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ローランドDG、MBOに向けたTOB価格を5370円に引き上げ

2024-04-27

米投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズは26日、産業用プリンター大手のローランド ディー.ジー.(DG)に実施中のTOB(株式公開買い付け)について、買付価格を従来の5035円から335円引き上げて5370円にすると発表した。併せて、同日までとしていた買付期間を5月15日まで10営業日延長する。買付期間の延長は3度目となるが、買付価格の引き上げは今回が初めて。

ただ、同日のローランドDG株価の終値は前日比160円高の5490円で、変更後の買付価格を上回る高値となっており、TOBの成立が依然見通せない状況にある。

ローランドDGへのTOBはMBO(経営陣による買収)の一環として2月13日に始まった。これに対し、3月半ばにブラザー工業がローランドDGの子会社化に向けた対抗TOBを予告したことで、争奪戦の様相を呈している。

ローランドDGはブラザーのTOB提案を受け、タイヨウが実施するTOBへの賛同の意見は維持するものの、応募については推奨をいったん撤回。社外取締役で構成する特別委員会を設け、MBOとブラザーの提案を比較検討してきた。

今回、タイヨウ側が買付価格を引き上げたのを踏まえ、ローランドDGは株主に対してTOBへの応募を改めて推奨することを決めた。MBOとブラザーの両提案を比較検討した結果、株主価値・企業価値に最も資する提案はMBOであるととの判断に至ったという。

一方、ブラザーの傘下に入った場合、産業用プリンターの基幹部品であるプリンターヘッドの調達に関する取引条件の悪化に伴い、製品の品質・競争力が低下する懸念が想定されるなどとしている。

ブラザーが現在提示しているローランドDG株の買付価格は5200円で、市場価格を300円近く下回る。当初の発表によると、ブラザーは5月中旬をめどに対抗TOBを始める予定を示している。

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