激動の仮想通貨交換業界 100社が参入意向

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2018年前半は仮想通貨取引業者の間に嵐が吹き荒れた。金融庁の行政指導により8社が仮想通貨交換業から撤退。その一方で新規参入が相次ぎ、今後も100社ほどが同事業への参入の意向を持つ。2018年後半も進退入り混じった変化の激しい展開が続きそうだ。

2018年1月26日にコインチェックによる580億円分もの仮想通貨ネムの不正流出事件が発覚。その後金融庁が立ち入り検査を実施し、4月27日までに業務停止命令および業務改善命令を5社に、業務改善命令を7社に下した。

金融庁が仮想通貨交換業者12社を行政処分 

この結果、みなし業者8社が登録申請の取り下げを行い、コインチェックのネム不正流出事件時点で16社あったみなし業者は8社(図1参照)に減少した。

(図1)

登録業者 みなし業者
1 マネーパートナーズ コインチェック
2 QUOINE  LastRoots
3 bitFlyer バイクリメンツ
4 ビットバンク  みんなのビットコイン
5 SBIバーチャル・カレンシーズ BMEX 
6 GMOコイン  ブルードリームジャパン 
7 ビットトレード エターナルリンク 
8 BTCボックス FSHO
9 ビットポイントジャパン  
10 DMM Bitcoin  
11 ビットアルゴ取引所東京  
12 Bitgate  
13 BITOCEAN  
14 フィスコ仮想通貨取引所  
15 テックビューロ  
16 Xtheta  

こうした動きの最中、3月2日には登録仮想通貨交換業者16社(図1参照)が自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会」を設立した。

同協会は仮想通貨交換業の健全な発展と利用者の利益の保護を目的に、自主規制を整備し、仮想通貨交換業者や仮想通貨交換業への新規参入を目指す事業者への支援を行う。7月時点でまだ自主規制ルールは完成しておらず、時期や内容については検討中という。

みなし業者が撤退する一方で、新規参入が相次いだ。

4月13日には登録仮想通貨交換業者のビットアルゴ取引所東京にヤフー<4689>が資本参加することを決めたと発表した。ヤフーの完全子会社であるZコーポレーションがビットアルゴ取引所東京の親会社であるシーエムディーラボから株式を買い取るとともにビットアルゴ取引所東京の第三者割当増資を引き受けるという内容。

出資後はシーエムディーラボがビットアルゴ取引所東京株式の60%を、Zコーポレーションが同40%を保有することになる。現在取引所サービスの開始準備を進めており、2018年秋に事業を開始する予定だ。

みなし業者で、ネムの不正流出事件を起こしたコインチェックは4月16日にマネックスグループ<8698>の完全子会社となり、登録に向け動き出した。

被害を受けた顧客への補償は4月の時点で終えており、その後仮想通貨交換事業を順調に再開している。このため仮想通貨交換業者としての登録認可は近いとみられており、親会社のマネックスグループの松本大社長からは「将来はIPO(新規株式公開)を目指す」といった意欲的な発言が聞かれる。

                               (仮想通貨特集はこちら

100社が仮想通貨交換業に新規参入の意向    

さらに6月4日にはSBIホールディングス<8473>が仮想通貨交換サービス「VCTRADE」を始めた。SBIホールディングスの完全子会社で、2017年9月に仮想通貨交換業の登録が完了したSBIバーチャル・カレンシーズが運用しているもので、7月17日からは個人を対象に新規口座開設の受付を始めた。

7月16日にはLINE<3938>が仮想通貨交換所BITBOX(ビットボックス)の業務を始めた。2018年1月10日に設立した仮想通貨事業を担当する「LINEフィナンシャル」が、仮想通貨交換業のほかローンや保険といった金融商品を取り扱う。

ビットボックスは日本でのサービスを行っていないため、金融庁の規制の対象にならず、LINEフィナンシャルは登録業者でもみなし業者でもない。ただ将来的には日本でもサービスを行うことが見込まれるため、今後登録申請を行う可能性が高いとみられる。

金融庁によると100社ほどが仮想通貨交換業に新規参入の意向を示している。新規参入については、みなし業者の買収や登録業者への資本参加、また新たに事業を立ち上げるなど、さまざまな形が予想される。

仮想通貨交換業を巡る嵐は2018年後半もまだまだ収まりそうにない。

2018年前半の仮想通貨交換業者を巡る動き

日付 内容
1月26日 コインチェックから仮想通貨ネム580億円分が不正送金事件が発覚
1月29日 金融庁がコインチェックに業務改善命令
2月2日 金融庁がコインチェックに立ち入り検査を実施
2月13日 金融庁が登録仮想通貨交換業者への立ち入り検査を開始
2月19日 金融庁がコインチェック以外のみなし仮想通貨交換業者への立ち入り検査を開始
3月2日 登録済み仮想通貨交換業者16社が自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会」を設立
3月8日 金融庁がコインチェックを含む仮想通貨交換業者7社を行政処分
4月6日 金融庁が仮想通貨交換業者3社を行政処分
4月13日 ヤフーが登録仮想通貨交換業者のビットアルゴ取引所東京に資本参加
4月16日 マネックスグループがコインチェックを完全子会社化
4月11日 金融庁が仮想通貨交換業者1社を行政処分
4月13日 金融庁が仮想通貨交換業者1社を行政処分
4月25日 金融庁が仮想通貨交換業者1社を行政処分
4月27日 同日までに、みなし仮想通貨交換業者8社が登録申請を取り下げ
6月4日 SBIグループが仮想通貨交換サービス「VCTRADE」を開始
6月7日 金融庁が仮想通貨交換業者1社を行政処分
6月22日 金融庁が仮想通貨交換業者6社を行政処分
7月16日 LINEが仮想通貨交換所BITBOX(ビットボックス)を開始

文:M&A Online編集部(仮想通貨特集はこちら