「ニトリ」の参入で「島忠」株に活発な動き「HIS」の澤田氏も2度提出 10月の大量保有報告書

alt
写真はイメージです

M&A Online編集部が大量保有データベースで2020年10月の大量保有報告書の提出状況を調べたところ、ホームセンター大手のDCMホールディングス(HD)と家具・インテリア首位のニトリホールディングス(HD)による買収合戦に発展している島忠を巡って、11回の報告書の提出があった。

このほか旅行業のエイチ・アイ・エス(HIS)とエアトリの両社に関して、それぞれ4回の報告書の提出があり、施工不良問題で2021年3月期に3期連続で最終赤字に陥る見通しのレオパレス21にも動きがあった。

買収合戦に発展した島忠に動き

島忠についてはDCMHDが2020年10月5日から11月16日までTOB株式公開買い付け)を実施中だが、ニトリHDは同年11月中旬に島忠の完全子会社化を目的にDCMHDを1300円上回る5500円の買付価格でTOBを実施するとしている。

野村證券は島忠株を新規保有したあと1度買い増して保有割合を6.58%に高めたほか、旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスも新規保有したあと2度買い増して保有割合を8.38%に高めた。モルガン・スタンレーMUFG証券も5.45%を新規保有した。

一方、三井住友トラスト・アセットマネジメント(保有割合は0.64%減の5.37%)、三井住友DSアセットマネジメント(同3.19%減の3.22%)、アセットマネジメントOne(同2.41%減の3.85%)をはじめ、英国の投資顧問会社シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ(同1.28%減の4.66%)や、ケイマン諸島に本社を置く資産運用会社オアシス マネジメント カンパニー(同6.33%減の0.08%)の5社は保有割合を引き下げた。

レノがレオパレス21の保有割合を引き下げ

レオパレス21については野村證券が6.88%を新規保有したあと1.44%を買い増して保有割合を8.32%としたのに対し、旧村上ファンド系のレノが保有割合を3.77%引き下げて8.31%としたほか、不動産や投資事業を手がけるエスグラントコーポレーションも2度保有割合を引き下げて5.68%とした。

航空券予約サイトを運営するエアトリに関しては、みずほ証券が保有割合を2度引き下げて9.36%としたほか、創業者で同社会長の大石崇徳氏が保有割合を0.47%引き下げて31.17%とした。野村證券は5.04%を新たに保有した。

旅行大手のHISに関しては、香港の投資会社ロング コリドー アセット マネジメントが14.06%を新規保有したあと、保有割合を7.42%引き下げて6.64%としたほか、同社創業者で会長の澤田秀雄氏が1.06%買い増して保有割合を33.6%とした。

澤田氏はこのほかに投資ファンドのMETA Capitalが2月に買い付けを始めた(継続中)澤田ホールディングス(澤田氏の保有割合は28.64%)に関して「担保契約等重要な契約の変更」届けを提出した。

2020年10月の大量保有報告書の提出件数は1123件で、このうち保有割合を増やしたのが291件、新規保有が178件、保有割合を減らしたのが581件、契約の変更などが73件だった。

文:M&A Online編集部