シンガポールの大手仮想通貨取引所であるフォビグループが、仮想通貨交換業の登録業者であるビットトレード(東京都港区)を買収することになった。
ビットトレードはグローバル展開しているフォビグループから資本参加を受けることで、内部管理態勢を充実させるとともに、仮想通貨の不正流出などのリスクに耐えられる財務体制作りに取り組む。
金融庁は仮想通貨交換業者に内部管理態勢の充実を求めており今後、海外や国内の大手資本による仮想通貨交換業者のM&Aが活発化しそうだ。
フォビグループは2013 年から中国で仮想通貨取引所として活動しており、大きな資金力を持つという。ビットトレードは、フォビグループの支援を受けることで経営を安定化させるとともに、仮想通貨交換所を運営するための高い技術力や専門性、セキュリ ティーシステムなどをフォビグループから取り入れる。
ビットトレードは今回のフォビグループの資本参加について「加速する仮想通貨市場の成長に遅れることなく、仮想通貨ビジネスで新たな成長フェーズに踏み出す第一歩となる」としている。
一方、フォビグループはビットトレードを日本最大級の仮想通貨交換業者に育て、世界的なサービスの展開を目指すと見られる。
買収はビットトレードの親会社であるシンガポールのTrue Joyful Limitedの株主であるチェン・リェ・メン・エリック氏が、フォビ・ジャパン・ホールディングス代表のクリス・リー氏に、全株式を譲渡する形で実施される。
金融庁は2018年8月に発表した「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング中間とりまとめ」で、「仮想通貨のリスク評価をしていない」「セキュリティー人材が不足している」「内部監査が実行されていない」などの問題点を指摘していた。
またマネーロンダリング対策についても、専門性や能力を持った要員が確保されていないとし、利益を優先した経営姿勢の改善や、利用者の保護意識や遵法精神などの向上を求めた。
さらに、引き続き立ち入り検査などを行い、必要な行政指導や処分を行うとしており、仮想通貨交換業者は今後、技術の習得や人員の確保のために多大な資金が必要となる。
文:M&A Online編集部