ドコモの格安「ahamo」に乗り換えて「良い人」「悪い人」

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「安すぎる料金プラン」と話題をさらっているNTTドコモ<9437>の「ahamo(アハモ)」。「通信容量20GB(ギガバイト)で月額2980円」「5分以内の国内通話がかけ放題」「5G(第5世代移動体通信)対応」「通信容量内なら海外でのデータ通信も無料」とサービス内容も盛りだくさんだ。

「格安」「内容充実」でも「万能」ではない

しかし、そのahamoといえど万能ではない。ahamoに乗り換えて良いユーザーもいれば、乗り換えてもメリットがないユーザーもいる。さらには、もうしばらく「様子見」をした方が良いユーザーもおり、「安くて内容充実だから」と飛びつくのは早計だ。

乗り換えて良いユーザー

月間データ使用量が10〜20GBのドコモユーザーならば、直ちに乗り換えた方がよいだろう。従来プランのような家族割や長期契約割引はないが単身ユーザーならば関係ないし、家族がいても大容量データ利用者にとっては大幅な値引きとなるだけに気にする必要はないだろう。

とりわけ年に数回は海外旅行に出かけるユーザーなら「ahamo一択」と言っていい。海外データ通信は割高で、「格安海外SIM」と呼ばれているサービスでも12GBで2280円とahamoより高い。しかも、海外キャリアのSIMなので開通作業に手間がかかり、サポートもあてにできない。モバイル上級者向けのサービスだ。

日本の海外SIMは開通作業やサポートは安心だが、音声通話やSMSも利用できるタイプでは500MB(0.5GB)で4500円を超えるという「高額サービス」。なにより海外ではSIM交換が必要になる。ahamoならSIM交換も不要だ。普段使っているスマートフォン(スマホ)とSIMを、海外でもそのまま使えるメリットは大きい。

乗り換えてもメリットがないユーザー

スマホユーザーの大半は月間データ使用量が1〜3GB前後といわれる。だから「格安スマホ」と呼ばれるMVNO(仮想移動体通信事業者)は、このあたりの料金を低く抑えている。つまり平均的な格安スマホユーザーにとっては、ahamoといえど料金面でのメリットが小さい。

例えばMVNO大手の日本通信<9424>が提供する「990ジャストフィットSIM」の月額料金は通信容量1GBで990円、3GBでも1290円と、ahamoの半額以下だ。

IIJとmineoもドコモ回線の場合、音声通話とSMS(ショートメッセージサービス)が可能なプランで月額料金は3GBが1600円。音声通話とSMSを利用しないデータ通信専用SIMなら、両社とも3GBが900円で済む。

こうした平均的なデータ容量しか使わない格安スマホユーザーにとっては、20GBというahamoの通信容量は「宝の持ち腐れ」となる。低料金のMVNO契約を続ける方が得策だ。

「様子見」した方が良いユーザー

すでにahamoの先行予約は始まっているが、au(KDDI)<9433>やソフトバンク<9434>、楽天モバイルなど競合キャリア(自前の通信網を持つ通信会社)と契約しているユーザーには、しばらくの様子見を強くお勧めする。

キャリアの料金は基本的に横並びで、しかも政府が「キャリアブランドによる値下げ」を強く要請している状況下では必ず追随してくる。最低でもahamoと同等の料金と内容になるはずだ。とりわけ「通信料金の価格破壊」を提唱してきた楽天モバイルは、もっと「お得なプラン」を打ち出す可能性が高い。

ahamoのサービス開始は2021年3月なので来春以降に新規契約や新回線を追加するユーザーも、これら競合キャリアのプランが出そろうサービス開始の直前まで待った方が良いだろう。

文:M&A Online編集部