かっぱ寿司・TOKAI・スノーピーク…イレギュラーな社長交代が続々

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前社長逮捕で業績への影響が懸念される…「かっぱ寿司」(都内の店舗)

上場企業でこのところ、イレギュラーな形での社長交代が相次いでいる。その理由は逮捕、不適切な経費使用、私事とさまざまだ。

かっぱ寿司 「4強」離脱のおそれも

回転ずし「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト<7421>の田邊公己社長(46)が競合他社の営業データを不正の持ち出したなどとして不正競争防止法違反の疑いで警視庁に逮捕されたのは9月30日。田邊社長は10月3日付で辞任を申し入れ、即日受理された。

競合他社とは外食大手ゼンショーホールディングス傘下の「はま寿司」。いうまでもなく、同業の回転ずしチェーンだ。

田邊氏はゼンショー出身。同社に在籍時、「はま寿司」取締役のほか、パスタ専門店「ジョリーパスタ」、ファミリーレストラン「ココスジャパン」の社長を歴任した。

こうしたキャリアを買われ、田邊氏がカッパ・クリエイトに転じたのは2020年11月。翌2021年2月に社長に就任した。

逮捕容疑は田邊氏がゼンショーの元同僚から日次売り上げや仕入れ原価などの営業データを不正に入手していたというもの。カッパは昨年7月に、「当社役員に対する競合会社からの告訴について」と題する発表文を公表し、警視庁が捜査していることが明らかになっており、今回、突然の逮捕劇だったというわけではない。

後任社長には山角豪取締役(44)が就任した。山角新社長は会見で「(田邊氏に)情報入手を依頼した事実はない」などとし、組織ぐるみの犯行ではないと強調した。

回転ずし業界ではスシロー(FOOD&LIFE COMPANIES)を筆頭に、くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司が4強を形成する。かっぱ寿司はかってトップを走っていたが、今では4位が指定席。3位のはま寿司の背中も遠ざかる一方で、今回の社長逮捕で業績低迷に拍車がかかれば、4強離脱につながりかねない。

TOKAIホールディングス、社長を解職

取締役会が鴇田勝彦社長(77)に解職を突きつけたのはエネルギー、ケーブルテレビ事業などを手がけるTOKAIホールディングス<3167>だ。不適切な経費の使用が内部通報によって発覚したとして、9月15日付で鴇田氏から代表取締役と社長兼CEO(最高経営責任者)のポストを解いた。外部の弁護士らによる特別調査委員会を立ち上げ、事実関係を詳しく調べる。

鴇田氏は通産省(現経産省)出身で、中小企業庁長官を務めて退官。TOKAIホールディングスに入社して20年となるが、その大部分を経営トップとして過ごしてきた。長期政権の弊害やコーポレート・ガバナンスの機能不全を指摘する向きもある。後任社長には小栗勝男取締役(63)が昇格した。

スノーピーク、前社長が急きょリリーフ

総合アウトドア用品メーカーのスノーピーク<7816>では9月21日付で山井梨沙社長(34)が辞任した。既婚男性との交際と妊娠が理由で、本人から申し出があったという。これに伴い、前社長で父親の山井太会長(62)が社長を兼務することになった。事態を重く受け止め、山井会長は役員報酬3カ月分の20%を自主返上する。

新潟県三条市に本拠を置くスノーピークの前身は1958年に金物問屋として創業。その後、登山用品の開発を手始めにアウトドア全般に進出した。東証マザーズを経て2015年に東証1部に上場。

山井梨沙氏は2020年に創業家3代目として32歳の若さで社長に就いた。将来、再登板のチャンスはあり得る。

文:M&A Online編集部