「すき家」を抑え「はま寿司」に軍配 仕入れの品質に変化は?

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東京・秋葉原の店舗で

「すき家」や「はま寿司」などを運営するゼンショーホールディングス<7550>の売り上げが好調だ。

同社の2023年3月期第2四半期の売上高は、前年同期比18.5%の増収となった。「すき家」などの牛丼部門は同10.9%増とやや伸び悩んだものの、「はま寿司」などのファストフード部門が同30.5%増と大きく伸びたのが要因だ。

コロナ禍でも牛丼やすしは堅調に推移しているが、この期に関してはすしに軍配が上がったようだ。

ただ、両商品ともにウクライナ情勢などを背景にした原材料価格の高騰から原価(仕入れ価格、店舗の人件費など)率が悪化しており、全社の営業利益は同5.6%の減益を余儀なくされた。

原価率を改善するためには、仕入れ価格の引き下げなどが必要だが、そうすれば食材の品質が落ちることなり、消費者からの支持を失いかねない。

ゼンショーでは通期の業績予想を修正しておらず、2023年3月期の営業利益は250億円(前年度比70.8%増)を見込む。これは下期に上期の2倍の営業利益を上げることを意味する。ゼンショーの仕入れ食材の品質に変化は訪れるだろうか。

原価率が0.4ポイント上昇

ゼンショーの2023年3月期第2四半期の原価率は47.3%で、前年同期より0.4ポイント上昇した。販管費(交通費、運搬費、家賃、光熱費、営業、管理部門の人件費など)率は50.5%で、こちらも前年同期よりも0.2ポイント上がった。この結果、営業利益は同5.6%減の81億5000万円に留まった。

ただ経常利益は補助金収入が前年同期よりも11億6400万円増えたことから、同5.0%の増益となり、当期利益は、前年同期に計上した新型コロナウイルス感染症対応による損失111億円ほどがなくなった(協力金収入約110億円も計上なし)こともあり、同14.4%の増益となった。通期では経常利益で同6.7%の、当期利益で同1.1%のそれぞれ増益を見込む。

【ゼンショーの原価や販管費など】単位:億円

通期では70%の営業増益を目指す

2023年3月期第2四半期の部門別の売上高は牛丼部門が1267億3400万円(前年同期比10.9%増)、ファストフード部門が914億500万円(同30.5%増)、ファミリーレストランの「ココス」などのレストラン部門は548億7100万円(同32.7%増)だった。

通期では売上高7455億4900万円(前年度比13.2%増)、営業利益250億円(同70.8%増)、経常利益246億7300万円(同6.7%増)、当期利益140億2700万円(同1.1%増)を見込む。

【ゼンショーの業績】単位:億円、2023年3月期は予想

文:M&A Online編集部