【モルガン・スタンレー】知っているようで知らない、外資系金融機関まとめ <1>

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M&Aのアドバイザーとしても活躍する外資系金融機関。名前はよく耳にするけど、実はどんな金融機関なのかよく知らないという人もいるのでは? そこで、各社の沿革、日本法人の情報、日本企業に関連した主なM&A案件などをまとめてみました。第1回は、米ニューヨークを本拠地に世界42ヵ国以上にオフィスを展開するモルガン・スタンレーを取り上げます。

モルガン・スタンレー 沿革

グローバル 日本
1935年 グラス・スティーガル法により銀行・証券業務の分離が定められ、ジョン・ピアポント・モルガンが設立したモルガン商会から債券引受け部門が独立。米ニューヨーク、ウォール街にモルガン・スタンレー・アンド・カンパニーが誕生する
1941年 ニューヨーク証券取引所の会員権を取得
1970年 東京駐在員事務所を開設
1971年 M&A事業に参入
1984年 モルガン・スタンレー・インターナショナル・リミテッド 東京支店を設立し、証券業免許を取得
1986年 ニューヨーク証券取引所に上場 東京証券取引所での取引資格を取得
1987年 ・大阪証券取引所での取引資格を取得
・モルガン・スタンレー投資顧問株式会社を設立する
1988年 商号を「モルガン・スタンレー・インターナショナル・リミテッド」から「モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド」に変更
1989年 ・東京金融先物取引所での取引資格を取得
・名古屋証券取引所 特別参加者資格を取得 (2012年 資格返上)
1995年 投資信託委託業務の免許取得に伴い、「モルガン・スタンレー投資顧問株式会社」から「モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信株式会社」に商号変更
1996年 大手町から恵比寿へ移転
1997年 ディーン・ウィッター・ディスカバー・アンド・カンパニーとの合併により、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター・ディスカバー・アンド・カンパニーとなる
1998年 日本での不動産投資をスタート。株式会社モルガン・スタンレー・プロパティーズ・ジャパンを設立
1999年 本国でのディーン・ウィッター・ディスカバー・アンド・カンパニーとの合併を受け、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター・ジャパン・リミテッドとして営業開始
2001年 商号を「モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター・アンド・カンパニー」から「モルガン・スタンレー」に変更 商号を「モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター・ジャパン・リミテッド」から「モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド(モルガン・スタンレー証券会社)」に変更
2004年 ジャスダック証券取引所での取引資格を取得
2005年 東京工業品取引所 受託会員資格を取得 (2012年 資格返上)
2006年 株式会社制へ移行し、モルガン・スタンレー証券株式会社に
2007年 持株会社制へ移行し、日本における持株会社として、モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社を設立。株式会社モルガン・スタンレー・プロパティーズ・ジャパン、その他関係会社の一部業務を承継し、社名をモルガン・スタンレー・キャピタル株式会社に変更
2008年 銀行持株会社制へ移行
2010年 三菱UFJフィナンシャル・グループと日本における証券合弁事業の開始に伴い、モルガン・スタンレー証券株式会社からモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社に社名変更
2012年 「モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信株式会社」から「モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社」に商号変更
2014年 恵比寿から大手町へ移転
モルガン・スタンレーHPを基に編集部作成


モルガン・スタンレー 日本法人

日本での展開の歴史を見ても、どうもややこしいモルガン・スタンレーですが、現在、日本におけるモルガン・スタンレーの持株会社、モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社の傘下にある主要会社は次の3社です。

モルガン・スタンレー・ホールディングス 所在地:東京・大手

大手町フィナンシャルシティ サウスタワー

モルガン・スタンレーMUFG証券 機関投資家や法人向けの金融商品取引業務、リサーチ業務、資本市場業務
モルガン・スタンレー・インベストメント ・マネジメント株式会社 公的年金、企業年金、金融機関などの機関投資家向け資産運用業務
モルガン・スタンレー・キャピタル 不動産投資関連業務、プライベート・エクイティ業務

なお、M&Aアドバイザリーなどの投資銀行業務は、三菱UFJフィナンシャル・グループと日本における証券合弁事業をスタートさせたことに伴い、同グループの三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社が担っています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社とモルガン・スタンレーMUFG証券との関係は次のようになっています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社HPより

日本企業関連の主なM&A案件

過去5年間で三菱UFJモルガン・スタンレー証券がアドバイザーとして携わった日本企業関連の主なM&A案件は以下のとおり。数々の大型案件を手掛けており、モルガン・スタンレーのグローバルなネットワークとMUFGの強い国内基盤、日本企業とのつながりが、シナジー効果を生んでいるようです。

<買収側アドバイザーとして担当した案件> ※太字は単独で務めた案件

被買収企業 買収企業 買収額
2012年7月 イージス・グループ(英国) 電通(日本) 約4,000億円
2013年9月 グラクソ・スミスクライン(英国)
2飲料ブランド
サントリー食品インターナショナル(日本) 約2,106億円
2014年1月 ビーム(米国) サントリーホールディングス(日本) 約1兆6,500億円
2015年2月 ポリポワ(米国) 旭化成(日本) 約2,600億円
2015年7月 スタンコープ(米国) 明治安田生命(日本) 約6,200億円
2016年3月 東芝メディカルシステムズ(日本) キヤノン(日本)
約6,655億円
2016年7月 ジョイ・グローバル(米国) コマツアメリカ(米国/日本) 約3,000億円
2016年11月 カルソニックカンセイ(日本) CKホールディングス(日本/米国)
※KKRの傘下の特別目的会社
約5,000億円
2017年1月 日立工機(日本) HKホールディングス(日本/米国)
※KKRの傘下の特別目的会社
約1,470億円
2017年9月 東芝メモリ(日本) パンゲア(日本/米国)
※ベインキャピタルを中心とした特別目的会社
約2兆円

<被買収側アドバイザーとして担当した案件> ※太字は単独で務めた案件

被買収企業 買収企業 買収額
2014年5月 コノプコ(米国)
北米パスタ・ソース事業
ミツカン(日本) 約2,150億円
2014年6月 プロテクティブ・ライフ(米国) 第一生命保険(日本) 約5,750億円
2015年8月 シメトラ・フィナンシャル(米国) 住友生命保険(日本) 約4,500億円
2016年5月 三菱自動車工業(日本) 日産自動車(日本) 約2,300億円
2016年6月 スーパーセル(フィンランド/日本)
※ソフトバンク傘下
テンセントホールディングス(中国) 約7,700億円
2017年2月 ブラジル キリンホールディングス(ブラジル/日本) ババリア(ブラジル/オランダ)
※ハイネケン傘下
約770億円
2017年9月 カルゴン・カーボン(米国) クラレ(日本) 約1,200億円


まとめ:M&A Online編集部