旧村上ファンド系投資会社のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)による大量保有報告書(5%ルール)の提出が活発だ。シティの提出件数は今年に入って累計51件(10月19日時点)に上るが、その半数以上にあたる26件が8月以降に集中している。10月初めにはホームセンター大手、アークランズ<9842>の5%超の新規保有が判明した。
8月に5%超の新規保有が分かったベンチャーキャピタル(VC)最大手、ジャフコグループ<8595>を巡っては買い増しを進めた結果、シティの保有比率は16.71%まで高まっている。
シティインデックスイレブンスの大量保有報告書(変更報告書を含む)提出状況をみると、1月1件、2月と3月各2件、4月11件、5~7月各3件で推移し、8月に11件に跳ね上がった。9月8件、10月もここまで7件と高水準を保っている。
アークランズ株式の5%を超える新規保有は10月4日、シティが提出した大量保有報告書で明らかになった。保有比率は5.06%(共同保有分を含む)。
アークランズはアークランドサカモトが子会社のビバホームを合併して今年9月に新社名でスタートした。ビバホームは元々、住宅・建材大手LIXILの傘下企業で、アークランドサカモトが2020年に約1085億円で買収した。
そのアークランズは、とんかつ専門店「かつ家」を展開するアークランドサービスホールディングス<3085>を上場子会社として抱える。
シティが今年に入って新規保有した銘柄は今回のアークランズをはじめ、ジャフコ、ホシデン<6804>、住友大阪セメント<5232>、クレディセゾン<8253>、コスモエネルギーホールディングス<5021>、日清紡ホールディングス<3105>の7銘柄。
これらのうち、新規保有後に買い増しを進めたのがジャフコ、ホシデン、コスモの3銘柄。直近の大量保有報告書によると、シティの保有比率はジャフコ16.71%、ホシデン7.07%、コスモ16.35%に高まっている。
一方、住友大阪セメント、クレディセゾン、日清紡についてはいったん5%超を新規保有したものの、現在の保有比率は4%前後に低下している。
こうした中、シティが今後、アークランズ株式をどこまで買い増すのか、出方がマーケットの注目を集めている。
シティの保有比率が10%を超える銘柄はジャフコ、コスモのほか、東亜建設工業<1885>(11.36%)、中国塗料<4617>(13.51%)、セントラル硝子<4044>(28.05%)。
このうち、セントラル硝子は9月下旬、最大500億円の自社株買いを行い、シティなど旧村上系が保有する約30%(全株式)を買い取ることを発表した。旧村上系は巨額の売却益を手にする運びだ。
シティはジャフコに対しても500億円規模の自社株買いを要請している。
文:M&A Online編集部