【最高裁】買収防衛策で三ッ星の許可抗告を棄却 買付側の主張を認める

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「三ッ星における買収防衛策に関する一連の司法判断の概要とポイント」

最高裁判所は7月28日、アダージキャピタルによる三ッ星<5820>株式取得に対する買収防衛策(新株予約権無償割当て)で、買付者側(アダージ)の主張を認める決定を下しました(最高裁判所第二小法廷令和4年7月28日決定)。最高裁決定を受けて三ッ星は新株予約権無償割当を中止しました。本件は今までにない事実関係で、今後注目される事例になるのではないかと思います。敵対的買収に詳しい柴田堅太郎弁護士・正木達也弁護士(柴田・鈴木・中田法律事務所)が司法判断の概要とポイントを解説します。

大まかなまとめ:
・買増しそれ自体ではなく複数の株主による「共同協調行為」が対抗措置発動の対象となった事案
・株主意思確認総会により可決されているにもかかわらず対抗措置発動が差止められた事案
・大規模買付行為等の撤回条件が不明確かつ敵対的株主側に酷なものであったこと、非適格者の範囲が一般株主にも悪影響を及ぶものであったことから相当性の要件が否定されたことが差止めの主な理由

1.はじめに

2022年7月28日、最高裁判所は、アダージキャピタル有限責任事業組合(以下「アダージキャピタル」という。)が、株式会社三ッ星(東京証券取引所スタンダード市場に上場。以下「三ッ星」という。)が行おうとした、買収防衛策に基づく対抗措置としての差別的行使条件・取得条項付新株予約権無償割当て(以下「本件新株予約権無償割当て」という。)の差止めの仮処分を申し立てた事件(以下「本件」という。)について、本件新株予約権無償割当てが著しく不公正な方法によるものであることを認定した大阪高裁の決定を是認し、三ッ星の許可抗告を棄却する決定(以下「本最高裁決定」という。)を行った。
本最高裁決定により、本件に係る一連の司法判断において買付者側の主張が認められたことになる(三ッ星はこれを受けて本件新株予約権無償割当てを中止している。)。

本件新株予約権無償割当ては、①アダージキャピタル、並びに②三ッ星がアダージキャピタルと実質的に共同して三ッ星株式の買付けをしていると判断した、本多敏行氏(後述和円商事の代表取締役、CMC JAPANの取締役)、合同会社サクセスインベストメント(その代表社員は和円商事の監査役、その元代表社員はCMC JAPANの元取締役)、株式会社和円商事(アダージキャピタルの元組合員)、及びCMC JAPAN株式会社(その代表取締役はアダージキャピタルの組合員の代表取締役)(以下②を「アダージキャピタル関係者」といい、①と②をあわせて以下「アダージキャピタルら」という。)による三ッ星の経営支配権取得に向けられた共同協調行為(「共同ないし協調して行動する関係を樹立するあらゆる行為」)に対する対抗措置として発動されたものである。

昨年、買収防衛策の発動に関する重要な裁判例(日邦産業事件、日本アジアグループ事件、富士興産事件、東京機械製作所事件)が相次いで出されたが、本件は、三ッ星株式の買増しそのものではなく、アダージキャピタル関係者との共同協調行為を対象とする買収防衛策であること、また、東京機械製作所などの株主意思確認総会を経由した件と異なり、対抗措置の発動の際に株主意思確認総会で可決されたにもかかわらず、「著しく不公正な方法」と裁判所が判断し、差止めを認めた事案であることから、注目すべき事案である。

本稿では、裁判所の各判断の内容及び当事者により公表されている資料から得られる情報をもとに、本件の経緯をまとめるとともに、本件を理解する上で特に重要と思われるポイントについて検討を試みる。

2.本件の経緯

裁判所が認定した事実によれば、本件の経緯は、大要以下のとおりである。

2021年
7月30日~10月4日頃

アダージキャピタルが市場内で三ッ星の株式の取得を開始し、三ッ星の株式を7.01%取得。※これ以降、アダージキャピタルは三ッ星の株式を追加で取得していない。

2022年
2月22日

アダージキャピタルが三ッ星に対し、以下を目的事項(以下「本件各議案」という。)とする臨時株主総会の招集を請求。
(i)取締役3名の解任
(ii)新任取締役3名の選任
(iii)監査等委員である取締役1名の選任

3月8日

アダージキャピタルが大阪地裁に対し、本件各議案を決議事項とする臨時株主総会の招集許可の申立てを行う(後に三ッ星が臨時株主総会を招集したため、当該申立ては取り下げられる。)。

3月11日

アダージキャピタルが三ッ星の株式について大量保有報告書を提出。※報告義務が発生したのは2021年9月16日であり、金商法上の提出期限を徒過している。

3月14日

アダージキャピタルが変更報告書及び訂正報告書において、三ッ星株式の保有目的を「純投資」から「経営参画、長期保有」に変更する。

3月16日

アダージキャピタルによる臨時株主総会の招集請求を受けて、三ッ星が2022年3月31日を基準日とする基準日設定公告を行う。

3月17日

アダージキャピタルが三ッ星に対し、委任状勧誘を目的として株主名簿の閲覧謄写請求を行う。

3月25日

三ッ星がアダージキャピタルに対し、大量保有報告書等の提出の経緯や今後緒経営方針などについての質問事項を記載した書面を送付。

3月31日

アダージキャピタル関係者が2021年10月1日頃から2022年3月頃に三ッ星の株式を取得し、アダージキャピタルらで合計21.63%取得。※これ以降、アダージキャピタル関係者は三ッ星の株式を追加で取得していない。

4月1日

アダージキャピタルが大阪地裁に株主名簿閲覧謄写仮処分命令の申立てを行う。

4月11日に大阪地裁が当該仮処分を認める決定をしたものの、当事者間においてアダージキャピタルが委任状勧誘において一定の誓約(株主名簿閲覧請求の目的は臨時株主総会において本件各議案に賛同する株主を募ることであること等)を行うこと、三ッ星が株主名簿の任意での開示を行うことについて合意が成立したため、当該申立ては取り下げられる。

4月8日

三ッ星の取締役会において、本件各議案を決議事項とする臨時株主総会を招集する旨を決定し、公表(三ッ星の取締役会が本件各議案について反対する旨も併せて公表。)。

三ッ星の取締役会にて以下に事項を決議し、公表。
・アダージキャピタルらを対象とする対抗措置(以下「本件対抗措置」という。)に関する対応方針(以下b「本件対応方針」という。)
・社外取締役らによって構成される独立委員会の設置

三ッ星がアダージキャピタルらに対し、本件対応方針に基づく意向表明書の提出を求める書面を送付。

4月22日

アダージキャピタルが本件各議案に賛同する株主を募るため三ッ星の株主に対し委任状勧誘書類を郵送する作業を開始

4月26日

アダージキャピタルが三ッ星に対し、以下の事項を記載した回答書を送付。
・アダージキャピタルらが本件対応方針の「特定株主グループ」に該当せず、「大規模買付行為等」を開始していないため、本件対応方針に基づく意向表明書の提出は不要であること
・三ッ星がアダージキャピタルに関して憶測に基づく虚偽事実を適示していること
・アダージキャピタルに対する株主名簿の任意開示に先んじて三ッ星が株主に対し委任状勧誘書類を送付したことに厳重に抗議すること

アダージキャピタルは、上記回答書において、大量保有報告書が法定期間内に提出されなかった理由につき「失念していたためです(うっかりミス)」と回答。

5月9日

アダージキャピタルが三ッ星に対し、今後三ッ星の株式を買い進める予定がない旨を表明。

5月12日

臨時株主総会にて本件各議案が否決。ただし約46%の賛成票を取得。

5月18日

三ッ星の取締役会において、本件対応方針に従い、本件対抗措置の発動を決議し、公表。

6月1日

アダージキャピタルが、大阪地裁に対し、本件新株予約権無償割当てについて、①株主平等原則違反、②著しく不公正な方法による発行であるとして、会社法247条1号及び2号の類推適用に基づき仮に差し止めることを求め、仮処分命令の申立てを行う。

6月14日

三ッ星の取締役会により、本件各議案に賛成する旨の委任状をアダージキャピタルに提出したルーツビジネスサポート、杉山製作所、LULインターナショナル、アジアインベストメントファンド、成田帝氏(※同氏はアダージキャピタルの組合員)の各株主を(アダージキャピタルらと同様の)本件対応方針において差別的取扱いを受ける「非適格者」に該当する旨を認定し、公表。

6月24日

株主意思確認総会において、本件新株予約権無償割当てについての決議が行われ、賛成多数にて可決(賛成54.46%、反対45.52%)。

6月30日

アダージキャピタルらの三ッ星の株式の保有数の合計が約19.78%まで減少。

7月1日

大阪地裁が、本件新株予約権無償割当てについて仮処分命令の申立てを認める決定を行う。

7月6日

三ッ星が大阪地裁に対し、保全異議の申立てを行う。

三ッ星が本仮処分決定を踏まえて、非適格者の認定をした株主のうち、ルーツビジネスサポート、杉山製作所、LULインターナショナル、アジアインベストメントファンドについて撤回する旨公表し、また、アダージキャピタルから以下の内容を含む誓約書が提出された場合には、大規模公開買付行為等が撤回されたと判断して本件対抗措置を中止することとする旨をアダージキャピタルらに通知する。
(i)誓約書提出の日から6か月間、本対応方針に定義される大規模買付行為等を行わないこと
 b(ii)誓約書提出の日から6か月間、当社に対し臨時株主総会招集請求を行わないこと

これに対して、アダージキャピタルは上記(i)について誓約し、上記(ii)について誓約を拒む。

7月11日

大阪地裁が、本仮処分決定に対する保全異議の申立てに対し、仮処分の決定を認可する決定を行う。

7月14日

三ッ星が、大阪高裁に対し、保全抗告の申立てを行う。

7月21日

大阪高裁が、保全抗告の申立てを棄却する旨の決定を行う。

三ッ星が、大阪高裁に対し、許可抗告の申立てを行う(同月25日に抗告許可決定に係る決定書を受領。)。

7月28日

最高裁判所が、許可抗告を棄却する旨の決定を行う。

三ッ星の取締役会において、本新株予約権無償割当ての実行の中止を決定し、公表。

3.本件買収防衛策の概要

本件対応方針及びそれに基づく本件対抗措置(以下、総称して「本件買収防衛策」という。)について、
・対抗措置として差別的行使条件・差別的取得条項付新株予約権(以下「本件新株予約権」という。)の無償割当てが用いられており、いわゆる「第二新株予約権方式」が採用されている点
・敵対的TOBではなく市場買集めに対応して導入する点
・アダージキャピタルらの持株割合が本件買収防衛策導入時点までにトリガー割合(20%)を既に超えていることから、アダージキャピタルらは「大規模買付者」に該当するものとして、新たに三ッ星の株式の取得等をする場合など「大規模買付行為等」に該当し、本件対応方針に定める手続きに従うべきとされた点
など、東京機械製作所事件における買収防衛策と基本的に同様の内容となっており、これに倣って設計したものと推測される。

本件新株予約権の内容としては、大要以下のとおりである。
・行使条件について、「大規模買付者」であるアダージキャピタルらを「非適格者」とし、非適格者は行使することができない
・取得条項について、三ッ星の取締役会が決議した場合、非適格者以外の株主が保有する本件新株予約権については三ッ星の普通株式を対価とし、非適格者が保有するものについては第二新株予約権を対価とし、三ッ星が取得することができる
・第二新株予約権の行使条件について、大規模買付行為等を中止又は撤回し、かつ、その後大規模買付行為等を実施しないことを誓約し、かつ、株券保割合が21.63%を下回っている場合又は三ッ星が認める証券会社に委託して三ッ星の株式を処分し、処分後に21.63%を下回った場合に、21.63%を下回る範囲内でのみ行使できる
・第二新株予約権の取得条項について、交付された日から10年を経過する日以降11年を経過する日までの間に第二新株予約権取得日時点の公正価額に相当する金銭を対価として取得することができる

三ッ星の取締役会は、アダージキャピタルらによる三ッ星の株式の取得が、三ッ星「の企業価値ないし株主共同の利益に反するおそれは否定できないもの」とし、株主が適切な判断を下すための「情報と時間を確保することが必要」と考え、アダージキャピタルらを対象とする、本件対応方針の導入について決議した。
なお、三ッ星は、本件対応方針が事前警告型買収防衛策ではなく、有事導入型買収防衛策である旨も説明している。

4.本件対抗措置の発動

三ッ星は、アダージキャピタルらに対し、本件対応方針に基づく意向表明書の提出を求めたが、アダージキャピタルは、アダージキャピタルらが、本件対応方針記載の「特定株主グループ」に該当せず、「大規模買付行為等」を開始していないため、意向表明書の提出を不要である旨を主張した。

三ッ星の取締役会は、アダージキャピタルらが、2022年3月頃以降、三ッ星の株式を追加で取得しておらず、追加で株式を取得する意向がない旨を表明していたものの、一連の対応を踏まえ、アダージキャピタルらが今後も法令を遵守しない対応により、急速かつ継続的な買集めを実施する蓋然性が高く、その場合、三ッ星の株主が、適切な判断を下すための情報と時間を確保することができない状況にあるとして、独立委員会から対抗措置を発動することが相当であるとの勧告を受け、本件対抗措置を発動する旨を決議した。
なお、本件対抗措置の発動について取締役会で決議した後に開催された株主意思確認総会においても、賛成多数にて可決された。

5.裁判所の判断

本件対抗措置の発動を受け、アダージキャピタルは、本件新株予約権無償割当てについて、会社法第247条第1号及び第2号の類推適用に基づき、仮に差し止めることを求め、仮処分命令の申立てを行った。

(1) 申立審決定の判断

大阪地裁は、本件の主要な争点を以下の3点とし、
 ①本件買収防衛策導入以降、三ッ星の発行する株式を取得しておらず、その意向もない旨の表明をしているアダージキャピタルに対して本件買収防衛策が適用されるか
 ②本件対抗措置の発動は不公正なものといえるか
 ③株主平等の原則に反するものか
その上で、大要以下のとおり判断した。

ア 本件買収防衛策が適用されるか
本件対応方針における「大規模買付行為等」には「買付行為のほか、共同協調行為も含まれるところ」、アダージキャピタル関係者にアダージキャピタルの元組合員であるなどの一定の関係を有するものであることがうかがえること、アダージキャピタルが三ッ星の株式を取得し始めた時期と同時期から同様に取得を始めたこと又はアダージキャピタルが開催を求めた臨時株主総会の基準日までに三ッ星の株式を相当数取得したものであること、臨時株主総会においてアダージキャピタルの委任状勧誘に応じていることなどの事情から、アダージキャピタルとアダージキャピタル関係者によって「本件対抗措置の発動がされる前に、少なくとも本件対応方針に定められた共同協調行為がされた」と認定した三ッ星の判断に「不合理な点があるということはできない」ため、本件対応方針が適用され、アダージキャピタルが本件対応方針に定められた手続を遵守していないことから、本件対抗措置を発動する場合に該当する。

また、三ッ星が主張していた「ウルフパック戦術」(複数の株主が協調関係にあるものの、それを隠匿したうえで、時機を見て一斉に対象会社に攻勢をかけ、その要求を実現させるもの。)について、「ウルフパック戦術に該当するか否かはさておき…複数の投資主体による経営支配権の取得を目的とした行為」についても株主に対して時間と情報を確保する必要性があるといえるから、本件対応方針が適用される。

イ 不公正な方法によるものか
本件買収防衛策が、「共同協調行為を対象とするもの」で、アダージキャピタルが三ッ星の株式を取得し終えた時点以降に導入されたものであるから、アダージキャピタルにとって、「本件対応方針の策定が予期せぬ不利益や対応の必要性を生じさせる不意打ちとなる恐れがあるもの」であり、「いかなる行動を採れば不利益を回避することができるのかも問題となる」、「そのような買収防衛策は、企業価値ひいては株主の共同の利益を維持するという必要性がある場合にはじめて許容される余地が生じるというべきもの」であるため、「株式会社の企業価値ひいては株主の共同の利益を維持するためではなく、専ら経営を担当している取締役等…又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するためのものである場合には、対象企業の経営権の取得の目的が買収者の濫用的な目的によるものであり、その結果対象会社の企業価値に重大な悪影響が及ぶなど上記の買収防衛策を正当化するに足りる特段の事情のない限り、不公正な方法によるもの」と解すべきである。

そして、専ら現経営陣らによる経営支配権維持目的の場合に当たるか否かについては、「買収者と現経営陣との間に…経営支配権を巡って現に争い」がある中で(経営支配権をめぐる争いの存在)、「株主の共同の利益を維持するという観点」から現経営陣の経営支配権が維持される結果を招来してでも買収防衛策を導入する必要があり(本件対抗措置の必要性)、かつ、そのための手段として差別的行使条件が付された新株予約権の無償割当てを行うことが、「買収者の受ける不利益の内容及び程度、不利益を受ける買収者が撤退措置を採ることの可否及びその内容等に照らして相当」といえるときには、株主の共同の利益のためにされたということができ、不公正なものに当たらないというべきである。

また、株主の共同利益を維持するための必要性については、「対応方針で掲げられた目的の合理性のほか、株主の意思を確認する総会が開催されている場合には、…株主の総体的意思を尊重すべきであるから、当該判断の正当性を失わせるような事情が認められない限りは、その結果も踏まえて検討すべきである。

(ア)経営支配権を巡って現に争いがあるか
本件対抗措置の発動時点において、臨時株主総会の招集請求を行ったこと、本件各議案は否決されたものの賛否の得票差は僅差であったことなど、三ッ星の現経営陣とアダージキャピタルとの間での経営支配権の巡る争いが顕在化している。その争いの程度にも激しいものがあり、経営支配権の争いが存在することによって、現経営陣は本件対抗措置の発動時点において経営支配権を維持する意図を有していたと推測することでき、しかも、その推測の程度は、相当に強度なものがあると評価することができる。

(イ)本件対抗措置の必要性について
・アダージキャピタルによる経営支配権の取得が三ッ星の経営に対しどのような影響を与え得るかについては、株式取得の態様と相まって不確定な要素が多かったこと
・本件買収防衛策の目的及び内容が「株主に大規模買付行為等の適否を検討する時間的余裕と考慮すべき要素についての情報を提供しようとするもので」、目的が合理的なものといえること
・本件対抗措置の発動する条件の一つである本件株主意思確認総会において賛成多数において可決されているところ、株主の判断について正当性を疑わせるような事情は認められないこと
から、「本件新株予約権の無償割当てには、株主の共同の利益を維持するという観点から実施する必要性がある」と認めることができる。

(ウ)本件対抗措置の相当性について
非適格者とされたアダージキャピタルらに生じる「不利益の回避を意図した設計がされている」ものの、
 ①(アダージキャピタルが三ッ星株式を追加取得しておらず、またその意向がないことを表明している状況においては)「事前の告知を欠くもので予期せぬ不利益を生じさせるおそれのあるものであるにもかかわらず、その撤回の方法も…本件の審理を通じて…明らかにされるまでは通知などもされておらず」、いかなる行為をすれば大規模買付行為等の撤回に該当するのか、明確な認識を持つことが困難であったこと
 ②本件審理中に求釈明を受けて三ッ星が示した以下の撤回方法が、事前に明示的に定められたものとはいえないことに加え、株主において適切な判断を下すための情報と時間を確保するという本件買収防衛策の目的を達成するために必要な程度を大きく逸脱し、アダージキャピタルらの株主権を広範に制限するものと評価せざるを得ず、少なくとも現経営陣の経営状況を監視する機能を大幅に減じさせるものといえ、現経営陣による三ッ星の経営支配権の維持という結果を招来するものといえること
  ⅰ アダージキャピタル及びアダージキャピタル関係者が本件対応方針に定める手続を遵守せずに三ッ星株式に対する大規模買付行為等を実施した事実を認めること
  ⅱ アダージキャピタル及びアダージキャピタル関係者の保有する三ッ星株式が本件対抗方針の導入時点で増加していないことが確認されること
   アダージキャピタル及びアダージキャピタル関係者が、(i)三ッ星に対し、今後大規模買付行為等を行わないこと(ルーツビジネスサポート、杉山製作所、LULインターナショナル、アジアインベストメントファンド及び成田帝との間で樹立した共同/協調関係の解消を含む)、(ii)保有する三ッ星株式をブロックでその書面による承認がない第三者に譲渡しないこと、(iii)当面の間、三ッ星の株主総会における株主提案を行わず、臨時株主総会の招集請求権を行使しないこと、(iv)当面の間、会社提案に反対する委任状勧誘を行わないこと、(v)当面の間、他の株主からの株主提案に賛成しないこと、(vi)その他、自ら又は他の株主と共同して三ッ星の経営支配権奪取を企図する一切の行為を行わないこと等の内容を含む誓約書を提出すること
 ③アダージキャピタルらによる共同協調行為が認められる余地があるとしても、アダージキャピタルがアダージキャピタル関係者を実質的に支配しているような関係にあるものとまでは認めらないことなどから、アダージキャピタルからすれば大規模買付行為等を撤回する方法が「実質的に閉ざされている」と評価するほかないこと
 ④三ッ星による非適格者の認定判断について、現経営陣による経営支配権の保持を目的とした恣意的なものである可能性が排除できないうえ、現経営陣に異を唱える株主のうち保有株式が多い株主のほとんどが排除される結果となるものであり、現経営陣に異を唱える株主を排除しようとするものではないかという疑念を生じさせること
 ⑤共同協調行為について、複数の株主間における三ッ星の経営支配権の取得を目的とする「あらゆる行為」とされており、明確な行為基準ではなく包括的な規定であることから、根拠が薄弱な認定や恣意的な判断を招来するおそれがあること
 ⑥根拠が薄弱な認定や恣意的な判断を担保する手段として本件独立委員会の設置及びその勧告が予定されているものの、独立委員会からの勧告の内容が公表されておらず、独立委員会が、現経営陣による恣意的判断のおそれについて「いかに配慮した上で…勧告を行ったものかも明らかではな」く、「恣意的判断の排除のためにいかなる措置を執ったのかも明らかではない」ため、「独立委員会の存在及びその勧告があったことをもって、現経営陣による判断の恣意性が排除されたと評価できるものでき」ないこと
等の事情を踏まえると、株主の共同の利益を維持するための手段としての相当性を欠く。

(エ)結論
「専ら現経営陣又はこれらを支持する特定の株主の経営支配権を維持する目的によるものといえ、かかる措置を導入することを正当化する特段の事情も認められない」ことから、不公正発行に該当する

ウ 株主平等の原則に反するものか
本件新株予約権の無償割当てが、「不公正なものであり、株主が不利益を受けるおそれがあると認められるから、…株主平等の原則に反するか否か検討するまでもな」い。

エ 結論
以上より、保全の必要性を認め、本件新株予約権無償割当てを仮に差し止める決定をした。

(2) 保全異議審(原々審)の判断

三ッ星は、申立審決定を不服として、保全異議の申立てを行い、大要、以下のとおり主張した。

①アダージキャピタルらの特殊な買い集め方法(信用買いで大量に買い集め、基準日直前に現引きを行って権利行使を行う)を十分に考慮していない
②アダージキャピタルらやその他の者の取引関係等の実質的な利害関係を看過している
③大量保有報告書の提出義務に違反した買付行為は法的保護に値するか疑問がある
④大規模買付行為の撤回方法について、共同協調行為が行われ得る状況に至る行為を一定程度制限することは合理的である
⑤株主意思確認総会において、株主は、アダージキャピタルらが三ッ星の経営支配権を取得することは三ッ星の企業価値、株主の共同利益を害することになると判断したもので、株主権の制限をすることも正当化される
⑥アダージキャピタルらの全容が明らかでなく、大規模買付行為等の撤回方法を事前に提示することはできなかった
⑦独立委員会は恣意的判断排除のために有効に機能している
⑧申立審決定後に、大規模買付行為等の撤回行為等を見直したので、アダージキャピタルらの損害回避可能性が確保された(※三ッ星は、申立審決定後、大規模買付行為等の撤回方法について通知した。)

上記主張について、保全異議審(原々審)の大阪地裁はいずれも採用せず、原決定を認可した。なお、上記③については、大量保有報告書の期限内の提出は投資者保護の見地から定められたものであり、アダージキャピタルらによる三ツ星株式取得が法的な保護に値しないということはできず、アダージキャピタルが本件対応方針及び本件対抗措置によって生じる不利益をそのまま甘受すべき立場にあるとは評価できないことなどから、提出期限の徒過をもって本件対抗措置の相当性の判断において重視すべきものとはいえないとしている。また、上記⑤については、株主意思確認総会は本件対抗措置の必要性を肯定する事情の一つとして尊重されるべきであるものの、相当性については別途検討されるべきとした。さらに、上記⑧については、このような安定的とはいい難い措置を三ツ星が採っていること自体が、当初の非適格者の認定判断が薄弱な根拠によるものであったことや、撤回方法の検討においても株主の受ける不利益に対する十分な配慮がなかったことを示すものとみることもできると判断している。

(3) 保全抗告審(原審)の判断

保全異議審(原々審)の判断を受け、三ッ星は、大阪高裁に対し抗告したが、同裁判所は大要、以下のとおり述べ、本件新株予約権無償割当てが「著しく」不公正な方法によるものとして、抗告を棄却した。

①三ッ星は、株主意思確認総会において、現経営陣とアダージキャピタルらのいずれに経営を委ねるべきかについて株主の意思が示されたといえるから、対抗措置の必要性及び相当性はかかる株主の意思に照らして判断する必要があり、対抗措置には相当性があると主張した。これに対して保全異議審は、(i)(三ッ星が)本件各議案に賛成する旨の委任状を提出したことを非適格者に該当することの認定理由としたことは、本件株主意思確認総会に臨む株主に対し会社提案議案に賛成しなければ非適格者と認定され、本件新株予約権無償割当てにおいて不利益な扱いを受けるのではないかとの懸念を生じさせる、(ii)三ッ星はその後、株主提案議案に賛成したことをもって非適格者認定を行うことはない旨公表しているが、この公表は総会当日のわずか2日前のことであり、その内容が株主らに周知され株主らの懸念を払拭するに十分であったとするには大きな疑問があるなどして、株主意思確認総会において僅差で可決されたことをもっても、本件対抗措置の相当性を認めることができない否定とした。
②非適格者の認定に関し、三ッ星が現経営陣の主観的態様は強調すべきではなく、対抗措置の判断は客観的にされるべきであると主張したのに対し、保全異議審は、三ッ星が事後的に株主から抗議を受けて非適格者認定を撤回するなどして、非適格者を認定するにあたりその要件や手続を慎重かつ十分に検討したとはにわかにいい難く、現経営陣が自己の都合で、思うままに非適格者の認定を行ったのではないかと評せざるを得ないとした。
③三ッ星は、撤回方法及び非適格者の範囲を見直したことにより対抗措置の相当性は確保され、一定の株主権の制限を含む誓約書の提出を求めることは正当であると主張した。これに対して保全異議審は、三ッ星がその主張する共同強調行為につきいかなる条件がそろえばアダージキャピタルから撤回されたものとして扱うか十分に検討していたか自体疑わしい上、書面による事前承認がない限り第三者に保有株式を譲渡しないよう求めるなど相当であったとは決していえないこと、非適格者認定について明確な基準を示すことなく特定の株主を非適格者として不利益に扱う態度を示すことは株主らに、現経営陣の提案に反対すれば不利益な取扱いを受けるのではないかとの萎縮効果をもたらすことなどから三ッ星の主張を採用できないとしている。

(4) 本最高裁決定

最高裁は、「本件の事実関係の下において、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる」とし、許可抗告を棄却する決定を棄却した。

6.本件へのコメント

(1) 共同協調行為とウルフパック戦術

本件買収防衛策のように、①対象会社株式の買付行為のみならず、複数の株主による「共同協調行為」も「大規模買付行為等」の対象とするか(例えば、有事導入型買収防衛策の先例である芝浦機械や東京機械製作所における買収防衛策も同様の規定が設けられている。)、又は②大規模買付行為等、ひいては対抗措置発動の基準となる「特定株主グループ」の議決権割合(多くの場合20%)について、金商法上の共同保有者又は特別関係者のみならず、これらに準じた関係の者の持株分も含めて合算する実務は、これまでの多くの買収防衛策において採用されてきた。これらは三ツ星が保全事件において主張した「ウルフパック戦術」を含む複数の株主による行動に備えた規定であると思われる。本件は、買収防衛策に基づく対抗措置発動に関連して初めてこの「共同協調行為」該当性が問題となった事案といえるだろう。

本件において裁判所は本件買収防衛策上の大規模買付行為等としての「共同協調行為」の存在自体を(「かろうじて」ともいえようか)認定しているものの、後述(2)のように本件対抗措置の相当性の要件の厳格な検討を通じて、その範囲の曖昧さに関連して結果として本件対抗措置の発動を否定している。

わが国におけるウルフパック戦術に対する問題提起は、武井一浩弁護士及び太田洋弁護士による「ヘッジファンド・アクティビズムの新潮流-(上)ウルフパック戦術(群狼戦術)と金融商品取引法・(下)英米における対応とわが国上場企業法制への示唆」(旬刊商事法務1840号74頁、1842号23頁)がその嚆矢であるが、同論文が発表された2008年から10数年経過した現在においてなお、ウルフパック戦術を含む共同協調行為に関する検討が十分なされているとは言えない状況にある。共同協調行為に関して現状考えられる問題点としては以下の点があげられようか。

①共同協調行為を買収防衛策における大規模買付行為等の1類型として位置づけるとしても、その強圧性(売り圧力)の有無、程度についてどのように評価するか。これは、共同協調行為に対する買収防衛策に基づく対抗措置発動の必要性との関係で問題となる。

②複数の株主との間に議決権の共同行使の合意があれば、現行金商法上の共同保有者又は実質的特別関係者と認められ、当該複数の株主の株券等保有割合又は株券等所有割合は合算して取扱われるところ、このような合意はどのような場合に認定されるか。また、大量保有報告書制度の投資家保護の趣旨に鑑みると、このような株主間の合意の存在に関する事実認定の困難さ[1]についてどのように対処していくのが良いか。

③立法論として、大量保有報告書法制において、金商法上の共同保有者・実質的特別関係者の概念では補足できない協調者をどのように評価していくことが望ましいか。

④大量保有報告書提出義務違反(これには本件でも問題となった提出期限の徒過のほか、議決権行使の合意があることなどから共同保有者として取扱うべきであるのにそのような取扱いをしない場合も含まれるだろう。)のエンフォースメントが十分でないという指摘に対してどう考えるか。

(2) 本件対抗措置発動の相当性に関する具体的な検討

本件は株主意思確認総会により本件対抗措置発動が可決されているにもかかわらず不公正発行であるとされたことに特殊性があるところ、株主意思確認総会の可決をもってただちに必要性のみならず相当性も肯定され、不公正発行性が否定される(差し止められない)とは限らず、運用面において相当性の要件についても慎重な検討を要することがあらためて確認されたことに意義があるといえる。

本件では、三ッ星側は本件対抗措置の必要性のみならず相当性も含めて株主意思確認総会を通じて株主の意思に照らして判断するべきと主張したものの、大規模買付行為等の撤回方法が明らかでなかったこと、三ッ星が提示した撤回方法が買収防衛策の目的との関係で必要な程度を大きく逸脱していること、非適格者の範囲が不明確であり、一般株主に萎縮効果を及ぼしかねなかったこと等を踏まえて、対抗措置発動の相当性が否定されている。
従来の裁判例でも、対抗措置発動の相当性について、損害回避可能性の有無や、損害軽減措置の有無、予見可能性の有無等について検討されていたところ、本件では、買増し又はその表明が行われていない共同協調行為という大規模買付行為等の特殊性から、他の事案と比較してより具体的な検討がなされていることが注目される[2]

①大規模買付行為等の「撤回」について
東京機械製作所事件では、対抗措置を発動する際のプレスリリースにおいて、対抗措置の発動を留保又は中止する場合の具体例が記載されていた。他方、本件では、対抗措置を発動する際のプレスリリースにおいて、具体例が特に記載されていなかった。これは、本件が共同協調行為を対象として発動したものであること、三ッ星株式の追加取得をしておらず、かつその意向もない旨表明していることから、重ねて何をすれば共同協調行為が撤回されたといえるのか、時間的制約の中で具体的に示すことが困難であったため、発動段階のプレスリリースにて記載できなかった可能性がある。

もっとも、(1)イ(ウ)②iiiに列挙するとおり、アダージキャピタルに対しても求める撤回水準は、株式譲渡や委任状勧誘の禁止など、買収防衛策の目的を超えて株主権を過剰に制約するともいえる内容であったことが結論を帰趨する大きな事情となったといえる。

②「非適格者」の範囲について
また、本件では「非適格者」の範囲に杉山製作所ら、アダージキャピタル関係者以外の株主を含めようとしたことによって(後に一部撤回)、結果としてアダージキャピタル側の委任状勧誘に応じた一般株主も「非適格者」に該当しかねないことも相当性を否定する方向の判断に大きな影響を与えた。本件対応方針では、非適格者の範囲として(大規模買付者の)「関係者」が含まれ、この「関係者」には「(大規模買付者と)共同ないし協調して行動する者」であるも含むとされているところ、この定義それ自体は東京機械製作所の事例を含む従前のものとほぼ同様の内容ではある。しかし、この文言に依拠するとしても、その運用において一般株主をも非適格者に含みかねない判断をすることは一般株主に権利行使への萎縮効果という悪影響を及ぼすものであることがあらためて確認された。一般株主に損失を与えない設計とすることは買収防衛策の大前提であり、本件のような共同協調行為が問題となるような事案では非適格者の範囲については不相当に拡大することのないよう、慎重な判断が必要となろう。

(3) そもそも本件対抗措置発動の必要性があったのか

本件において裁判所は、対抗措置発動の必要性について、買収防衛策の目的及び内容が株主の判断のための時間及び情報の確保を目的とするものであることを認定したうえで、株主意思確認総会にて可決されたことも踏まえて、対抗措置発動性の必要性を認めている。しかし、アダージキャピタル側が追加買付けを行わない旨の意向を表明している中で、果たして(本件買収防衛策の導入自体は行うにしても)本件対抗措置発動の必要性自体があったのかは疑問である(経営陣として必要性を極めて強く感じていたであろうことは当然としても)。これは、必要性の判断については原則として株主の意思を尊重するという従前からの裁判所の判断の枠組みに従う以上は、株主意思確認総会の可決がなされれば必要性を認めざるを得なかったのではないかと想像する[3]

(4) 独立委員会による検討

裁判所による買収防衛策に基づく対抗措置発動の適法性に関する審査において、独立社外取締役等で構成される独立委員会による検討、勧告については積極的に評価されていない現状にある[4]。本件においても、独立委員会の存在及びその勧告があったとしても、現経営陣による本件対抗措置発動に関する判断の恣意性が排除されたと評価できないと判断された。もっとも、本件では、独立委員会による検討過程が明らかでなかった点も考慮されている(独立委員会による答申書は作成されていなかったか、又は証拠提出されなかったものと思われる。)。本件において独立委員会による検討過程が開示されなかったのは時間的制約等様々な事情があったのであろうが、今後の同様の事案においては、独立委員会による「共同協調行為」や「非適格者」といった包括的な規定に関する認定を含む対抗措置発動の是非に関して、独立社外取締役を含め適切に構成された独立委員会により、十分な批判的検討を行い、その内容を開示すれば、裁判所においても一定の評価がなされる余地はなおありうるのではなかろうか。上場企業において独立社外取締役が増加し、取締役会の独立性が高まってきている現状の中で、独立委員会による検討は、裁判所による審査においても考慮されることを期待したいところである。

以 上

文:柴田 堅太郎(柴田・鈴木・中田法律事務所 弁護士)
正木 達也(柴田・鈴木・中田法律事務所 弁護士)

[1] 本件において三ッ星がアダージキャピタルらの「共同協調行為」を大規模買付行為等として問題視したのも、非適格者の範囲を広く捉えようとしたのも、このようなアダージキャピタルら及びその関係者とされる株主らの関係性を把握することが困難であったことによるものと推察される。

[2] 本件に関する一連の決定が出る少し前に公表された松中学「敵対的買収防衛策に関する懸念と提案〔上〕〔下〕ー近時の事例を踏まえてー」(旬刊商事法務2295号4頁、2296号37頁)は、「特に裁判例において、防衛策が脅威に応じて相当な効果を持つという意味での相当性が忘れられている可能性」があることを指摘している。

[3] なお、本件対抗措置発動について賛成と反対の数が約54%対46%と比較的僅差にとどまったことは、株主総体としてはその必要性を認めるにしてもそれほど強くは認めていないことを意味しているとも評価できる(僅差であったことは裁判所も指摘している。)。これはあくまでも筆者らの憶測に留まるし、必要性と相当性という全く別の要件の問題ではあるが、裁判所が本文のとおり相当性の判断をシビアに行うという判断に至ったのは、株主により必要性は認めるもののそれほど高くはないと評価されたこととの均衡も一つの考慮要素として影響を及ぼしたのかもしれない。

[4] カーティス・ミルハウプト・宍戸善一「東京機械製作所事件が提起した問題と新J-Pillの提案」旬刊商事法務2298号13頁参照