「ゴシックは魔法乙女」を超えるゲームは?KeyHolderがケイブ株を放出

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ケイブのホームページより

ライブ・エンターテインメント施設の運営、テレビ番組の制作、アイドルグループSKE48の運営・管理などを手がけるKeyHolder<4712>が、資本業務提携先であるケイブ<3760>の株式の売却を続けている。2018年12月27日にケイブ株式の24.43%を取得し筆頭株主になったものの、その後2019年3月20日から4月18日までに8度大量保有報告書を提出しており、4月18日の大量保有報告書では保有割合は4.34%にまで低下した。

両社は2018年12月11日に資本業務提携し、KeyHolder がケイブの筆頭株主になるとともに、ネットクレーンゲーム事業の新規展開の運営サポートやスマートホンゲームの開発、eスポーツ展開の運営サポートなどの協力体制を目指した。 

その一方でケイブは2019年3月14日にアイドルグループの運営を手がけているAKSの吉成夏子代表取締役とゲーム制作会社オカキチの代表取締役でゲームクリエーターの岡本吉起氏を割当先とする増資を行うことを発表。払込期日である2019年4月26日に吉成夏子氏が筆頭株主になり、KeyHolderは第2位の株主になるとしていた。 

その後3月20日からKeyHolderによるケイブ株式の売却が始まり、ケイブの業務支援体制がKeyHolderから吉成夏子氏に移ることになった。3月14日の発表時点では岡本吉起氏は3位の株主となる見込みだったが、KeyHolderの保有割合の低下に伴い、2位の株主に浮上する見込みで、吉成、岡本両氏による支援体制が鮮明になった。 

売上高の70%は「ゴシックは魔法乙女」

ケイブは1994年にゲームソフトの受託開発を手がける企業として設立。1999年にNTTドコモにコンテンツを配信して以来、さまざまなゲームを提供してきた。2015年に発売したシューティングゲーム「ゴシックは魔法乙女」が売上高の70%を占めており、他のゲームや新サービスの投入が急務となっている。

KeyHolderと業務協力する予定だったネットクレーンゲーム事業やスマートホンゲーム開発、eスポーツ事業についても、4月11日に発表した2019年5月期第3四半期決算ではサービス開始時期は未定としていた。 

大量保有報告書の提出日、保有割合など

報告義務発生日 提出日 保有割合 増減
12月27日 12月28日 24.43 0
3月20日 3月28日 17.57 -6.86
3月22日 3月28日 16.15 -1.42
4月5日 4月12日 14.7 -1.45
4月11日 4月18日 13.4 -1.3
4月12日 4月18日 9.49 -3.91
4月15日 4月18日 8.16 -1.33
4月16日 4月18日 5.35 -2.81
4月18日 4月18日 4.34 -1.01

※報告義務発生日の12月27日と提出日の12月28日は2018年。他は2019年。


ケイブの沿革
1994 ゲームソフトの受託開発を手がける企業として設立
1999 NTTドコモにコンテンツを配信
2001 KDDIにコンテンツを配信
2002 業務用シューティングゲームを配信
2004 携帯電話向けゲームを配信
2005 クレイズカンパニー(現ビーズマニア)の子会社に
2008 ビーズマニアと事業統合
2011 グリーと資本業務提携
2015 ゴシックは魔法乙女を発売

黒字転換はいつ

ケイブの2010年5月期から2018年5月期までの9期の業績を見ると、6度の営業赤字に陥っており、2019年5月期も第3四半期までは営業赤字となっている。

吉成夏子氏と岡本吉起氏はケイブに対し、新しいゲームの共同開発の提案を行っており、ケイブは提案を受け入れ、両氏の出資を受け入れることにした。 

ケイブは新ゲームについては2020年の東京オリンピックの開催に伴ってゲーム業界も「競技」の視点での展開の可能性が広がってくると判断。このタイミングでゲームをリリースできるか否かが今後の企業業績に大きく影響してくるとしている。 

今後、ケイブは岡本氏が代表取締役を務めるオカキチと業務委託契約を結び、スキルの高い人材を確保するほか、吉成氏からは新ゲームのプロモーションの協力を得る計画という。「ゴシックは魔法乙女」を超えるゲームは誕生するだろうか。営業赤字はいつ黒字転換するのか。吉成、岡本両氏にかかる期待は大きい。

文:M&A online編集部