オアシスのフジテック買いに動きなし「前澤友作」氏はZOZO株を0.59%売却 2022年6月の大量保有報告書

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M&A Online編集部が大量保有データベースで2022年6月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、2022年5月にエレベーターなどの昇降機メーカーであるフジテックの株式を2.44%買い増し、保有割合を9.73%に高めていた香港の投資会社であるオアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドに動きはなかった。

オアシスは、フジテックが同社の内山高一社長に莫大な額の現金を貸し付けていることなど、8項目の権限濫用を指摘し、6月23日の定時株主総会で内山社長の再任に反対票を投じることを推奨していた。

フジテックは定時株主総会開催当日に、内山氏の取締役の再任案を撤回し、高山氏の社長退任と会長就任を決めた。

これに対しオアシスは2022年7月1日に、「フジテック定時株主総会に関するオアシスの声明」を発表。この中で、「フジテックの株主は、定時株主総会で意見を主張し、経営陣の責任を追及する権利を取締役会により侵害されました」としたうえで、「オアシスは、キャンペーン「フジテックを守るために」を継続し、より多くの利害関係者に届くよう一層展開をしてまいります」としている。

フジテック株についての報告書の提出は、三井住友信託銀行が1%を手放し、保有割合を5.31%に引き下げた、1件だけだった。

前澤氏はアダストリアも売却

ZOZOの創業者である前澤友作氏がZOZO株を0.59%手放し、保有割合を10.48%に引き下げたほか、アダストリアも2度売却(2.02%)し、保有割合を4.37%に引き下げた。ZOZOについては「保有株券等に関する重要な契約の変更」を売却理由に上げており、アダストリアについては「株券等保有割合が1%以上減少したこと」とだけしている。

外部から募った再建案の検討を進めている東芝については、米国の投資会社Farallon Capital Management,L.L.Cが、「重要な契約の変更」を理由に、0.07%売却し保有割合を5.3%に引き下げた。保有そのものについては「経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」などを理由として上げている。

前田建設工業を中核とするインフロニア・ホールディングスによるTOB株式公開買い付け)が不成立に終り、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」(東京都港区)によるTOBが見込まれている東洋建設については、野村証券が1.52%買い増したあと、1.03%を売却し、保有割合を5.63%とした2件のみで、大きな動きは見られなかった。

2022年6月の大量保有報告書などの提出件数は962件で、このうち保有割合を増やしたのが227件、新規保有が134件、保有割合を減らしたのが507件、契約の変更などが94件だった。

文:M&A Online編集部