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地元にこだわり、オープンイノベーションで成長を持続する Conference of S venture Lab in 札幌

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トークセッションで登壇したサツドラホールディングスの富山浩樹社長

「北海道ならでは」のビジネスモデルを

そこで富山社長が力を入れたのが「北海道ならでは」の地域性を押し出すことだった。「北海道コンサドーレ札幌」などの地元プロスポーツチームを支援するカードや、江差町など自治体とタイアップしたデジタル地域通貨的なカードなど、北海道内に利益を還元する仕組みで地域に定着したという。

ポイントカード「EZOCA」による江差町との連携(プレゼン資料より)
ポイントカード「EZOCA」による江差町との連携(プレゼン資料より)

2022年10月にはコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のS Ventures(札幌市)を立ち上げた。「地域をつなぎ、日本を未来へ。」をコンセプトに、サツドラグループが持つ北海道内の約200に及ぶ店舗網や共通ポイントカードのEZOCAといった資源を活用して、北海道で新たな事業モデルの構築を進め、日本そして世界を変えていく事業を一緒に創っていくのが狙いだ。

すでにSaaS型医療・介護機関向けウェブサービスを提供する3Sunny(東京都中央区)を帝人<3401>に売却しており、投資の成果も出ている。現在、デジタルサイネージ(電子看板)などのAI(人工知能)カメラソリューションを手がけるAWL(東京都千代田区)や、地域応援型クラウドファンディング・サービスのACT NOW(札幌市)など6社への投資事業を進めている。

サツドラHDはM&Aで既存事業者を買収して教育ビジネスに新規参入するなど、投資だけでなく自社の事業多角化にもM&Aを活用している。富山社長は「2030年度には北海道新幹線の札幌延伸や札幌冬季オリンピック・パラリンピックなどが予定されており、北海道のメンタル(気運)が盛り上がっている。この年が大きなターニングポイントになるだろう。さまざまな投資や事業展開のチャンスになる」と、北海道でのオープンイノベーションに大きな期待を寄せている。

併せてスタートアップ企業5社によるピッチ(売り込みのためのプレゼンテーション)があり、不動産DX(デジタルトランスフォーメーション)事業を手がけるFLINTZ(札幌市)、蛍光バイオイメージング技術の社会実装を目指す北海道大学発ベンチャーのHILO(同)、歯科衛生士・歯科医師向けの人材紹介サービスなどを展開するファーストコネクト(同)、ハンターとジビエ購入者を繋ぐプラットフォームを運用するFant(北海道上士幌町)、循環型畜産ベンチャーGOOD GOOD(大阪市)の5社が自社の製品やサービスをアピールした。

次回の「Conference of S venture Lab.」は、2023年7月18日に東京で開催する。

文:M&A Online

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