【エイプリルフール】「2019年4月1日のニュース」3選

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今年もエイプリルフールがやって来た。エイプリルフールは「4月1日には嘘をついても許される」風習のこと。その起源については諸説あるものの、いずれも確証がなく全く不明だという。巷間語られる「エイプリルフールの起源」にだまされぬよう御用心を。もっとも、起源が「うそ」っぽいところが、いかにもエイプリルフールらしいともいえる。

さて、毎年この日には国内外のメディア各社が流す「うそニュース」が話題になる。そこでM&A Onlineからもエイプリルフール向けのニュースをお届けしたい。といっても、全くのうそニュースではない。ちょうど1年後の「2019年4月1日のニュース3選」だ。ひょっとしたら「うそ」ではなくなるニュースもあるかもしれない。新年度を迎えて緊張するアタマをほぐしてもらえば幸いだ。

ついにiPhoneでアンドロイドOSが動く!

米アップルは2019年4月1日(米現地時間)、例年よりも2カ月前倒しで開いた「WWDC2019」(Worldwide Developers Conference=ワールドワイド デベロッパーズ カンファレンス)で、新型「iPhone9」を発表した。今回更新するiOS13と併せてAndroid(アンドロイド)OSも動くのが特徴で、iPhone初のデュアルOS機となる。

現在、iPhoneに搭載しているiOSの世界シェアは10%に過ぎないことから、90%という圧倒的なシェアを持つアンドロイドOSも動くようにした。基調講演でアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は「MacBookでウィンドウズOSが動くようになった2007年のMac OS X Leopard発表以来のエキサイティングな出来事だ」と胸を張っている。

現時点でアンドロイドOSが動くのは最新CPU「A13」を搭載した「iPhone9」のみで、従来機の「iPhone8S」や「iPhoneSE2」、Proを含む「iPad」などではiOS13をインストールしてもアンドロイドOSは利用できない。これについてアップルは「あくまでCPUの仕様によるもので、iPhoneの買い替え促進を企図したものではない」と説明している。

iPhoneユーザーからは「アンドロイドの豊富なアプリ資源を使えるのは魅力的」と評価される一方で、OS切り替えアプリの「i Boot Camp」が再起動を必要とすることから「非常に不便。クリック一つでOSを切り替えるように仕様変更してほしい」との不満の声も上がっている。

アップルは「新型iPhoneにおけるアンドロイドOSの起動を、積極的に支援も妨害もしない」と静観の構え。これを受けて米Parallelsや米VMwareが近く、再起動なしにOS切り替えが可能な「仮想マシン環境OSアプリ」を発売する予定だ。

一方、アンドロイドユーザーからは「なぜiPhoneでアンドロイドOSは動くのに、アンドロイドスマホでiOSは動かないのか。アンドロイドOSの供給元である米グーグルは、アップルと不平等条約を結んだようなものだ。ユーザー軽視も甚だしい。アンドロイドの方が製品のバリエーションは広く、より高速なマシンから低価格のマシンまで揃っている」と、怒りの声が上がっている。

アップル幹部は匿名を条件に「まさにアンドロイド搭載機のバリエーションの広さが障害になった。処理能力の低い低価格機では、iOSの素晴らしいユーザー体験を再現できない。アンドロイド搭載機が一本化された時点で、iOSの開放を検討する」ことを明らかにした。アンドロイド搭載機の一本化について、グーグルは「わが社は端末をはじめとするハードウエア事業について、何らコメントする立場にない」としている。

Uberが「個人ドライバーの登録中止」を発表

米Uberは2019年4月1日(米現地時間)、自社が展開する自動車配車サービスで「個人ドライバーの登録を中止する」と発表した。すでに同社サイトのドライバー登録画面は削除されている。今後はタクシーを中心に配車サービスを提供する方針だ。Uberは個人ドライバーの登録中止について、「すでに全世界で十分な人数のドライバーを確保しており、過当競争になる前に新規登録を中止した。今後の登録再開については未定だ」とコメントした。

証券アナリストの多くは「Uberは段階的に個人ドライバーを削減し、タクシーの配車プラットフォームを目指すのではないか」と予想している。米国や欧州、日本ではタクシー会社が配車業務をUberに委託する動きが加速している。東京都内の大手タクシー会社幹部は「配車をUberへ一本化することで、自社の配車サービススタッフを削減できた。業務連絡もスマホアプリですべて対応できるためタクシー無線も不要になり、大幅なコストダウンにつながっている」と喜ぶ。

運賃が高いため手数料が稼げるタクシー配車のシェアが伸びたことで、Uberにとって運賃の安い個人ドライバーは「手数料収入を稼げないお荷物」となりつつある。さらにタクシーに特化することで利用客とのトラブル処理をUberから切り離せるほか、交通事故リスクが減るなどのメリットもあるという。

すでにSNS上ではUberの個人ドライバーから「心当たりのないクレームを持ち出されて、一方的に登録を解除された」との不満が上がっており、米国では集団訴訟の動きも出ている。こうした不満は主に先進国都市部の個人ドライバーに多く、新興国や先進国でも過疎地のドライバーからの指摘は少ない。タクシーが不足しているエリアでは、Uberも個人ドライバーを引き続き活用していくようだ。

だが、タクシードライバーも安穏とはしていられない。Uberは事故で一時中止していた自動運転車の実証実験を再開しており、いずれは自動運転車の配車へシフトするのは確実だ。すでにUberは米国の一部タクシー会社に、自社製の自動運転システムを搭載した車両を売り込んでいる。

これが実現すればタクシー会社が自動運転車を購入し、Uberが自動運転システムの販売とメンテンナンスおよび配車サービスを供給するビジネスモデルが確立する。タクシードライバーで組織する労働組合幹部は「Uberの自動運転車が導入されれば、タクシードライバーは不要になる。Uberの個人ドライバー排除は決して他人事ではない」と危機感を強めている。

Uber
Uberで呼べるのはタクシーだけに…(Photo By Núcleo Editorial)

放送法改正でネットニュースが「免許制」へ

政府は2019年4月1日、今年度中に成立を目指す改正放送法でインターネットニュースを従来の通信ではなく放送と位置づけた上で、放送局と同じく免許制度を導入する方針を固めた。対象となるのは月間ページビュー(PV)が1000万を超えるサイトで、大手ニュースサイトのほとんどが免許申請する必要がある。

大手ニュースサイトからは「自由な表現ができるインターネット空間に政府が介入するのは問題だ」と反発する声が上がっている。政府関係者は「放送法改正では政治的公平を定めた放送法4条を撤廃するので、ネットでの言論弾圧につながるとの指摘は当たらない」としている。

しかし、届出制でなく免許制であることから監督機関の審査を受けるのは確実で、「免許制である以上、すべてのネットニュースサイトが無条件で認められるわけではない。政治的公平性は問わないが、経営の健全性や社会的な評価など審査すべき項目はいくつもある」(政府関係者)という。

放送法改正については民放テレビ局が猛反発しているほか、監督省庁である総務省も「拙速な改正論議は禍根を残す」と慎重な姿勢を崩していない。政府与党からは「番組やネットコンテンツは、グローバル市場で勝負できる新たなビジネス。新産業を成長させるためにも、ネットニュース免許については経済産業省主管とすべき」との意見も出ていて、こうした動きが総務省の態度を硬化させているとの指摘もある。

併せて改正放送法で議論されている、従来の電波使用料に当たる「帯域使用料」の導入についても、「そもそも民間が整備したネットワークに、政府が使用料を徴収する権利はない」「免許申請をしたネットニュースにだけ、帯域使用料の支払い義務が発生するのは不平等だ」との不満の声がネットニュース各社から出た。

さらに先の日米放送通信協議で決まったYouTubeなど海外に本社とサーバを置くサイトについては、日本語による動画ニュースを日本国内に配信していても免許と帯域利用料を不要とする特例措置にも「弱腰外交だ」と批判が集まっている。

Yahoo!ニュースやNewsPicksといった文字情報が中心のニュースメディア各社は「放送局ではなく、新聞社に準じた扱いをされるべきだ。当然、現在は放送局のみに課されている免許制や帯域使用料を適用すべきではない」との声明を自社のニュースサイトに掲載している。

ネットニュース
「免許制導入」で、ネットニュースはどうなる?

文:M&A Online編集部

この記事は企業の有価証券報告書などの公開資料、また各種報道などに全く基づかず、編集部の空想でまとめています。