司法試験の短答式は迷わず「早く解く」のがコツ

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司法試験の短答式試験について|弁護士になるための勉強法3

事務処理能力と集中力が試される短答式試験

司法試験に最終合格するには「短答式試験」を避けて通ることはできません。短答式試験とは、複数の選択肢の中から正しいもの(あるいは間違っているもの)を選ぶマークシート方式の試験です。

論文試験と違い、スピーディかつ的確に選択肢を選び続ける事務処理能力と集中力を要求されます。そのため、昔から「論文は書けるけれど、択一(短答式試験のこと)は苦手」と言ってなかなか合格しない司法試験受験生も数多く存在します。

筆者は合格率が3%程度であった旧司法試験に、大学4年の在籍時に短期合格しています。今回は、短期合格のための「短答式試験」の勉強法をご紹介します。

短答式合格のコツ1.迷わず「早く解く」

司法試験の短答式試験は、本試験の4日目に行われます。科目は憲法、刑法、民法の3科目であり、民法75分、憲法60分、刑法60分という時間制限があります。

選択肢を迷っている間にどんどん時間が過ぎていき、時間オーバーとなっていく方が多いので、法律への正確な理解だけではなく、事務処理の早さも求められます。

司法試験では、短答式試験に合格しないと、論文式試験の答案を採点してもらうことすらできません。短期最終合格を目指すなら、まずは短答式試験を乗り越える力を身につけましょう。

短答式合格のコツ2.短答式克服には「過去問演習」

短答式試験を克服するために必要なことは、極端に言えばたった1つです。それは「過去問演習」です。

短答式試験では、過去に出題されたものと同じ肢が何度となく出題されています。また過去問を解いていると本試験の「傾向」が頭に入ってくるので、自然に本試験に対応できるようになります。各校から司法試験の過去問が発売されているので、どれか1つを購入し、ひたすら過去問を解き続けましょう。

最初はもちろん、たくさん間違えます。間違えなくなっても、すぐには短答模試などの点数に反映されないこともあるでしょう。しかしそれでもいつか解けるようになると信じてひたすら過去問を解き続けます。いろいろな教材に手を出す必要はなく、短答式合格のためにはほとんど「過去問一本」でも良いくらいです。

筆者がおすすめする教材は、こちらです。

司法試験過去問題集(体系別)

司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集 憲法 第2版 (LEC東京リーガルマインド編著)

司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集 民法 第2版 (LEC東京リーガルマインド編著)

司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集 刑法 第2版 (LEC東京リーガルマインド編著)

体系別短答過去問題集 憲法
色んな教材に手を出さず過去問重視で

短答式合格のコツ3.選択肢を全部覚える

短答式の過去問は、どのくらいまで解き続けるべきなのでしょうか?

答えは「過去問の1つ1つの肢を全部覚えるくらい」までです。選択肢の1つ1つを覚えていれば、それがそのままあるいは少し形を変えて出題されたとき、正誤をたやすく判定できます。

過去問を解いていて「この問題、迷う…」というものがあったらまだ勉強が足りません。5回でも10回でも何度でも過去問を解いて、選択肢をすべて頭にたたき込むくらいの気持ちで勉強を続けましょう。

短答式合格のコツ4.解説を読み込んで覚える

短答式の過去問を解くとき、重要なのは過去問題集の「解説」です。なぜその答えになるのかがわからないまま解いても意味がありません。解説についても、しつこく覚えるくらい読みましょう。

短答式過去問題集(平成30年)

平成30年司法試験 短答詳解 単年版 辰巳法律研究所

平成30年司法試験短答詳細
解説を読み込みましょう

短答式合格のコツ5.「択一六法」を参考に

では、短答式の答案練習や模試、問題集などは一切不要なのでしょうか? ーもちろんそういうわけではありません。

模試や答案練習は、時間内に必要な問題を解ききる感覚をつかむために重要です。また、最新の判例などは過去問に出ていないものもあるので、模試などから知識を仕入れましょう。

問題集とは少し違いますが、私は「択一六法」という参考書を重宝していました。特に民法については非常に役に立つもので、今でも法律記事を書くときに横に置いて参照することがあるくらいです。

最新では、以下の参考書が非常におすすめです。

2020年版 完全整理 択一六法 民法【逐条型テキスト】 (LEC東京リーガルマインド編著)

2020年版 完全整理択一六法 民法
非常におすすめのテキストです


最後に、科目別勉強法で押さえるべきポイントをお伝えします。

短答式合格のコツ6.科目別の勉強方法

次に、「憲法」「民法」「刑法」の科目別勉強法をお伝えします。

6-1.憲法の「判旨」はすべて押さえよう

憲法では「判例の知識を要求される」ことが多くなっています。そこで過去問に加えて判例の知識をつけていきましょう。

過去問で出てきた判例については、判例百選で判旨程度はすべて押さえるべきです。

特に人権分野では判例が重要です。統治の分野では、条文がそのまま出題されるパターンがあるので、条文の読み込みと暗記をしましょう。

6-2.民法は択一六法で「細かい条文の知識」をつける

民法は非常に条文の数も多く、細かい知識を問われます。

面倒でも最初から最後まで「細かい条文の知識をつけること」が重要です。このとき私が利用したのが先ほどご紹介した択一六法のテキストです。逐条で択一合格に必要な知識を網羅的に解説しているので、すき間時間などにも読み込みを行っていました。

勉強の範囲を広げずに過去問と択一六法を一生懸命に読み込んでこなしていけば、合格レベルの知識が身につくでしょう。

6-3.刑法は条文の「素読」が重要

刑法は、論理的な帰結を問う試験が多くなっています。各説からの帰結を論理的に導けるだけの理解が必要です。きちんと各説の意味を理解しながら過去問演習をしましょう。

また刑法では、条文知識を問う試験も出題されるので、条文の素読も重要です。さらに重要な判例は百選などで押さえておきましょう。

・ ・ ・ ・ ・

短答式試験は、合格レベルに達するまでに相当程度の勉強量と時間が必要です。すぐには模試などで良い点をとれなくても、続けていればいずれ解けるようになります。過去問を中心にしながら早く解く練習なども交えつつ、日々の勉強を重ねていってください。

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文:福谷 陽子(法律ライター)