「ユナイテッドアローズ」1年で復活 2022年3月期は黒字転換

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東京都千代田区内の店舗

紳士、婦人衣料のユナイテッドアローズ<7606>の業績が回復軌道をたどっている。8月6日に発表した2022年3月期第1四半期決算では営業損益、経常損益、当期損益は黒字化することはできなかったが、前年同期の35億~50億円だった赤字は1ケタ台に縮小し、通期では当初の予想通り黒字化する見通しだ。

人件費の低減や、在庫量の適正化、値引き販売の抑制などに取り組んだほか、アウトドアや法人向けコンサルタントサービスなどの新規事業にも着手し「再成長に向け布石を打った」(同社)ほか、今後は通販サイトのリニューアルにも取り組むという。

2021年3月期は1999年の上場以来、初めて最終赤字に陥ったが、1年で復活を遂げる可能性は高そうだ。

第1四半期の赤字が縮小

ユナイテッドアローズの2022年3月期第1四半期の売上高は前年同期比13.8%増の252億6400万円、営業赤字は9億300万円(前年同期は50億1900万円の赤字)、経常赤字は7億1800万円(同49億4000万円の赤字)、当期赤字は6億4800万円(同35億8200万円の赤字)だった。期間中の子会社を含むグループ全体の出店は3店舗で、総店舗数は333店舗となった。

2022年3月期通期の見通しは売上高が前年度比2.5%増の1248億円、営業利益が30億円(前年度は66億1300万円の赤字)、経常利益が35億8000万円(同48億7800万円の赤字)、当期利益が17億5000万円(同71億9700万円の赤字)。グループ全体の総店舗数は出店8店舗、退店11店舗を計画しており、期末では327店舗を見込む。

【ユナイテッドアローズの業績推移】単位:億円、2022年3月期は予想

2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
売上高 1574.12 1217.12 1248
営業損益 87.58 △66.13 30
経常損益 88.03 △48.78 35.8
当期損益 35.22 △71.97 17.5

ZOZO前澤氏が第3位の株主

ユナイテッドアローズは1989年に東京都渋谷区で創業したのが始まりで、1999年には株式を店頭登録した。2005年にイタリア製鞄などの輸入販売を手がけるフィーゴを子会社化したが2021年に売却した。2012年に売上高が初めて1000億円を突破している。

衣料通販ZOZO前社長の前澤友作氏が2020年8月に、ユナイテッドアローズ株式の7.97%を取得しており、2021年3月末時点で8.43%を保有する第3位の株主となっている。

同社株を保有した理由について当時「純投資を基本とするが、発行者経営陣との間で友好的な関係が構築されることを前提として、必要に応じて企業価値向上のための助言または提案を経営陣に対して行う可能性もある」としていた。

ユナイテッドアローズの沿革
1989 東京都渋谷区で、ユナイテッドアローズを設立。重松理氏が代表取締役社長に就任
1999 日本証券業協会に株式を店頭登録(現ジャスダック)
2002 東京証券取引所市場第二部に上場
2003 東京証券取引所市場第一部に上場
2005 スタートトゥデイ(現ZOZO)が展開する通販サイト「ZOZOTOWN」に出店
2005 イタリア製の鞄などの輸入、卸売のフィーゴの全株式を取得し子会社化
2007 三菱商事と資本、業務提携に合意。
2012 連結売上高が初めて1000億円を達成
2020 関連会社のDesignsを吸収合併
2021 子会社のフィーゴを譲渡

文:M&A Online編集部