アップルは自社開発した新CPU「M2」を初搭載した「MacBook」シリーズの2モデルを来月、発売する。税込価格は廉価版の「Air」が円安の影響で前モデルから6万円値上がりして16万4800円となり、上位機「Pro」との価格差はわずか1万4000円に。「どうせ買うなら上位機のProだ」そう考えるのも当然だが、本当にそうか?
両モデルを比較してみよう。コンピューターの頭脳に当たるCPUや画像処理を担うGPU、機械学習関連の処理に特化したNeural Engine、メモリモジュールが1秒間に転送可能なデータ容量のメモリ帯域幅は全て同じ。つまり基本性能は同じだ。
両モデルの違いはディスプレイ。「Pro」に比べて重量は160g軽い「Air」だが、ディスプレイは0.3インチ大きい。ピクセル数も「Air」の方が、わずかながら多い。特筆すべきは色の再現数だろう。「Pro」が数百万色以上なのに対して、「Air」は10億色と3ケタも違う。「人間の目で違いが分かるのか?」との見方もあるが、性能は段違いだ。
外部接続端子も「Air」の方が多い。Thunderbolt 4 (USB-C)ポートが二つあるのは同じだが、「Air」には充電専用のMagSafe 3充電ポートを別途備える。「Pro」はUSB-Cポートで充電するので、空いているポートは一つだけで使い勝手は悪い。
リモート会議で利用される機会が増えた内蔵カメラは「Air」が1080pのフルハイビジョン規格なのに対し、「Pro」は720pのハイビジョン規格。「Air」の内蔵カメラの方が解像度が高く、より精細な動画を撮影できる。
性能面では廉価版の「Air」が、上位機の「Pro」を上回る。しかも「Air」の重量は軽く、価格もわずかながら安い。「Pro」のブランドイメージを重視するのでなければ、新型「MacBook」は「Air」の一択だろう。
スペック | MacBook Air | MacBook Pro |
---|---|---|
価格(税込) | 16万4800円 | 17万8800円 |
CPU | Apple M2チップ | ← |
GPU | 8コア | ← |
Neural Engine | 16コア | ← |
メモリ帯域幅 | 100GB/s | ← |
ディスプレイ | 13.6インチ | 13.3インチ |
2,560 x 1,664ピクセル | 2,560 x 1,600ピクセル | |
224ppi | 227ppi | |
10億色対応 | 数百万色以上対応 | |
輝度500ニト | ← | |
バッテリー容量 | 52.6Wh | 58.2Wh |
外部接続端子 | MagSafe 3充電ポート×1 | なし |
Thunderbolt / USB 4ポート×2 | ← | |
メモリ(標準) | 8GB | ← |
内部ストレージ | 256GB SSD | ← |
内蔵カメラ | 1080p FaceTime HDカメラ | 720p FaceTime HDカメラ |
厚さ | 1.13 cm | 1.56 cm |
幅 | 30.41 cm | 30.41 cm |
奥行き | 21.5 cm | 21.24 cm |
重量 | 1.24 kg | 1.4 kg |
それにしても、なぜ「Air」と「Pro」の「下剋上」が起こったのか?これは「Air」が筐体(ボディ)から一新したフルモデルチャンジなのに対し、「Pro」は同じボディにCPUなどの基幹部品を換装したマイナーチェンジだったことによるものだ。
アップルは「Pro」の主力を14インチと16インチの大画面機に移しており、13インチ機は「廉価版Pro」化している。その意味では存在意義が薄れており、いずれ姿を消すかもしれない。ひょっとしたら新モデルが「最後の13インチPro」になるかもしれないが、「コレクター」でない限り購入する意味はなさそうだ。
文:M&A Online編集部
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