アップルが「iPhone SE(第3世代)」を大型化する理由

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「iPhone SE(第3世代)」についての情報が出始めた。まだ確定情報には程遠く、発売時期ですら2022年から2024年と幅がある。しかし、モデルチェンジの方向性は見えてきた。それは「SE」の大型化だ。複数の情報サイトが次世代SEは「iPhone XR」のボディーを流用すると伝えている。

SE3の「大型化」は必然

XRは2018年9月に発売されたモデルで、画面サイズは6.1インチ、本体サイズは高さ150.9mm×幅75.7mm×厚さ8.3mm、重量は194gだ。これに対して現行の「SE(第2世代)」は、それぞれ138.4mm、67.3mm、7.3mm、148gなので、「SE3」がXRのボディーを流用すればかなりの大型化になりそうだ。

SE3の仕様には諸説ある。SE3は従来通り「iPhone 8」のボディーを継続使用し、XRのボディーを流用するのは「iPhone SE Plus」との見方も出ている。しかし、「8」は来年9月には発売から5年が経過する。

初代「SE」とSE2が共に3年前のモデルのボディーを流用していることから、SE3の発売が2021年だとすれば3年前に発売されたXRのボディーが流用されるだろう。逆に言えばXRのボディーを利用するのが事実であれば、今年中か来春にSE3が投入される証拠とも言える。

では、近く発売されるのはSE3なのか、それとも大型機の「SE Plus」なのか?これについてはSE3の可能性が高い。SE3が大型化するのでSE Plusと誤解されたのだろう。

なぜなら、SE3がサイズアップすることで、iPhoneのモデルラインがすっきりするからだ。つまり、高級機の「iPhone 13 pro」、標準機の「iPhone 13」、小型機の「iPhone 13 mini」、それに廉価版のSE3だ。

SE3は廉価版、miniは小型機と役割が明確に

初代SEとSE2には廉価版と小型機という二つの顔があった。これはiPhoneが大型化を繰り返してきたため。結果として小型機となっただけで、アップルとしては廉価版の位置づけだった。

それが明確になるのは「iPhone 12 mini」の投入だ。同機は売れ行きが芳しくないモデルで生産中止もささやかれたが、アップルは引き続き13 miniを投入している。

これが実現すれば、iPhoneはタブレット端末の「iPadシリーズ」と同じモデルラインになる。すなわち高級機の「iPad Pro」、標準機の「iPad Air」、小型機の「iPad mini」そして廉価版の無印「iPad」である。おあつらえ向けに「iPad Pro」には、11インチモデルに加えて「iPhone 13 Pro Max 」に当たる大型の12.9インチモデルが存在する。

iPhoneもiPadと同じ高級機、普及機、廉価版、小型機のモデルラインとなる(同社ホームページより)

SE3が大型化することで、iPhoneシリーズ内での「立ち位置」がはっきりする。12 miniが販売不振だった理由の一つに、SEが消費者から小型機と認識されたために需要を食われたという事情もあった。12 miniは5.4インチとSE2よりも大画面ながら、重量は15g軽い133gだった。それでもSE2に小型端末志向の顧客を奪われたのだ。

ましてや13 miniは重量が140gと、SE2との差はわずか8gに縮まった。SE3が200g近いXRのボディーを流用すれば、小型機は「mini」一択となり需要の「共食い」は起こらない。

iPadシリーズでもminiは第5世代まで鳴かず飛ばずで何度も「廃盤」のうわさが流れたが、今年9月に発表した「iPad mini(第6世代)」では大ヒット商品となり、現在も品薄状態が続く。端末の大画面化で、使い回しの良い小型機の需要は確実に増えている。その成長市場に廉価版が居座られては困る。SE3の大型化は必然なのだ。

文:M&A Online編集部

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