日本仮想通貨交換業協会は仮想通貨交換業の自主規制案をまとめた。金融庁が事務局を務めている仮想通貨交換業等に関する研究会で「仮想通貨交換業に関する自主規制の概要について」として公表した。
同研究会は金融庁が2018年3月8日に仮想通貨交換業をめぐる問題について制度的な対応を検討するために設置した組織で、今回が5回目の開催。金融庁は今回日本仮想通貨交換業協会がまとめた自主規制案を金融庁のホームページに掲載した。
日本仮想通貨交換業協会は、これら自主規制案を早期に実施するとしており、金融庁が自庁のホームページにこの自主規制案を掲載していることから、ほぼこの内容で自主規制が実施されるものと思われる。
自主規制が実施されれば、これまで以上に仮想通貨に対する信頼感が高まり、利用者層が一段と広まることが見込まれる。
日本仮想通貨交換業協会が公表した「仮想通貨交換業に関する自主規制の概要について」には、仮想通貨の取扱いに関する規則や、利用者財産の管理に関する規則、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)の取扱いに関する規則など12項目の自主規制案が盛り込まれた。
仮想通貨の取扱いに関する規則では「新規の仮想通貨を取扱う場合、会員による内部審査を行った上、当協会への事前届出を必要とし、当協会が異議を述べた場合は取扱い不可とする」としており、これによって詐欺的なICOなどを排除する効果が期待できる。
また、利用者財産の管理に関する規則では「分別管理部門の設置、教育研修・業務指導、受払担当者と照合担当者の兼務禁止、事故・不正等の防止のため各担当者の定期的な交代等の措置」を挙げており、会員企業に利用者財産の管理体制の一段の強化を求めた。
ICOの取扱いに関する規則では「会員が、自ら資金決済法に定める仮想通貨を発行し、利用者に対して当該仮想通貨を販売する行為又は他の仮想通貨との交換を行う行為については自主規制を検討する」としており、仮想通貨の取扱いに関する規則と同様、詐欺的なICOの排除効果が期待できる。
日本仮想通貨交換業協会は仮想通貨交換業に関する自主規制団体で、登録仮想通貨交換業者16社が2018年3月29日に設立した。2018年7月30日に自主規制規則(暫定)を決議し、 2018年8月2日には認定資金決済事業者協会の認定を金融庁に申請している。
今回の自主規制案は資金決済法や犯罪収益移転防止法、事務ガイドラインさらには金商法や金商業などの既存の規制などを参考に策定したという。
仮想通貨交換業等に関する研究会は、神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授を座長に弁護士や大学教授など13人で組織されており、日本仮想通貨交換業協会奥山泰全会長ほか関係団体の10人がオブザーバーとして参加している。
文:M&A Online編集部