国内ベンチャー投資、7四半期ぶりにマイナス|VECまとめ

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IT系ベンチャーが多く集まる渋谷(写真はイメージです)

ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、東京都千代田区)がまとめた2022年第3四半期(7~9月)のベンチャーキャピタル(VC)による国内向け投資額は前年同期を13.6%下回る512億7000万円で、2020年10~12月以来7四半期ぶりにマイナスとなった。ウエートが最も大きいIT関連の落ち込みが響いた。投資件数は394件と前年同期比2.3%の微増だった。

1~9月の国内投資額、前年を24%上回る

VECは四半期ごとに国内VC(事業会社のコーポレートベンチャーキャピタルを含む)による投資動向調査を実施している。今回の第3四半期調査には110社が回答した。

1~9月の3四半期合計の国内投資額は2020億円と前年(1632億円)を24%上回る水準にあり、1~6月の“貯金”が利いた形だ。7~9月の落ち込みはあったものの、年間投資額は前年2277億円を超えて2013年に現行方式で調査開始以来の最高を2年連続で更新することが確実される。

また、1~9月の件数は前年比37%増の1272件で、こちらも1~6月の大幅な伸びが寄与した。

7~9月の国内投資額を業種別にみると、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」がシェア38.4%とトップで、「工業、エネルギー、その他産業」22.4%、「メディア、娯楽、小売、消費財」11.6%、「バイオ・医薬」9.5%が続いた。

このうちシェアトップの「コンピューター及び関連機器、ITサービス」の投資金額は192億円と前年(244億円)を22%下回った。また、「半導体、電機一般」「通信・ネットワーキング及び関連機器」はウエートが小さいものの、いずれも前年より約10億円減った。

国内投資額のステージ(成長段階)別動向では「アーリー」が36.5%と依然トップながら、前年より11.6ポイント減少した。以下、「エクスパンション」27.8%、「シード」22.7%、「レイター」13.1%。

一方、7~9月の海外向け投資は3.5%減の166億3000万円、73件だった。

文:M&A Online編集部

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