務家として十分」と主張する。

その公式が「PBR=PER×ROE」と「PV=C/r-g」の2つ。

PBRは株価純資産倍率。PERは株価収益率。ROEは株主資本利益率。PVは将来キャッシュフローの現在価値。Cは現在生み出しているキャッシュフロー。rは割引率。gは成長率。これら指標を用いた公式を解説し、重要性を説いたのが第Ⅰ部と第Ⅱ部。

 第Ⅲ部では実務応用編として、理論と実務の橋渡しを試みている。「リスク」「経営支配権の価値」「オプション価値」の3つのキーワードを理解すれば、M&Aなどの本質が分かると説く。バリュエーションは身近で手触り感のあるものでなければならないとの立場で全編を通しており、分かりやすく仕上げてある。(東洋経済新報社発行、税別2600円)

森生明氏(グロービス経営大学院教授)
1983年京都大学法学部卒業後、日本興業銀行に入行。1991年ゴールドマン・サックスでM&Aアドバイザー業務に従事。その後独立し、2009 年から現職。1959年生まれ、大阪府出身。

文:M&A Online編集部