ドイツ筆記具「LAMY」(ラミー)が三菱鉛筆の傘下に 34年ぶり外国社買収の狙いは?

alt
三菱鉛筆の「ユニ」

鉛筆の「ユニ」で知られる三菱鉛筆<7976>が、34年ぶりに企業買収に踏み切った。2024年3月15日にドイツの筆記具メーカーであるC. Josef Lamy GmbH(ラミー、ハイデルベルク)を子会社化するのだ。

同社が公表している沿革によると、企業買収は1989年に実施した米国の「サーコンプ」、1990年に実施した英国の「ロイヤルソブリン」以来となる。

2024年12月期を最終年度とする中期経営計画の重点方針の一つとして、筆記具事業のグローバル化を掲げており、今回の企業買収はこの方針にそったものだ。

同社は2024年2月16日に、中期経営計画最終年の売上高と営業利益の目標を引き上げたばかり。この修正にはラミー買収の影響は含まれていないため、さらなる上振れが見込まれる。2024年12月期は大きく伸びる年になりそうだ。

関連記事はこちら
「パイロット」と「三菱鉛筆」 業績の行方を分ける要因とは

ブランド力の活用で成長

ラミーは万年筆やボールペン、シャープペンなどのメーカーで、無駄を削ぎ落としたデザインが特徴。

2023年12月期の売上高は7680万ユーロ(約125億円)、営業利益は590万ユーロ(約9億5000万円)だった。

三菱鉛筆は欧州市場でのシェア拡大を、重要な事業戦略の一つと位置づけており、主力製品に重複の少ない両社のブランド力を活用することで、欧州市場での事業拡大を目指す。

三菱鉛筆では「ラミーのブランド力、デザイン力、技術力を獲得することで、世界有数の筆記具メーカーとなる」としている。

2024年12月期の業績が上振れ

中期経営計画では、最終年の2024年12月期に売上高740億円、営業利益116億円の目標を掲げていた。

2023年12月期に、この目標を超えたため、2024年12月期の売上高を780億円(前年度比4.3%増)に、営業利益を125億円(同5.5%増)にそれぞれ引き上げた。

この数値にラミーの業績が加わることになるため、2024年12月期の売上高と営業利益はさらに伸びる見込みだ。

グルーバル化に拍車

三菱鉛筆は1887年に眞崎鉛筆製造所を創業したのが始まりで、1925年に眞崎と大和が合併して、眞崎大和鉛筆となったあと、1952年に社名を三菱鉛筆に改称した。

1958年に発売した鉛筆「ユニ」はロングラン商品で、60年以上たった現在でも販売されている。

同社は中期経営計画に沿って、北米や欧州で販売体制を強化し、海外売り上げを伸ばしており、すでに海外売上高構成比は50%を超えている。

今後も海外ではシェア拡大の余地があるととらえており、ラミーの買収によってグルーバル化が一層進展することになりそうだ。

文:M&A Online