弁護士になるための勉強法(第2回)
司法試験には、一発合格する方もいれば、合格までに長い時間がかかってしまう方もいます。
今は受験回数に制限があるので、昔のように「10年間、司法試験を受け続けている」人などはいなくなりましたが、「勉強を開始してから合格するまでの期間」であれば10年かかる可能性もあります。
勉強期間が長くなると収入も途絶えプレッシャーもきつくなってくるので、できれば短期で合格したいものです。
筆者は合格率が3%程度であった旧司法試験に、大学4年の在籍時に短期合格しています(今でも司法試験に必要な要素は根本的には変わっていないと思います)。
実は短期合格には、いくつかのコツがあります。
今回は、司法試験に短期間で合格するための心構えやちょっとしたポイントなどをご紹介していきます。
司法試験に短期合格する方と長くかかる方は、「心構え」が違うケースがあります。
当然ですが、短期で合格する方は「絶対に今年合格する」という強い気持ちを持っています。
このように書くと「誰でもそう思っているよ」と思うかも知れません。しかし実際に、本当に強い決意を持って自分を追い込んでいる方は少ないのです。口では「今年合格したい」などとは言いつつも、心のどこかで「今年がダメでも来年がある」などと考えている方がいます。
「今年落ちたらもう司法試験は辞める」という追い込まれた気持ちを持っていたら、自然と必死で勉強に取り組みますし、合格が近づいてくるものです。
一方、合格までに長くかかる人は、比較的のんびりしています。「今年はまだ一年目だから落ちても大丈夫」「今年がダメでも来年、再来年がある」などと考えていると、どうしても勉強に身が入りにくく「今日はこのくらいで良いか」などと自分を甘やかしてしまいがちです。
たとえ現実的には「来年合格」を目指す場合でも、気持ちとしては「絶対に今年合格する」という意気込みをもって取り組む人が、短期の最終合格を勝ち取ることができます。
短期合格をつかみ取るには、心構えだけでは足りません。具体的にどういった勉強方法をするのが良いのでしょうか?
以下では、具体的な勉強方法についてお話します。
短期合格を目指すなら「勉強習慣」をつけることが重要です。つまり1日のスケジュールに「勉強」を組み込み、自動的に反復継続するのです。
たとえば以下のようなスケジュールが考えられます。
・朝7時に起床、朝食
・7時半に勉強開始
・9時半にいったん休憩、コーヒーなどを入れる
・12時まで勉強、昼食をとる
・1時から勉強再開
・3時に休憩、家の仕事や買い物などを済ませる
・5時から8時半まで勉強
・その後お風呂や夕飯などを済ませて11時に就寝
このように、毎日に勉強のスケジュールを組み込んでそれを日常にしてしまうことができれば、いちいち「勉強しよう!」というモチベーションを高めなくても自然に勉強するようになります。
勉強が習慣化すれば、反対に「勉強していない状態」が不安になってくるので、放っておいても熱心に勉強するようになり、合格が近づいてきます。
なお1日のスケジュールは社会人か学生か、専業の受験生かなどによっても異なってきます。自分にとって実行しやすい計画を立てましょう。仕事をしている方などの場合、平日と休日のスケジュールを分けて作成する必要があります。
短期合格を目指すなら「すき間時間」を上手に活用しましょう。
上記のように、しっかりと勉強のスケジュールを立てていても、空いた時間が発生してしまうものです。
たとえば予備校や学校に通う時間、病院などで診察を待つ時間、出先で手持ちぶさたで待機している時間などもあるでしょう。そういった時間にも、常に過去問や択一六法、課題の解説などを持ち歩いて読み込むなどして、どんどんインプットしていくのが効果的です。
電車の時間が30分あれば、往復で1時間勉強できてしまいます。何もしないでぼんやりしているのとインプットにあてるのとでは、積み重ねによって大きな差が生じます。
勉強をするとき、やたらとたくさんの教材に手を出してしまう方がいますが、おすすめではありません。過去問などもいろいろな会社から出ていますが、基本的にはひとつに絞りましょう。基本書や解説テキスト、問題集などについても同様です。たくさんの本を浅く読むよりもひとつの教材を使い込む方が深い知識を得られます。周りの情報に振り回されないようにしましょう。
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司法試験は昔と比べて簡単になっているとはいえ、短期合格はたやすくありません。「必ず今年、合格する!」という心構えと「勉強習慣」を身に付けることで、早期に合格を勝ち取りましょう!
次回は、短答式の勉強法についてお話します。
文:福谷陽子(法律ライター)