【中小企業・事業承継】共有不動産の分散防止に有効な財産処分信託の活用

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※画像はイメージです

今回からは、シリーズ自己信託の活用として、中小企業の事業承継や 財産の分散防止に効果的な信託を解説します。
信託銀行での信託の組成ではなく“自己信託”になりますので、信託銀行に多額の費用を払わず実行できるものになります。

第1回目は資産(建物)を法人に移転する際の信託受益権の組成でしたが、2回目の今回は共有不動案の分散防止に有効な財産処分信託の活用になります。

事業承継に活用したい自己信託(2)
共有不動産の分散防止に有効な財産処分信託の活用

1.共有物件はそのままだと共有者がどんどん増えていくという問題が!

アパートを兄弟3人で仲良く共有で相続する、というケースはよく見られます。しかしよく考えるとこのまま次の世代に相続した場合単純に相続すると共有者が3人→6人になんてケースが考えられます。同じ家族で育った兄弟ならまだしもいとこ同士が6人で仲良く共有なんてことは考えずらいものです

もし6人の足並みがそろわないと“売れない”“大規模修繕できない”“建て替えできない”など負の財産になってしまうことも考えられます。また、だれか一人が認知症になってしまった場合にも後見人を立てるまでは売買もできなくなります!

2.膠着する前に兄弟間で仲良く話をまとめる!

そこで兄弟で決められるうちにきちんと道筋をつけることが重要です。例えばだれか1名に集約するとか、全員でまとめて売ってしまうとか決めることが重要です。
もし仮に家賃収入がお小遣いなので今は売りたくない!といった場合に信託が有効になります。いわば将来の売買予約をするイメージですね!
将来誰かがなくなった時点で全員で売るとか誰かが買い取るとかそういうことを先に決めてしまうことが重要です。

3.遺言で十分では?信託を使うのはなぜ??

では、「遺言じゃダメなんですか?信託じゃないといけないんですか?(By某R議員)」という声も聞こえてきそうですが、そんなことはありません。遺言もいい~んです!(K平J風)
しかし下記の理由で当社は自己信託をお勧めしています。遺言は撤回可能、変更可能です。もし誰かが一人心変わりして売らないということや、遺言で売ってくださいと書いてあってもそれは財産を相続した人の自由ということになります。
遺言は撤回可能・書き換え可能なのです。
また、遺言で相続人の自由を阻害することもできません(心理的・信義則としてはできますが)

一方信託の場合には
・受託者(相続人のうちだれか・同族法人等でも可)
・委託者(財産所有者全員)
・受益者(財産所有者全員)
の3者の全員の合意がない限り変更はできないということになります。
ですので、相続人の誰かが「やっぱり売りたくない」といっても全員の合意がない限り信託内容は実行されます。(相続時点で第3者に売却する、相続あった際にはAが固定資産税評価額÷70%で買い取るetc)

そういう意味では確実に信託契約時点での意思に忠実に実行される点がメリットとなります。(弟の旦那にまんまと騙された…みたいなことはないわけですね)
また、信託銀行を使わない自己信託スキームなので多額の費用も必要ありません。

本記事は、 メルマガ「ビジネス・ブレイン通信」より転載しております。

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