「一風堂」米社との合弁解消で利益増加 米国では全店を直営に

alt
同社決算補足説明資料より

博多ラーメン店「一風堂」を運営する力の源ホールディングス(HD)<3561>が、米国のレストランチェーンのPanda Restaurant Group, Inc.(PRG、カリフォルニア州)との合弁事業解消で、600万円の特別利益を計上することになった。

同社が2022年2月14日に発表した2022年3月期決算で、同第3四半期に合弁解消に伴う特別損失5億1300万円を、同第4四半期に債務免除益5億2000万円を計上するなどの処理で、通期では600万円の利益が出ることを明らかにした。

同社は2022年3月期第2四半期の業績を、それまでの赤字見通しから黒字に修正した際に、通期の業績については第3四半期以降の経済環境、景気動向に不透明な部分が多いとして、予想数字を据え置いていた。

その第3四半期は好調に推移し、営業利益はすでに通期予想を上回った。合弁解消による一時的な利益に加え、合弁解消後の収益の好転が見込めることもあり、通期の業績が予想より上振れする可能性は高そうだ。

関連記事はこちら
復活遂げるラーメン「一風堂」新たな収益モデル店などが貢献

米国社を完全子会社化

力の源HDは2022年3月1日に、米国発の中華レストラン「PANDA EXPRESS」を日本国内で展開する合弁会社I&P RUNWAY JAPAN(福岡市)の全保有株式51%を共同出資者のPRGに売却するとともに、米西海岸でラーメン店「IPPUDO」を運営する合弁会社I&P RUNWAY, LLC(カリフォルニア州)については、PRGから株式49%を引き取り完全子会社化する。

「PANDA EXPRESS」「IPPUDO」両ブランドの今後の成長戦略や運営方法について検討を重ねた結果、PRGは日本国内で「PANDA EXPRESS」を直接運営し、力の源HDは米国の全店舗を直営化することになった。力の源HDは米国の5店舗のうち1店舗を閉店し、4店舗は営業を継続する。

2022年3月期は上振れも

同社の2022年3月期第3四半期は、売上高141億2400万円で、前年同期より17.6%の増収となった。

営業利益は6億円(前年同期は9億3100万円の赤字)、経常利益は5億9900万円(同9億8000万円の赤字)、当期利益は1億3400万円(同20億2500万円の赤字)と、いずれも赤字から脱却した。

営業時間短縮や酒類販売休止などの営業規制が解除されたことや、デリバリー、テイクアウトの強化、低投資店舗の出店などの取り組みで、国内店舗が好調に推移したほか、海外でも欧米をはじめ台湾やシンガポールなどで、ロックダウン解除後に売り上げが回復したことから増収増益となった。

通期の業績は同第3四半期時点でも据え置いており、売上高201億3000万円(前年度比21.7%増)、営業利益5億4800万円(前年度は9億8000万円の赤字)、経常利益5億900万円(同10億1000万円の赤字)、当期利益2億4800万円(同23億9200万円の赤字)の予想。すでに第3四半期時点で、営業利益は通期予想を上回っている。

【力の源ホールディングスの業績】

文:M&A Online編集部