2018年は住宅建築業界でM&Aが加速する

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4カ月連続の住宅着工減

 国土交通省が2017年11月30日に発表した建築着工統計調査によると、同10月の新設住宅着工戸数は前年同月比4.8%減の8万3057戸と、4カ月連続で減少した。賃貸・分譲ともに前年同月比4.8%減と振るわず、賃貸は5カ月連続、分譲は2カ月の減少となっている。賃貸は相続税の節税目当ての新築物件が減少、分譲は大規模物件の落ち込みからマンションが16.9%も減少したのが響いた。

 相続税対策の賃貸物件については、供給過剰による空室率の上昇や、一括借り上げを行うサブリース会社とオーナーとの賃料トラブルが大きく報じられるといった悪材料から着工が頭打ちに。一方、マンションは地価高騰などで分譲価格が上昇した結果、都心部で大型案件が着工しにくい状態になっている。

M&Aで逆風に対抗

 今後も人口減少による需要減や空き家・空室増に伴う家賃の下落、人手不足による建築コスト増、さらには日本銀行の金融緩和策の是正に伴う金利上昇などのマイナス要素が目白押しで、住宅建築業界にとっては逆風になりかねない状況が続く。その対応策としてM&Aが進みそうだ。

 桧家ホールディングス<1413>は2018年1月1日付で桧家住宅、桧家住宅北関東、桧家住宅東京、桧家住宅上信越、桧家住宅東北の連結子会社5社を統合する。この5社はいずれも木造注文住宅事業を手がけており、合併による営業政策の統一や経営資源の集約・再配置などを通じて事業効率と収益性の向上を目指す。上位メーカーでは、すでに2017年1月にトヨタホームがミサワホーム<1722>への出資比率を引き上げて子会社化している。

東京23区内も例外ではない

 人口が流入している東京23区内ですら豊島区や大田区、中野区など空き家率が10%を超える地域が出ており、賃貸・分譲ともに苦戦が続く。ましてや人口が流出している地方での住宅着工は激減する可能性が高い。2018年に入ると、マンション・戸建て、大手・中小を問わず、住宅建築業界で生き残りのためのM&Aが加速するのは間違いなさそうだ。

文:M&A Online編集部