仮想通貨関連企業2社が相次いでプロサッカー選手の本田圭佑選手と香川真司選手をイメージキャラクターに起用した。
仮想通貨は若い人たちの間で関心が高いため、こうした若い人たちに人気の本田、香川両選手を起用することで、企業のイメージを向上させるとともに、価格の乱高下などにより不安定なイメージがつきまとう仮想通貨全体の評価を高めるのが狙いと思われる。
本田選手は契約金を仮想通貨で受け取ることになっており、仮想通貨が身近な存在であることを㏚する効果も期待できそうだ。
本田圭佑選手とイメージキャラクタ-契約を結んだのは仮想通貨交換業者のビットポイント。2018年6月に関東財務局から業務改善命令を受けており、現在は積極的な業容拡大につながるマーケティングは自粛しているという。
今回の契約では、本田選手が世界一になるという目的に向けてトレーニングに励む姿を撮影し、ビットポイントのホームページで公開した(動画はこちら)。ビットポイントによると、同社が強化している経営管理態勢をこの動画で表現したという。
本田選手は「イメージムービーのテーマが『世界一を目指すために、日々挑戦、努力する』ということで、僕の考えと一致する部分があるなと思いながら撮影に臨みました」とのコメントを発表している。
一方、香川選手とブランドアンバサダ―(企業のブランドや商品を応援する人)契約を結んだのはGMOインターネット<9449>。今後、香川選手を起用したプロモーション活動などを積極的に展開していくという。
GMOインターネットは2017年からは仮想通貨事業を展開しており、仮想通貨取引をチェックし、ブロックチェーンという取引台帳に追記していく作業(マイニング)を行うための専用コンピューターの販売なども手がけている。
同社では夢の実現に向けて挑戦し続けている香川選手の活動と親和性のある分野で、プロモーションを展開するほか、社会貢献活動にも取り組んでいく。
GMOインターネットは香川選手が同社本社を訪問した際の動画を撮影、社内が大いに盛り上がっている様子を公開している。(動画はこちら)本田選手、香川選手ともに仮想通貨の市場拡大に一役買いそうだ。
ただ、中国やサウジアラビアなどが仮想通貨の取り扱いを禁止するなど、仮想通貨に対する風当たりが強い中、こうした有名人が㏚に登場して果たして大丈夫なのだろうか。
日本では金融庁が2017年4月に仮想通貨交換業者を登録制とし、世界に先駆けて仮想通貨の安定化に乗り出している。また、仮想通貨交換業の登録業者16社で組織する団体が、仮想通貨交換業の自主規制規則の策定に取り組んでおり、日本では健全な仮想通貨市場の形成に向けて官民が力を合わせている。
世界に目を転じても、新たな仮想通貨を発行して資金を調達するICO(Initial Coin Offering=イニシャル・コイン・オファリング)で多発している詐欺を防止するため、米国が規制を強化するなど仮想通貨を前向きにとらえる動きも表面化している。
そうした中で、知名度の高い本田圭佑選手と香川真司選手が仮想通貨の広告塔となったことは、日本の仮想通貨業界にとっては、業界成熟化に向けての一歩とみてよさそうだ。今後日本政府は日本に仮想通貨市場を定着させるために、どのような方策を打ち出すのか。次の一手が注目される。
文:M&A Online編集部