スポーツ用品販売大手の「ゼビオ」営業利益が3期ぶりに「アルペン」を逆転

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スポーツ用品販売大手のゼビオホールディングス<8281>が3期ぶりに営業利益でアルペン<3028>を逆転することになった。

当初はアルペンが3期連続でゼビオを上回る見込みだったが、販売費や人件費を圧縮したことなどにより当初予想より14.8%の営業増益となったことで、わずかだがゼビオの2023年3月期の営業利益が、アルペンの2023年6月期の営業利益予想を上回る見込みとなった。

両社の営業利益はコロナ禍前の2019年と、コロナ禍の影響の少なかった2020年はゼビオがアルペンを上回っていたが、コロナ禍さ中の2021年と2022年はアルペンが逆転していた。これが再びコロナ禍前の状態に戻るもので、両社ともにコロナ禍前の数字を超えている。

逆転したままの状態が続くのか、それとも再度の逆転があるのか。コロナ禍後を見据えた対応が今後の行方を左右しそうだ。

60%を超える営業増益に

ゼビオの2023年3月期の営業利益は80億6200万円で、前年度より61.3%増えた。当初は70億3100万円を予想していたが、販管費の減少などで10億4100万円の増益となった。

アルペンの2023年6月期の営業利益は72億円(前年度比0.7%増)の見込み。2022年8月に公表した数字を据え置いており、2023年5月9日に発表した2023年6月期第3四半期決算でも修正はなかった。この結果2023年は2020年以来3期ぶりにゼビオがアルペンの営業利益を上回る見通しとなった。

ゼビオは2024年3月期に前年度より9.3%多い、88億1500万円の営業利益を見込んでいる。アルペンが2024年6月期にこの数字を上回るには、2023年6月期予想より22.43%以上の増益を達成する必要がある。

2024年は原材料価格の上昇や世界的な景気の下振れなどが見込まれているものの、日本では新型コロナウイルスが感染力の強い2類相当から感染力の弱い5類に移行したことなどからスポーツ需要がコロナ前の状態に戻ることが予想される。

またコロナ禍でEC(電子商取引)市場が拡大しており、コロナ禍後にこうしたの流れをどのように取り込んでいくのか。両社の対応の差によっては再逆転があるかも知れない。

ゴルフが好調に推移

一方、売上高については、ゼビオの2023年3月期は2392億9300万円で、前年度比7.2%増えた。2022年3月期に続く増収で、ゴルフ部門が同9.1%増、一般競技スポーツ・シューズ部門も同10.7%増と高い伸びになった。スポーツアパレル部門は同2.5%増、アウトドア・その他部門は同5.3%増となったものの、ウィンタースポーツ部門は同3.9%減だった。

アルペンの2023年6月期は同6.7%増の2480億円の売り上げ見込みで、2期ぶりの増収を目指す。2023年6月期第3四半期時点の状況は、ゴルフ用品、競技・一般スポーツ用品の既存店売上高が前年実績を上回ったほか、スポーツライフスタイル用品についても、外出機会の増加によってアパレル、シューズ、バッグなど全般的に需要が回復。さらにアウトドア用品やウィンター用品の既存店売上高も前年実績を上回った。

ゼビオは2024年3月期に、同8.6%増の2598億9100万円の売上高を見込んでおり、実現すれば3期連続の増収となる。アルペンは2023年6月期見込みより4.75%以上の増収になれば、ゼビオの数字を上回ることになる。


文:M&A Online