「ローランド」コロナ禍で状況が一変 3年で営業利益が2倍に 

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電子楽器メーカーのローランド<7944>が3期連続で増収増益を達成できる見通しとなった。

コロナ禍の中、余暇時間で楽器演奏を楽しむ人たちが増え、電子楽器需要が増加しているためで、2022年12月期はコロナ前の2019年12月期に比べ、本業の儲けを示す営業利益が2.2倍に拡大する見込みだ。

同社は2021年8月に2022年12月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を見直し、売上高を当初の728億円から815億円に、営業利益を同90億円から123億円に、当期利益を同62億円から86億円に上方修正した。

2022年2月10日に発表した2022年12月期の業績予想では、売上高と当期利益はこの修正計画をさらに上回る。

業績が低迷していた2014年に、事業立て直しに伴う株主へのリスクを最小限に抑えるためMBO(経営陣による買収)を実施し、株式を非公開化(2020年に東京証券取引所市場第一部に再上場)したが、コロナ禍で状況が一変した。

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オンライン対応で売り上げアップ

2021年12月期の売上高は800億3200万円で、前年度よりも25%増収となった。国内でオンラインでのユーザー参加型イベント「ROLAND/BOSS プレイヤーズ・サミット2021」を開催したほか、欧州では自宅にいながらオンラインで専門スタッフによる接客を受けることができる新サービス「Roland Live」を始めたことなどから順調に売り上げが伸びた。

増収に伴い利益も増加しており、営業利益は110億9300万円(前年度比55.9%増)、経常利益は101億200万円(同60.9%増)、当期利益は85億8600万円(同99.6%増)と、いずれも50%を超える大幅増益を達成した。

部門別にみると、電子ピアノなどの鍵盤楽器が、ポータブルタイプの新製品などが好調に推移し、前年度より39%の増収となったほか、電子ドラムなどの管打楽器も同30%の伸びとなった。

ギターエフェクト(電気的に音を変化させる機器)やアンプ(増幅器)などのギター関連機器や、ステージピアノ、ダンス&DJ関連製品、ソフトウエア音源などからなるクリエーション関連機器&サービスも2ケタの伸びとなった。映像音響機器だけは、低価格帯商品の販売が伸び悩み同7%ほどの減収だった。

中期経営計画も達成へ

2022年12月期は売上高850億円、営業利益116億円を見込む。会計基準の変更に伴い、前年度との増減率を表記していないが、前年度と同様の基準であれば売上高は858億円(前年度比7.2%増)、営業利益は124億円(同11.8%増)になるという。

会計基準の変更の影響のない経常利益は117億円(前年度比15.8%増)、当期利益は87億円(同1.3%増)の予想で、会計基準の変更がなければ全段階で中期経営計画を達成できる計算だ。コロナ禍は、どこまでローランドの業績を押し上げるだろうか。

【ローランドの業績推移】単位:億円、2022年12月期は予想、()内は前年度比

文:M&A Online編集部