パンダ銘柄 “伏兵”は現れるか?

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写真はイメージです

 パンダ銘柄は東天紅<8181>と精養軒<9734>だけ? 上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダの赤ちゃん「シャンシャン(香香)」の一般公開(19日)まで1週間あまり。観覧予約の申し込みが殺到しているという。株式市場では毎度、東天紅と精養軒がもてはやされているが、両社を脅かすような“伏兵”銘柄の出現はないのだろうか。

東天紅、精養軒が両横綱

 中華料理の東天紅は上野不忍池畔に、フランス料理の精養軒は動物園がある上野公園内にそれぞれ本店を構える。パンダ銘柄の両横綱にふさわしい絶好の地の利をとあって、集客増と業績アップが見込めることが材料視されている。

 実際、両社の株価は高値圏で推移している。赤ちゃんが誕生した6月12日、東天紅は2900円(終値2240円)と約10年ぶりの高値を、精養軒は978円(終値936円)と3年3カ月ぶりの高値をつけた。11月下旬には一般公開スケジュールの発表を受けて7-8日連騰となった。先週末(9日)は東天紅が前日比13円高の2476 円、精養軒が同5円安の1894円で取引を終えている。

台東区には上場企業が30社以上

パンダ人気に西郷さんもたじたじ?(上野公園)

 パンダ銘柄として東天紅、精養軒に伍するような大関、関脇クラスは見当たらないものの、上野動物園がある台東区には上場企業が30数社ある。上野公園への玄関口、上野駅周辺にはパチンコ・パチスロ機大手の平和<6412>、建機大手の日立建機<6305>、バイク用ヘルメットの世界的メーカー、SHOEI<7839>といった有力企業の本社がある。鉄道電気設備工事の日本電設工業<1950>、農薬のクミアイ化学工業<4996>は不忍池畔の池之端に本社を置く。飲食関連では、居酒屋「はなの舞」などで知られるチムニー<3178>の本社も区内。

 このうち、日立建機は売り上げが8000億円規模と最も大きいが、実は2016年3月に文京区から引っ越してきたばかり。百貨店では、松坂屋上野店(J.フロントリテリング<3086>)、上野マルイ(丸井グループ<8252>)があり、パンダ商戦の恩恵が少なからず期待できそうだ。

 日中国交正常化を記念してパンダ(カンカン、ランランの2頭)が初めて来日したのは1972年10月。以来、パンダは日中関係の深化に大きな役割を果たしてきた。俗に言われるパンダ外交だ。

パンダが日中関係の深化に一役

 中国は2010年、日本と入れ替わって世界第2位の経済大国に躍進。日中企業の力関係の変化を反映するかのように、中国企業の対日M&Aが活発してきた。2010年にレナウン、本間ゴルフ、そして自動車用金型の世界的メーカーのオギハラが相次いで中国企業の傘下に入り、翌2011年には旧三洋電機の白物家電事業を中国企業が買収した。

 折しも、シャンシャン誕生の6月、エアバックのリコール問題で経営悪化していたタカタが1兆円超の負債を抱えて破たんした。このスポンサー企業として名乗りを上げたのが中国・寧波均勝電子傘下の米国キー・セイフティー・システムズ(KSS)。タカタは11月、事業の大部分を約1750億円でKSSに譲渡することで最終合意したが、ここでも中国パワーを見せつけられた。

 シャンシャンの一般公開のカウントダウンがいよいよ始まり、今週の関連銘柄の動きをめぐっては投資家だけでなく、パンダファンの耳目も集めることになりそうだ。

文:M&A  Online編集部