日本上陸間近! ソフトバンクも出資するWeWorkとは?【イベントレポ付き】

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7月21日にWeWorkのイベントが行われた会場外からの様子。入場までに行列ができるほど多くの人が集まった。

2016年10月、ソフトバンクグループはサウジアラビアのPublic Investment Fund(PIF)と共同で世界最大規模のITベンチャー向け投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立することを発表。2017年5月に初回クロージングを完了し、総額930億ドル(約10兆4千億円)を調達して話題となった。

その最初の投資先に選ばれたのが、コワーキングスペースを運営するNY発のスタートアップ企業WeWorkだ。2017年3月、ソフトバンクは既に同社に3億ドル(約340億円)を出資。今後、ソフトバンク・ビジョン・ファンドから27億ドルを出資し、合計30億ドルの出資額となる見通しだという。
さらに2017年7月18日、ソフトバンクはWeWorkと50%ずつ出資し、合弁会社WeWork Japanを設立すると発表。日本におけるWeWorkの展開を全面的にサポートする。

WeWorkとは

スタイリッシュなインテリアのWeWorkのオフィス。Photo by kennejima

WeWorkは、2010年にCEOのアダム・ニューマン氏とCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)のミゲル・マッケルビー氏によって創業。起業家や小規模企業向けのコワーキングスペースやシェアオフィスの開発・運営からスタートした。快適に働ける居心地のいい空間で、プリンターや高速インターネットなど仕事に必要なものも揃い、フリードリンク(夕方以降はビールも提供)などのサービスも充実している。それだけなら、他のコワーキングスペースやシェアオフィスとも大差ないところだが、WeWorkの最大の強みはそのネットワークにある。現時点で世界15ヶ国49都市に150以上のオフィススペースを持ち、メンバーは12万人以上。各スペースで行われるイベントや独自のSNS「WeWork Commons」を通して、メンバー同士の交流ができるプラットフォームとして機能する。
これらは何もフリーランスやスタートアップ企業だけのためのものではない。事実、賃料や土地代、建設費などオフィスを構えるのに必要なコストが削減できるとして、マイクロソフトやデル、IBMなど大手企業もWeWorkを活用し始めている。コスト削減だけでなく、成長が見込めるスタートアップ企業をいち早く見出し、新たなイノベーションの創出を狙っている可能性も高い。

一般的にアメリカのスタートアップ企業は、会社の成長段階ごとに「シード」「シリーズA」「シリーズB」「シリーズC」……と呼ばれるステップを踏んでいくのだが、2017年7月にWeWorkはシリーズGで新たに総額7億6000万ドル(約860億円)を調達。創業から総額44億5000万ドルを調達し、現在の企業価値は200億ドル(約2.3兆円)といわれている。これらの調達資金を元手に、WeWorkの世界展開がさらに加速されることは必至だ。

日本でも注目度大! ローンチ前のイベントも大盛況

ソフトバンクとの合弁会社設立が発表された3日後の7月21日には都内でイベントが開催され、日本でのローンチ前にも関わらず多くの人たちが集まった。

イベント会場内の様子。
VRで上海のオフィスを体感できるコーナーも。

会場ではフードやドリンクがふるまわれ、DJによるパフォーマンス、ライブペインティングも繰り広げられ、名刺交換をする人々の姿も。イベント当日はWeWorkのマッケルビー氏やソフトバンクの宮内謙氏も登場し、ソフトバンクとWeWorkの新たなスタートを祝った。
東京初のスペースができるのは、来年はじめごろの予定。2018年内にはスペースを10~20カ所に増やしていく予定だという。不動産担当のエヴァン・クレインバーグ氏によれば、秋ごろには場所などの詳細を発表することができるとのことだ。

日本でも政府主導の働き方改革は進められているが、まだまだ一般的には根づいていない。
WeWorkの日本上陸が、多様な働き方が浸透する一助となることに期待したい。

文・M&A Online編集部