若年ゴルファーの増加で、1人予約サービスが好調「バリューゴルフ」が黒字転換

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ゴルフ場を1人予約できる「1人予約ランド」サービスなどを手がけるバリューゴルフ<3931>の業績が上向いてきた。同社は2022年1月期の業績予想を上方修正し、本業の儲けを示す営業利益を22%ほど引き上げたほか、当期損益が黒字転換する見通しを明らかにした。

若年ゴルファーの増加などを背景に、主力事業の1人予約ランドをはじめ、ゴルフ用品のインターネット通販などが堅調に推移しているためで、利益は、営業、経常、当期の全段階でコロナ前を大きく上回る。

これまで同社は、M&Aによって事業領域を拡大してきたが、2018年を最後にこの3年間は動きがない。業績の好転を機に再びM&A活動が活発化する可能性は低くはなさそうだ。

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ゴルフ事業は20%の増益に

1人予約ランドは、需要が高まりつつある1人予約を受け付けるためのシステムで、ゴルフ場にASP(インターネットなどを通じてソフトウエアを提供するサービス)サービスとして提供しており、2021年10月時点で1100コース以上が利用し、81.9万人(前年比14.9%増)が会員登録を行っている。

このサービスを中心とするASP事業やゴルフ用品のEC(電子商取引)サービスなどが好調に推移しているほか、インドアゴルフレッスンなどでも会員数が増加しており、2022年1月期第3四半期のゴルフ事業の売上高は、前年同期比8.6%の増収、19.5%の営業増益となった。

同社は2018年に旅行業の日本旅行協会と産経旅行を子会社化し、トラベル事業を拡充したが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、厳しい状況が続いており、2022年1月期第3四半期のトラベル事業の売上高は同16.4%の減収、営業損益は1872万円の赤字となった。

このトラベル事業の分を差し引いてもゴルフ事業の好調さによって、業績は前年度を上回り、2022年1月期は売上高47億円(前年度比5.1%増)、営業利益2億2000万円(同2.4倍)、経常利益2億円(同2倍)、当期利益1億3000万円(前年度は3200万円の赤字)を見込む。

【バリューゴルフの業績推移】単位:億円、2022年1月期は予想

2020年1月期 2021年1月期 2022年1月期
売上高 57.63 44.7 47
営業利益 0.64 0.91 2.2
経常利益 0.54 0.99 2.0
当期利益 0.65 △0.32 1.3

次のM&Aの有力分野は

バリューゴルフは2016年に、ゴルフ用品やスポーツ用品の販売を手がけるジープを子会社化したほか、2017年に、インドア・ゴルフスクール「e-golf stadium 大崎」を取得した。この後に旅行会社2社の買収が続いたが、その後は開示したM&A関連の情報はない。

同社ではインドアゴルフレッスンが好調なことから多店舗展開の準備を進めており、トラベル事業でも新型コロナウイルス感染症収束後の急激な需要回復を踏まえ、航空券販売などで先を見据えた準備を進めている。

M&Aが再開される際は、これら分野が有力候補といって問題なさそうだ。

バリューゴルフの沿革と主なM&A
2003 スリーベースを設立。広告メディア制作事業、不動産広告コンサルティングを開始
2003 月間バリューゴルフ関東版を創刊
2005 ゴルフ場予約代行サービスを開始
2010 ASPシステムの1人予約ランドの提供を開始
2013 バリューメディカルを子会社化し、医療分野の出版サービスを開始
2016 東証マザーズに上場
2016 ゴルフ用品やスポーツ用品の販売を手がけるジープを子会社化し、EC(電子商取引)サービスを本格化
2017 インドア・ゴルフスクール「e-golf stadium 大崎」を取得
2018 旅行業の日本旅行協会を子会社化し、トラベルサービスを内製化
2018 旅行業の産経旅行を子会社化し、トラベル事業を強化

文:M&A Online編集部