シルチェスターが日本株の売買を活発化

alt

英国ロンドンに本社を構える投資運用会社のシルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・エルエルピーが、日本企業の株式売買を活発化させている。

2018年1月~8月30日までに提出した大量保有報告書は40件に達しており、このペースは年間60件に相当する。

2017年に提出した大量保有報告書は49件、2016年は28件といった具合で、2011年からの7年間の平均は35件にとどまっていたため、8カ月で平均値を上回った計算になる。

提出した大量保有報告書の内訳(表1)をみると、新たに投資した企業が3社、保有割合を上げた企業が13社、保有割合を下げた企業が24社。完全に売却した企業は無かった。

この表からは保有する企業数は増えているものの、総じて売り姿勢を強めていることがうかがわれる。では、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・エルエルピーとは、これまで日本でどのような投資をしてきたのか。

日本での投資については2011年以降285件の大量所有報告書を提出しており、このうち完全に株式を手放したのは1社だけで、他は長期に保有している。 

現時点での株式を保有している企業は49社(上場廃止企業を除く、表2)。保有割合が最も高いのが日本梱包運輸倉庫の19.59%で、住友大阪セメントの18.05%、リョーサンの17.0%と続く。 

保有割合が5%を超えるのは27社で、5%を切っているのは22社となっており、これまでの累計では大量保有報告書を提出した以降は、買い増しの方が若干多いことが分かる。

業種別(表3)にみると建設業が最も多く、7社の株式を保有しており、銀行の6社、卸売業の6社と続く。陸運、非鉄金属、鉄鋼、倉庫・運輸、食品、金属製品、硝子土石製品、医薬といった業界への関心はあまり高くなさそうだ。

では日本でこうした投資を行っているシルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・エルエルピーとはどのような企業なのか。

同社のホームページには、1994年の設立で、主に機関投資家のために国際的な株式投資を専門とし、長期投資収益を得ることを目指しているとある。

収益、資産、配当を自社の努力で増やすことができる企業を特定するための基準に従って投資を行っており、本質的価値の蓄積が成功すれば、良い投資収益につながるとの考えを持つという。

今年は8カ月間で年間の平均値を上回った同社だが、9月からの4カ月間、どのような動きをするのか。その投資動向に注目したい。

文:M&A Online編集部